2019年1月24日木曜日

オーストラリアと中国の有り様:アメリカにおけるアジア系の今

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 ゴールドコーストに中国資本で超高層ビルが2棟だったか建つ予定であったが、中国政府が金融引き締めで資金の持ち出しにストップをかけたため頓挫している。
 サウスポートにはチャイナタウンの建設計画があり、敷地は決まっているのだが建設の歩みは鈍いようである。
 このところオーストラリアと中国の関係はよくない。
 2,3年ほど前は潜水艦の製造を強引に日本からフランスに変更したほど、豪中関係はよかったのだが、このところ様変わりしている。
 金の切れ目が縁の切れ目、といったところだろうか。


Record china配信日時:2019年1月24日(木) 10時20分
https://www.recordchina.co.jp/b682159-s0-c10-d0063.html

オーストラリア人が行方不明、中国当局が拘束か

中国外交部の華春瑩(ホア・チュンイン)報道官は23日、オーストラリア人が中国で拘束されたとの疑惑について、「把握していない。関係部門に確認するように」と発言した。

この日の定例記者会見で出た、
「オーストラリア側は現在、ある豪国籍の男性の行方を調べている。
男性の友人は、失踪あるいは中国で拘束された可能性を指摘している」
との質問に答えた。

中国では先月、カナダ人2人が「中国の国家の安全に危害を及ぼす活動」に従事した容疑で拘束されている。



2019.1.24(木)  The Economist (英エコノミスト誌 2019年1月19日号)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55286

オーストラリアが太平洋で中国と勢力争い
責務に目覚めた「領主」、
気候変動をめぐる議論には気まずさも

 オーストラリアはこれまでずっと、スコット・モリソン首相が自国の「patch(担当区域)」と呼ぶ海域――メラネシア、ミクロネシア、ポリネシアの島々が散在する太平洋の一角(数百万平方マイル)――の持ち主であるかのように振る舞ってきた。

 オーストラリアは慢心に陥っていた。
 担当区域はその上空を通過するところであり、訪問先ではなかった。
 1月半ばのオーストラリアの首相によるバヌアツ訪問は1990年以来、フィジー訪問は2006年以来だった。
 実際訪問した際も太平洋諸島の年次会合への出席だけが目的だった。
 従ってモリソン氏は、両国への公式訪問により歴史を作っていることになる。
 当人は、この地域を重視していることの一環だと強調する。
 確かに、オーストラリアは昔から太平洋諸島の人々にとって主たる移住先であるうえに、太平洋最大の貿易相手であり援助国だった。
 最後の頼みの綱となる警察官でもある。

 しかし、オーストラリアからこの地域への輸出は脂の多い肉類、たばこ、酒類が主体だ。
 投資も盛んでないことが多く、バヌアツによるオーストラリアへの投資額はオーストラリアによるバヌアツへの投資額を上回っている。
 オーストラリアは傲慢で高圧的だと批判されることも少なくない。
 同国のある外交官は、「(我々は)ボールを落としてしまった」と語っている。

<<略>>



AFP BB news 2019年2月8日 16:03 発信地:シドニー/オーストラリア
http://www.afpbb.com/articles/-/3210264?cx_part=top_category&cx_position=5

豪議会のコンピューターに不正アクセス、中国などの関与捜査

【2月8日 AFP】オーストラリア連邦議会は8日、議会のコンピューターネットワークが不正アクセスを受けたと発表した。
現在、中国などの関与がなかったか捜査が行われているという。

 議会は声明を発表し、「議会のコンピューターネットワークに対するセキュリティー上の事案が発生したことを受け、ネットワークと利用者を保護するための対策が取られている」と明らかにした。

 議会関係者は不正アクセスの狙いや目的についてコメントすることは控えたが、情報が抜き取られたなどの証拠は今のところないと説明している。

 豪公共放送ABCによると、現在情報当局が中国などの外国政府が不正アクセスに関与した可能性について捜査しているという。(c)AFP



【新冷戦?】中国が豪州の石炭輸入を禁止したらしい 
三神利休


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 ミルク争奪バトル:中国海軍も参加
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● ミルク争奪バトル


Record china配信日時:2019年1月11日(金) 21時50分
https://www.recordchina.co.jp/b678179-s0-c30-d0063.html

壮絶!アジア系の客が粉ミルク売り場に殺到、横取りも―豪州

店内に並ぶ粉ミルクに「われ先に」と手を伸ばし、転倒してしまう買い物客―。
オーストラリアのスーパーマーケットで8日、こんな光景が目撃された。

この動画を紹介したカナダの中国語サイトによると、メルボルンのあるスーパーが出した「8日に商品入荷。皆様のお買い求めをお待ちしております」との事前告知が大勢の客を呼ぶ原因となった。
ほぼ全員がアジア系で、年齢は50歳前後。開店と同時に目当ての粉ミルクに殺到し、「他人に奪われまい」と商品をぎゅっと抱きしめる人もいたという。

同サイトは
「ある男性客が転んでもみんな無関心。それどころが男性が落としたミルクが横取りされる結果に…」
とその壮絶さを説明し、地元の主流メディアがこの騒動を取り上げたことも紹介。
ネットには
「オーストラリアのスーパー、命懸けでミルク奪ってる」
「代購(海外で購入した商品をSNSなどで転売する代理購入)のために自分の両親がスーパーに行くのを黙認した人たち。恥を感じてほしい」
などのコメントが寄せられたという。

同サイトは
「昨年9月はトウモロコシの特売をしたカナダのあるスーパーが、押し寄せた中国系の客で『戦場』のようになった」
と伝え、
「こうした騒動は海外で暮らす中国系市民のイメージを大きく損ねるものだ」
と注意を促している



2019年06月28日(金)17時00分 ラージャオ(中国人風刺漫画家)/唐辛子(コラムニスト)
https://www.newsweekjapan.jp/satire_china/2019/06/post-14.php

中国海軍がオーストラリアで粉ミルクを爆買いする理由


●(c) 2019 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN

<安全安心な食料品を一部の特権階級が特別に供給されることは、中国では何千年も前から継承される千古不変の伝統>

 天安門事件30周年の前日の6月3日、オーストラリアのシドニー湾にひそかに現れた3隻の中国軍艦に現地は騒然とした。
 でも、もっと人々がびっくり、唖然としたのは、その後の豪メディアが公開した写真だ。
 堂々たる大国の軍艦の乗組員が、地元で粉ミルクや美白シートマスクなどを爆買いした上、軍艦へせわしく搬入している。
 その姿はネットで大いに話題になった。
 中国海軍の粉ミルク爆買いは今回が初めてではない。
 16年にも海外メディアが「中国海軍がオーストラリアで粉ミルクを爆買いし、ケースごと軍艦へ搬入」と報じた。
 この記事は今でもネットで見つけることができる。

 08年に粉ミルクのメラミン混入事件が発生して以来、中国の人々は国産品に強い不信感を持ち続けており、経済的余裕さえあれば、ほとんどの人が海外の中国人から代理購入する。
 中国海軍がオーストラリアで粉ミルクを爆買いする理由もこれだろう。
 海軍の船だから、帰国時の税関検査など面倒くさい手続きが一切ない。
 誰より便利な密輸特権を握っているわけだ。
 中国で特権は何千年も前から継承される千古不変の伝統だ。
 「特供」とは特権の一部で、より安全安心で栄養がある食料品を一部の特権階層に特別供給することを指す。

 共産中国の特供は延安時代までさかのぼる。
 その頃から旧ソ連をまねして延安の党幹部に特供が配られ始めた。
 新中国の成立後、特供は明確に制度化され、各地に特供農場を設置。独自の供給チェーンもできた。
 そのおかげで、特権階層は添加物だらけの加工食品や化学肥料にまみれた農作物など、普通の市民社会を脅かす食の安全問題と無縁なのだ。

 中国のSNS上で軍艦へ粉ミルクを搬入している乗組員たちの写真はさまざまな議論を呼んだ。
 「やはり軍内の特権階層のためだろう」といった不平不満だけでなく、
 「中国軍が海外へ行って粉ミルクを爆買い。これ以上の皮肉はない」
 「中国の特供チェーンも国際化か!」
という嫌みもあった。
 オーストラリア政府は当初、中国軍艦の入港を国民に知らせていなかった。
 外交上の秘密が理由でなく、自国民の怒りを恐れたからかもしれない。

【ポイント】

●粉ミルクのメラミン混入事件
 2008年、大手乳製品メーカーが製造した粉ミルクに結石などを引き起こす化学物質メラミンが混入。
 乳児1人が死亡し、5万4000人の乳児が腎臓結石になった。

●延安時代
 国民党軍に追われた共産軍は1万キロ以上の長征を経て西北部の陝西省延安に移動。
 1935年から1947年までここを根拠地とした。
 この間、苛烈な粛清運動も行われた。

<本誌2019年7月2日号掲載>




サーチナニュース 2019-03-08 16:24
http://news.searchina.net/id/1676483?page=1

脱亜入欧を目指した日本とは逆に「脱欧入亜」を進める国がある!=中国メディア

 中国メディア・東方網は8日、近代の日本が「脱亜入欧」をスローガンに国力を強化し拡張路線を進んだのとは対照的に、近頃ではオーストラリアが「脱欧入亜」を進めているとする記事を掲載した。
 記事は、日本が明治維新後に福沢諭吉が提起した「脱亜入欧」をスローガンに国力を発展させたとし、アジアの隣国に並ぶことなく、民族精神上も国の戦略上も欧米列強を見習ったと紹介。
 これにより強くなった日本は日清戦争で清国を破り、日露戦争でロシア帝国に勝つ成果を上げたとしている。

 一方で、日本の「脱亜入欧」は他のアジア人に「対外的な政策や野心は欧米列強とそっくりで、同じアジアの一員と見ることはできない」という認識を抱かせると同時に、欧米人にはなおも「髪が黒く肌の黄色いアジア人」と扱われ続けるというジレンマを抱えることになったと説明。
 しかし、日本人にとって重要なことは決して欧米人になることではなく、あくまで自国が強く豊かになることだったとし「その相手が欧米でなくとも、地球外の星でもよかったのだ」と伝えた。

 そのうえで、近年では逆に典型的な西洋国であるオーストラリアが頻繁に「脱欧入亜」を主張していると指摘。
 アジアの台頭と欧州の低迷を見たオーストラリア人が、何千里も離れた母国よりも近場のアジアとの関係を緊密にすべきだということに気づいた結果であると説明した。
 そして、1993年に当時のキーティング首相が「わが国はもはや大英帝国の一部分ではなく、全面的にアジアに融合しなければならない」と発言したことを紹介。
 その背景には輸出先の大半を東アジアが占め、欧米はそれぞれ10%程度に過ぎないという強烈な数字の対比があり、同国人に自らの立場を改めて考えざるを得なくしたと伝えている。

 記事は最後に、かつて脱亜入欧を目指した日本にしろ、現在「脱欧入亜」に取り組んでいるオーストラリアにしても、決して欧州人やアジア人になりたいわけではなく、政治的、経済的なつながりを強化して自分の実力を高めようという意識の表れであると指摘。
 その策略は、今も昔も変わらないのだと結んでいる。



3/21(木) 17:00配信 堂本 かおる 文春オンライン
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190321-00011119-bunshun-ent

「透明人間」から「目障りな存在」に? 
アメリカにおけるアジア系の今

 先ごろ、アリアナ・グランデが「7つの指輪」のつもりで彫ったタトゥー「七輪」が物議を醸した。
 実のところ、今のアメリカには表記の正誤を問わず、漢字や日本語のタトゥーが溢れており、もはや珍しいものではなくなっている。

■浸透するアジア文化と「目障り」になったアジア系

 ファッション・ブランドも盛んに日本語を取り入れている。
 イギリスのブランド Superdry はアメリカにも進出しており、街を歩けば「極度乾燥(しなさい)」と書かれたバックパックを背負った若者を見掛ける。
 少し前にはナイキが「くつろぎクラブ」と書かれたシャツや帽子を売り出していた。
 今のアメリカでは日本製のアニメ、漫画、ゲームが無くてはならないものになっている。
 ここ数年はK-Popの進出も目覚ましい。
 意味の通らない日本語や漢字のタトゥーやTシャツは、そうしたシーンから派生した表層的なポップ・カルチャーだと言える。
 このように日本やアジアのカルチャーが浸透する一方で、アメリカに住む日系人やアジア系の立場は微妙だ。
 かつてアジア系は存在感の薄い「透明人間」だった。
 ところが近年はアジア系が社会のさまざまな場所で活躍しており、つまり徐々に目立ち始めている。
 すると、それを「目障り」に感じる非アジア系アメリカ人も出てきて、アジア系はヘイトクライムの対象にすらなりつつある。
 本稿では米国における日系人やアジア系の立ち位置の変遷を追ってみたい。

■高頻度で「君はチャイニーズ?」と聞かれる理由 

 私はニューヨークに住み始めたばかりの頃、道で男性から「ヨー! チャイナ・ドール!」などと声を掛けられることを密かに楽しんでいた。
 男性が女性に性的な下心を込めてからかいの声を掛ける行為は「キャットコール」と呼ばれ、セクシャル・ハラスメントのひとつだ。
 だが、親しい友人知人がまだおらず、英語も拙かった時期、とにもかくにも理解できる英語で話し掛けられることが愉快だった。
 もちろん立ち止まったり、返事をしたりはせず、さっさと歩き過ぎるのだが。
 道ではなく、ドラッグストアのレジの行列などで「君はチャイニーズなの?」と声を掛けられると、これは逃げ場がないため、「ノー」と返事をすることになる。
 すると「じゃあ、ジャパニーズ? 当たり!? オレ、知ってたよ、君がジャパニーズだって!」と一方的に盛り上がる人もいれば、「違うの? えーと、フィリピン? ベトナム? タイ?」と、思いつく限りのアジアの国名を挙げる人もいた。

 アメリカ滞在が長引くにつれ、こうした会話にも飽きてしまったのだが、気付いたことがいくつかある。
 まず、アジア系であることは一目で分かっても出自を見分けるのはほぼ不可能だ。
 かつ在米のアジア系の中では中国系の人口が圧倒的に多い。
 そこで、まずは「チャイニーズ?」となる。

 「アジア全域で中国語が話されている」「日本は中国の一部」と思い込んでいる人もいる。
 これはラティーノ(中南米諸国出身者)のほとんどがスペイン語を話すことに基づく勘違いだ。
 私も同僚から「あなた日本人でしょ? 旧正月はチャイナタウンに出掛けるの?」と聞かれたことがある。
 その同僚もカリブ海のドミニカからの移民であり、似た国名のドミニカ共和国出身者とよく混同されていたのだが、アジアの事情には疎かった。

■出自を聞かれたときの“マイルール”

 こうした体験を重ねるうちに、日本で暮らしていた時よりも日本人としての自覚がはるかに強まっていった。
 だが、それをどう表すかについてのルールも自然と出来上がっていった。
 キャットコーリングも含め、二度と会わない他人から「チャイナ」「コリア」など他の国名で呼ばれてもいちいち訂正しない。
 面倒なだけで意味がないからだ。
 同僚など付き合いが続く相手であれば、相手から出自を聞かれた場合のみ「日本人です」と説明する。
 ただし、相手が特に日本に関心を持つ人である場合を除き、日本文化の詳細などを説明することはしない。
 上記の同僚のセリフで分かるように、アメリカ、なかでもニューヨークは際立った多民族社会ゆえに、逆に他者の文化に対する関心が薄いからだ。
 事実、私を中国人だと思った女性に対し、私の夫が「妻は日本人です」と訂正すると、「あら、そうなの? Whatever.」と返されたことがある。
 「Whatever = どうでもいい」である。

 いくら他者の文化への関心が薄いからと言って、先の女性のように面と向かって「whatever」などと言うのは無礼の極みだが、前述のように第三者が民族性を見分けることは難しい。
 かつアメリカでは「白人」「黒人」「ラティーノ」「アジア系」「ネイティブ・アメリカン」など、人種*による区分が定着している。
 様々な民族を内包する人種グループだが、大枠では社会的な立ち位置を共有するからだ。
<*>ラティーノはスペイン語話者という文化的な括りだが、人種グループのように扱われる

■中国にルーツがある人々の物語に、全米のアジア系が熱狂した理由

 アジア系に限らず、アメリカ在住者の複雑なアイデンティティの構造がここにある。
 多くの人が、例えば黒人であればアフリカン・アメリカン(奴隷の末裔)、ジャマイカ系、セネガル系(共に移民か、その子孫)など、ラティーノであればメキシコ系、プエルトリコ系など、白人であってもイタリア系、ポーランド系など、出自に基づく強いアイデンティティを持つ。
 同時に人種意識も強い。
 出自や民族と人種、どちらのアイデンティティがより強く出るか、それは場面によるのである。

 昨年、アメリカで大ヒットした映画『クレイジー・リッチ!』の原題が『Crazy Rich Asians』と「Asians(アジア人)」という単語を打ち出しているのも、これが理由だ。
 登場人物は中国系アメリカ人と、シンガポールおよび世界中に散らばって暮らす華人たち。
 厳密に言えば中国にルーツがある人々の物語であるにもかかわらず、この『Crazy Rich Asians』に全米のアジア系が熱狂した。

『Crazy Rich Asians』予告編
  これまでアメリカでは影の薄かったアジア系が実は頭がおかしくなるほどの大富豪で、お金を湯水のように使ってゴージャスなライフスタイルを満喫しまくっている。
 まさにアジア系の逆襲の物語として捉えられたのだ。

■厳しい差別を経験した、西海岸の日系人たち

 先ほど、かつて米国の日系人や、日系人も含まれるアジア人が「透明人間」であったと書いた。
 そんな日系人やアジア人の米国における歩みを見てみよう。
 アメリカにおける日系人の歴史はハワイと西海岸から始まる。
 1885年、日本からの初の公式移民団943人がサトウキビ農園で働くためにハワイに渡っている。
 明治維新の時期だ。
 以後、カリフォルニア州にも日本からの移民が相次ぐ。
 やがて日系移民へのアンチ運動が起こり、1907年に日本人労働者の移住が制限される。
 だが、翌年には「ピクチャー・ブライド(写真花嫁)」の渡米が始まる。
 単身アメリカに渡った男性のために、相手の写真だけで結婚を決めて渡米した女性たちだ。
 その後も反日感情は高まり続け、移民一世は米国市民権を取得できない、土地の購入もできないなど苦労を強いられる。
 街頭に「白人の土地だ。ジャップは出て行け」と書かれた看板が掲げられることもあった。
 そして1924年、日本からの移民は全面禁止となった。

 第二次世界大戦中の1942年から1947年まで、西海岸在住の日系人、約12万人が日系強制収容所に収容された。
 この時期、日系人は日本軍のスパイであるとされ、著名な絵本画家のドクター・スースも日系人を「チビ」「出っ歯」「ブタ鼻」「吊り目」「メガネ」のステレオタイプで描いた風刺画を発表している。
 戦後に収容所から解放された日系人は徐々に生活を立て直し、やがて政界にも進出していく。
 終戦17年目の1962年、ハワイ州のダニエル・イノウエが日系人として初の国会議員となっている。
 以後、日系人口の多いハワイ州、カリフォルニア州からは議員や知事が選出されていく。
 2000年にはカリフォルニア州出身のノーマン・ミネタがアジア系として初の閣僚に選ばれている。

■表に出ることを好まなかった、東海岸のアジア人たち

 アメリカ政府は戦後も厳しい移民規制を続け、アジア系も含め、新規の移民を受け入れなかった。
 1965年にようやく移民法の大改正がなされ、以後、世界中からの移民の大流入が始まる。
 私のように東海岸に住む者が身近に感じるアジア系、日系の移民は、私自身をも含むこのグループだ。
 ニューヨークはハワイやカリフォルニアのように日本からの集団移民を受け入れておらず、従って日系永住者の大きなコミュニティも存在しない。
 日系企業の駐在員とその家族、留学生、アーティストなどが集まって暮らす地区はあるが、駐在員も留学生も永住者ではない。
 ニューヨークの日系と、チャイナタウンやコリアンタウンといった大きな永住者コミュニティを持つ中国系、韓国系との大きな違いだ。

 その中国系や韓国系にしてもコミュニティ内部の充足を優先し、かつては政治家として出馬する者はいなかった。
 ニューヨーク州最大の都市ニューヨーク市は860万人の人口を持ち、全米最大の都市でもある。
 うち14%に当たる120万人がアジア系だが、ニューヨーク市初のアジア系市会議員が当選したのは2002年と遅く、そのジョン・リュー(現在は州議員)も含め、現在もニューヨーク市にはアジア系の議員は4人しかいない。

■アジア系がこれまで「透明人間」だった理由

 ちなみに4人とも移民だ。台湾、香港、韓国からそれぞれ子供の時期に移住し、アメリカで教育を受けている。
 アジア系の移民は極めて教育熱心なことで知られる。
 マンハッタンにあるスタイブサント高校は、ニューヨーク市に400校以上ある公立高校のうち特別入試が行われる上位9校の一つだ。
 先に書いたようにニューヨーク市のアジア系人口比率は14%だが、同校の生徒の実に74%がアジア系となっている(2016年時点)。
 同じくマンハッタンにあるラガーディア高校も上位9校に含まれるが、こちらはパフォーミングアート(舞台芸術)に特化した学校で入学選考にはオーディションもある。
 高い学力も要求されるが、アジア系の生徒の比率は20%まで下がる。
 つまりアジア系の生徒は “タイガー・マム” と呼ばれる教育熱心な親に鍛えられて優秀な成績を取り、優れた大学、大学院を経て一流企業への就職に邁進するのだ。
 大量の優れたアジア系人材はオフィスのドアの向こう側で活躍しており、一般人の目に触れるセレブや政治家には少ない。
 これがアジア系が「透明人間」であった理由の一つと言えるだろう。

 ちなみに、そうしたアジア系の若者のやるせない心情を見事に映画化した作品がある。
 『Better Luck Tomorrow』(2002)はカリフォルニアの男子高校生たちが、優等生であるにも関わらずアジア系ゆえに「冴えない」とみなされる生活にうんざりし、事件を起こす物語だ。
 監督のジャスティン・リンはのちに『ワイルド・スピード』シリーズで名を挙げ、出演俳優からも同シリーズでハン役を演じたサン・カン、『スタートレック』シリーズでヒカル・スールー役のジョン・チョーを輩出している。

■アジア系の「顔」がメディアに登場し始めた

 ところが近年、秀でたアジア系の存在が徐々にフィーチャーされ始めた。
 一時期、IT業界のトップ人材はセレブ扱いとなり、メディア露出が増え、そこにはアジア系の顔が並んでいた。
 初期にはジェリー・ヤン(ヤフー!共同設立者)、次いでスティーヴ・チェン、ジョード・カリム(共にユーチューブ共同設立者)、そしてペリー・チェン(キックスターター設立者)など。
 ビジネス界にもアジア系は進出した。
 ドン・チャン/ジン・スク・チャン夫妻(フォーエバー21共同設立者)、アジェイ・バンガ(マスターカードCEO)、ケヴィン・ツジハラ(ワーナー・ブラザース・エンターテインメントCEO*)などは、日本でも馴染み深い企業の創設者/CEOだ。
<*>3月18日、ツジハラは不倫関係にあった女優に映画出演の便宜をはかったとして辞任

 こうした「優秀な」アジア系のメディア露出が増えただけでなく、非アジア系アメリカ人の日常生活にも「上司はアジア系」「掛かりつけの医師がアジア系」「弁護士を雇ったらアジア系」といったシーンが増えている。
 ゆえに、どこからともなく急に現れ始めた、自分より社会的、経済的に上位にあるアジア系が疎ましく、「目障り」に感じる非アジア系アメリカ人が増えているのではないだろうか。

■相次ぐアジア系への差別事件

 2年前、アジア系への差別事件が相次いで報じられた。
 ユナイテッド航空のシカゴ発の国内便でオーバーブッキングがあった。
 すでに搭乗済みの男性客が抽選によって選ばれ、別便に振り替えるよう依頼されたが、男性客は断った。
 職員との口論の挙句に男性は空港警察官によって座席から無理やりに引き出され、通路を引きずられた。
 その際に男性は頭部を負傷し、流血の惨事となった。
 男性はベトナムからアメリカに移住した医師だった。
 同じ年に、カリフォルニア州でエアビーアンドビーを予約していた女性が、車で宿まであと数分の地点で宿主から宿泊拒否のテキストメッセージを受け取った。
 抗議する女性に対し、宿主は「アジア人だからよ」「これがトランプが大統領である理由」「外国人に指図はされない」と返答した。
 女性は3歳でアメリカに移住し、米国市民権を取得した法科の学生、つまり「アメリカ人」だった。

■「アジア系であれば人間以下で、ゴミクズみたいに扱われる」

 ユナイテッド便の男性客がアジア系であること、および医師であることはコンピュータによる抽選には関係していないはずだが、男性は口論の途中で自分は医師であると口にしている。
 職員や空港警察官が男性の職業を気に留めなかったとしても、男性がアジア系であることは一目瞭然であり、男性がもし白人であれば、あれほど暴力的に連れ出されただろうか。
 事件を知ったアジア系アメリカ人の多くが感じたことである。

 エアビーアンドビーの宿主も女性が法科の学生であることは知らなかったと思われるが、名前からアジア系であると察した。
 女性はテキストでの口論直後に車を降り、雪嵐のなかに佇んで涙ながらに以下の訴えを行い、ビデオに収めている。
 「とても傷付いた。アメリカに23年暮らして、こんなことが起こって、心が刺された。
 法に従おうが、他人に親切であろうが、他者に快く接しようが、関係ない。
 アジア系であれば人間以下で、ゴミクズみたいに扱われる」

■「文化」は愛されても「人」は愛されているのか

 漢字のタトゥーやアニメがいくら人気を博そうとも、マイノリティであるアジア系自身は相変わらず、その存在を尊重されにくい。
 これがアメリカの現実だ。
 かつ「民族/出自(中国系、韓国系、日系など)」「アジア系」「アメリカ人」と、少なくとも3つのアイデンティティを持ち、人によっては「移民」や「二世」、さらに「他の人種とのミックス」が加わることになる。
 それら複数のアイデンティティが時にはひとつずつ顔を出し、時には順位が入れ替わり、時には渾然一体となる。
 多民族社会で人種民族マイノリティとして暮らす者の定めであり、日本人もひとたびアメリカに移住すれば、この複雑なメンタリティと共に生きていくこととなるのである。



Record china配信日時:2019年7月7日(日) 16時40分
https://www.recordchina.co.jp/b727548-s0-c30-d0142.html

中国人6人が「プロの物乞い」としてオーストラリアで逮捕される

 オーストラリア公共放送のABCは5日、同国メルボルン市で警察が7人を「プロとして物乞い」をしていたとして逮捕したと発表した。
 うち6人は中国人で1人は白人だったという。
 中国メディアの新浪網なども5日付で、関連記事を掲載した。

 7人が物乞い行為を行っていたのは、メルボルン市ビジネス街のCBD地区。同市では物乞い行為が禁止されており、7人は詐欺容疑で逮捕されたという。
 現地の警察官によると、逮捕された者の多くは観光ビザでオーストラリアに入国していた。
 宿泊場所はないと主張したが、実際には同じ場所で寝泊まりしており、同グループと考えられるという。
 白人1人は中国人からなるグループには属していなかったと見られている。
 同警察官は、
 「メルボルン市民の善意に乗じて金もうけをした。われわれは絶対に許さない」
 「どれだけ多くをもうけていたか分からないほどだ」
と述べた。
 グループは手に入れたオーストラリア・ドルをその他の通貨に両替していた。
 どの通貨に両替えしていたのかははっきりと報じられていないが、少なくとも1人は、逮捕される直前に人民元に両替えしようとしていたという。

 「プロの物乞い」逮捕に動いたのは、メルボルン市が属するビクトリア州警察で、同警察は現在、通関関係とオーストラリア連邦警察、メルボルン市と協力して捜査を進めているという。

 中国では現在でも「物乞い」が社会問題になっている。
 中国政府・民生部は6月14日付で、「流浪の物乞いを救援管理」を強化する方針を、改めて明らかにした。

 一方で、本当に困窮しているのではなく、「物乞い」で比較的高い収入を得ようとする「プロ」が多いことも問題になっている。
 山東省メディアの大衆網によると、北京市警察が市内で身体障害者の「ふり」をして物乞いをしていた男を「公共の場所の秩序を乱した」理由で拘束して調べたところ、月収は1万元(約16万円)を超えており、市内のマンション2カ所で部屋を購入していたと分かったという。



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