2019年1月1日火曜日

哲学者は何を語ってきたか【図解】:日本の無神論者は「超自然を信じない」

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哲学者は何を語ってきたか【図解】



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ニューズウイーク 2019年6月7日(金)18時20分 松丸さとみ https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/06/6-50.php

日本の無神論者は最も「超自然を信じない」──6カ国での大規模調査

<「無神論者」と「不可知論者」について世界6カ国で行われた調査で、日本の無神論者の場合はこうした「超自然」を信じる人が群を抜いて少なかった......>

■宗教離れの実態調査プロジェクト

 「無神論者」と「不可知論者」について深く知るために世界6カ国で行われた大規模な調査で、
 神の存在を信じていない、または証明できない、と思っている人たちも、現代科学では証明できない「超自然」的な出来事を信じる人が意外と多いことが分かった。
 ただし、日本の無神論者の場合はこうした「超自然」を信じる人が群を抜いて少なかった。

 調査は、英国の大学で教える心理学者、社会学者、文化人類学者のチームが2017〜2020年の計画で取り組む「不信仰への理解」という調査プロジェクトの一環だ。
 宗教離れが近年、世界的に広がる中、世界のさまざまな文化から洞察を得る目的で、ブラジル、中国、デンマーク、日本、英国、米国の6カ国で、1カ国あたり1100人を対象に行われた。

★:「無神論者」は「神などいない」と考えている人で、
★:「不可知論者」とは「神がいるかどうかは証明できない」と考えている人だ。

 無神論者・不可知論者といえど、特定の宗教に属しているという人たちも少なくなく、6カ国のうち「無宗教」「不明」以外に特定の宗教としてキリスト教を挙げた人が最も多く(デンマーク28%、ブラジル18%、英国15%など)、日本人は仏教と答えた人が最も多かった(8%)。
 また、どの宗教で育てられたか、という質問でも、ブラジル(79%)、米国(63%)、デンマーク(60%)でキリスト教が最も多かった。
 日本では無宗教(70%)、不明(14%)と答えた人が最も多かったが、特定の宗教の中では仏教(13%)が最も多かった。
 無宗教で育てられた人の割合が最も高かったのは中国の82%。

■超自然を信じない日本、オープンな中国

 興味深いのが、死後の世界や生まれ変わり、カルマや占星術といった「超自然的な現象を信じるか」との問いに対して、無神論者の中で「すごく信じる」「やや信じる」と答えた人の割合が、日本は他の5カ国と比べかなり少なかったという点だ(ここには不可知論者は含まれない)。
 なかでも、日本の文化に深く浸透している仏教的な考え方ともいえる「生まれ変わり」と「カルマ」については、これを信じる日本の無神論者の割合は、ブラジルやデンマーク、米国といったキリスト教の影響が強い国よりも少なかった。
 報告書は、無神論者のうち「超自然的なこと」を最も信じないのは日本人、最も信じるのはブラジル人と中国人としている。
 中国では、占星術を信じる無神論者は半数以上に達した。

 日本の無神論者・不可知論者が最も多く「信じる」と答えた「超自然的な現象」は、「人生における重要な出来事は、『起こるべくして起こる』または『理由があって起こる』」だった(無神論者20%強、不可知論者30%強)。
 一方で、こうした超自然的な現象を一切信じないと答えた人の割合は全体的に低く、最も多い米国でも、無神論者で35%、不可知論者で10%に過ぎなかった。
 無神論者や不可知論者のうち超自然的な考えに最もオープンなのは中国で、「一切信じない」という人が占める割合は無神論者で8%、不可知論者で2%に過ぎなかった。

■日本人は将来に悲観的?

 日本人は無神論者・不可知論者も、そうでない一般の人も、他の5カ国と比べて将来についてかなり悲観的なようだ。
 価値観を問う質問で、「長い目で見ると、社会はよくなっていく」に同意した人の割合は無神論者・不可知論者全体で13%、一般の日本人は21%だった。
 この質問に最も楽観的だったのは中国で、無神論者・不可知論者全体で69%、一般の中国人は83%が同意すると答えた。
 「この世は究極的に無意味なものである」に同意したのは、無神論者・不可知論者、一般の人ともにブラジル人が最も多く(47%、25%)、日本人が最も少なかった(14%、23%)。
 全体的に、無神論者・不可知論者の方がそうでない人と比べ「この世は究極的に無意味」と考える傾向が強い中、唯一日本だけが、「この世は無意味」と考える無神論者・不可知論者の割合が一般の人を下回った。

 では、こうした無神論者・不可知論者は、この世の何に価値を見出しているのだろうか? 
 調査では、参加者の価値観を調べるため、「美」「芸術」「家族」「恋愛」「自然」「正義」など43項目を挙げ(当てはまるものがない場合は「その他」として例を挙げてもらった)、自分にとって最も大切なものを5つ選んでもらった。
 どの国でも似たような結果となり、14項目に回答が集まった。
 「家族」が最も多く、無神論者・不可知論者では4カ国で、一般の人はすべての国で1位になった。
 ブラジルと中国の無神論者・不可知論者では「自由」が1位だった。
 「自由」を選んだ国は他にも多くあり、日本の無神論者・不可知論者では2位に挙げられている。
 6カ国全体で他に多く挙げられたのは、「思いやり」「真実」「自然」「科学」「友情」「平等」だった。



週刊現代講談社 2019.07.07
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59211

死ぬときはあえて「葬儀も墓もいらない」という人が急増中のワケ
あなたはその場にいないのだから

■シンプルに逝きたい

 葬儀もお墓もおカネがかかる。場合によっては、それが家族を苦しめることすらある。ならば、答えはシンプルかもしれない。
 「私は葬儀も、墓も不要だと思っています。
 お骨も残さない『三無主義』を主張しています。
 あくまで個人の自由なので、葬儀やお墓を無意味だとは思いません。
 でも、死ぬときは人に何かをしてもらうことなく、すっきりとこの世を去るのが一番でしょう」

 こう語るのは宗教学者の山折哲雄氏(87歳)だ。
 遺体を火葬した後、葬儀をせず、墓も作らない。このようなシンプルな「逝き方」を希望する人が増加している。
 山折氏は、火葬を終えた後、事前に指定した思い出の土地に少しずつ遺灰をまいてもらう「一握り散骨」を行い、骨を遺さずにこの世を去るつもりだという。

 『ジャングル大帝』や『巨人の星』のアニメを手掛けた脚本家の辻真先氏(86歳)もまた、死後は派手な儀式などは行わず、「ひっそりとこの世を去りたい」と語る。
 「死んだら何も残りません。
 それなのに、家族におカネを使わせるのはもったいないし、申し訳ない。
 戒名だって、死んだ後に知らない名前で呼ばれても、僕には伝わらないじゃないですか。
 不要だと感じた儀式は、極力行わないことにしました。
 先祖代々続いていたお墓も、数年前に畳んでしまいました」

■すっきり逝く

 最終ページ末の表に記載したのは、葬儀にかかる一般的な費用だ。
 およそ190万円という金額は、遺産や香典はあっても、この世を去った後、家族や親族に押し付ける経済的な負担としては、小さいものとは言えない。
 また、十分な身支度をせずにこの世を去ってしまえば、その後の葬儀やお墓で、トラブルが発生しかねない。
 いっぽう、山折氏や辻氏のように、火葬だけで終わらせてしまえば、葬儀やお墓にかかる数百万円ものおカネを、遺族に使わせずに済む。

 だが、経済的な事情だけで葬儀を簡素化してしまうのは、死者に対して失礼なのでは、と懸念する人もいるだろう。
 さらに、墓を作らないことで、お盆参りなど、故人を偲ぶ行事は少なくなってしまう。
 自分が死んだ後、誰にも思い出してもらえないような気がして、「すっきりと」この世から去ることに、若干の抵抗がある人もいるかもしれない。

 これに対し、『0葬――あっさり死ぬ』の著書がある宗教学者・島田裕巳氏はこう語る。
 「世間体や伝統を気にして、お墓にこだわる方もいるでしょう。
 でも、葬儀を行わず、墓を持たない『0葬』ならば、遺骨や墓に縛られることなく、かえって自由に、故人を偲ぶことができます」
 さらに島田氏は、'07年のヒット曲『千の風になって』を引き合いに、こう続ける。
 「歌詞にあるように、お墓に故人がいるわけではありません。
 『もっと自由に先祖を供養できていいはずだ』という思いが、多くの人に共通しているからこそ、あの曲はヒットしたのです。
 自分のことを思い出してもらえるように墓に入るのは、すでに古い価値観であると言えます」
 つまり、経済的にも精神的にも、「0葬」は遺された者たちへの負担が少ないのだ。

■死ぬ前の準備

 そんな「0葬」によってこの世を去るためには、生前にしっかりと準備をしておかねばならない。それどころか、良かれと思って決断した0葬が、手続きを完了させておかなかったことが原因で、かえって遺族や友人たちを混乱させてしまう可能性すらある。
 NPO法人「人生丸ごと支援」理事長の三国浩晃氏が、自身の経験をもとに語る。
 「奥様に先立たれ、子どももいない70代の男性が、『自分は散骨するから誰にも迷惑をかけない。もう業者にも頼んだ』とおっしゃっていたことがありました。
 でも、散骨のためには火葬して、遺骨を業者まで持っていかなくてはならない。
 誰に頼んであるのか聞くと、男性は『ケアマネジャーがやってくれるんじゃないの?』と話していました。
 ですが、ケアマネジャーは介護はサポートしても、死後のことまではやってくれません」
 もし0葬を望むのならば、散骨業者だけではなく、葬儀社にも連絡をしたうえで、遺灰の受け渡しを誰かに依頼するところまで準備を進めておかなくてはならない。
 「親族や友人に頼むのが難しい場合、私たちのようなNPO法人や、死後事務を執り行ってくれる法人団体を訪れておくことが大切です。
 とくに身寄りのない方の場合、死後に誰に頼るのか、生前に相談しておきましょう」(三国氏)

 手続きのうえでは0葬を完了できていても、思わぬトラブルが発生してしまうこともある。
 一般社団法人終活普及協会理事の市川愛氏が語る。
 「以前、火葬のみで葬儀を行わないことを希望された方がいらっしゃいました。
 その方が亡くなった際、遺族が親戚や友人に葬儀を行わなかった旨を連絡しました。
 すると、親戚が『亡くなった人に対する不義理だ』と激怒してしまったのです」
 死後、親戚同士に思わぬ軋轢を生むことのないように、仮に自分が納得して決断したことでも、生前から周囲に伝える。そのうえで、できる限り理解を得ておく。
 「遺書やエンディングノートを作成し、葬儀や墓をどうするか、あらかじめ自分の意思を書いておくべきです。
 さらに、親戚が集まる正月やお盆に、エンディングノートの置き場所を含めて、自分の要望を直接伝える機会を持ちましょう」(市川氏)
 愛する家族や友人たちに、気持ちよく自分を送ってもらいたい。すっきりとこの世を去るために、準備をしておこう。

■ 葬儀にかかる一般的な費用



「週刊現代」2018年12月15日号より