2019年5月23日木曜日

“世界で最高の国”ランキング2019:スイス、日本、カナダ、ドイツ、イギリス

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5/22(水) 19:00配信 クーリエ・ジャポン Shuji Honjo
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190522-00000001-courrier-int

日本は「第2位」
“世界で最高の国”ランキング2019

 “世界で最高の国”を決める国際ランキング「ベスト・カントリーズ」(2019年版)で、日本が総合第2位に選ばれ、注目を集めている。
 このランキング調査は、米ペンシルバニア大学ウォートンスクールと、米誌「U.S.ニューズ&ワールド・レポート」、世界最大の広告代理店WPPグループで93ヵ国に拠点を持つ「BAVコンサルティング」が、毎年共同で行っているもの。
 初年度(2016年)に7位だった日本が躍進する一方、米国は4位から8位に下降。
 いったいなぜなのか? 
 主要国のランキング動向をお届けする。
 本ランキングは、「各国がグローバルでどう認識されているか」を捉えるため、
 36ヵ国・2万人超の知識人層と、ビジネスリーダー、そして一般人へのアンケート調査をもとにしている。
 その際、ウォートンのデイビッド・レイブスタイン教授とBAVは、国の成功を示す65の特質を質問化し、指標とした。
 また、そのうちの57指標を、
 「冒険性」
 「国民の権利・進歩的な姿勢」
 「文化的影響力」
 「起業家精神」
 「伝統」
 「将来性」
 「ビジネスへのオープン性」
 「パワー」
 「生活の質」
の9つのサブカテゴリーにまとめた。
 さらに、この9つのサブカテゴリーを一人あたり購買力平価GDPとの相関から加重平均をとり、総合ランキングとしている。
 (なお、ランキングへの影響が大きいサブカテゴリーは、「起業家精神」「生活の質」「国民の権利・進歩的な姿勢」「将来性」の4つだ。)

■過半数が「世界は悪くなっている」

 総合ランキング上位国について、前回(2018年)から今回(2019年)にかけての変化を見ると、スイスが変わらず首位
 日本が5位から2位へ大きく上昇し、
 つづくカナダ・ドイツ・英国はひとつずつ順位を下げた。
 また、スウェーデン・オーストラリア・米国が前回同様に6~8位。
 そして、ノルウェーが12位から9位に順位を上げた。

 2016~2017年にかけては米国の大統領選など目立った変化をはさんだため大きな変動があったが、2018~2019年にかけてはおおまかにこれまでの“延長上”にある。
 だが、これは安定を意味しているわけではない。
 グローバル経済やテロリズムへの不安、経済格差、気候変動などの問題が世界には横たわる。
 世界の人々の多くは、不安定な政情にリーダーシップの危機を感じている。
 本調査でも、50%以上の人々が「昨年より世界は悪くなった」と答えている。
 また70%以上が「ナショナリズムが強まっており、グローバルなことよりも国内に関心がある」と回答している。
 さらに3分の2が「自国は安全と思っている」が、「世界が安全と思う」のは3分の1に過ぎない。
 こうした危機感がランキングの結果にも一部反映されているようにみえる。

■1位スイスと3位カナダの“安定感”

 3年連続で総合ランキング1位のスイスを見てみよう。
 サブカテゴリーでは、「国民の権利と進歩的な姿勢」がノルウェーとカナダに次いで3位と前回から1ランクダウン。
 「起業家精神」4位、「パワー」14位、「将来性」25位は、それぞれ順位を上げている。 また前回同様、「ビジネスへのオープン性」2位、「生活の質」5位も目立っている。
 サブカテゴリー以外では、「本社を置くのに最適」1位、「エコな生活」2位、「退職後の人生」2位、「透明性」2位が際立っている。
 法と秩序がしっかり整った成熟した社会、
 そして経済の発展とともに金融が発達した、“安定した開かれた国”
としてスイスは高く評価されている。

 そして、カナダ。
 同国は前回2位から今回3位に1ランクダウン。
 サブカテゴリーでは前回同様、「生活の質」1位、「国民の権利・進歩的な姿勢」2位。サブカテゴリー以外では、「本社を置くのに最適」2位、「教育」3位、「退職後の人生」4位、「子育て」4位が目立っている。
 カナダは「生活の質」で世界をリードしており、経済的にも政治的にも安定した国と認識されている。
 前回の調査における「世界の代表的リーダーの比較」では、カナダのトルドー首相が各国トップのなかで最高の支持を得ており、「トルドー首相は世界で最も偉大なリーダーのひとりとみられており、カナダの国の認識にも貢献している」とレイブスタイン教授が指摘している。
 なお、若い世代の調査結果では、カナダがスイスを上回っている。
 35歳以下の世代は他の世代より、カナダのビジネス環境を好ましく認識しており、また「国民の権利・進歩的な姿勢」も1位となっている。
 移民政策が好感を呼んでいる面もあるだろう。
 安定したスイスとカナダが総合1・3位となったのは、前回同様に、不安定な政治状況の裏返しといえるだろう。

 次に、2016年には総合1位だったドイツは、前々回4位、前回3位、そして今回はまた4位と順位を落としている。
 (2016年の調査対象外で)前々回から加わったスイス、そして日本とカナダに追い抜かれた格好だ。
 何十万人もの移民の流入、テロ活動、フォルクスワーゲンのスキャンダルなど企業問題、そして政治的なリーダーシップをめぐる論争などが影響していると、レイブスタイン教授は指摘している。

 なお、前回から3ランクアップして総合9位となったノルウェーは、サブカテゴリーで「国民の権利と進歩的な姿勢」1位、「生活の質」4位が目立った。また、「将来性」は前回37位から30位へと大きく順位を上げた。ここでも「国民の権利と進歩的な姿勢」と「生活の質」の評価の重要性がわかる。

■不本意な“トランプ効果”

 不安定な政治状況といえば、トランプ政権の米国を連想する人は多いだろう。
 米国は、2016年の総合ランキング4位から、前々回で7位に後退、さらに前回8位へダウンし、今回はそのまま8位と動かなかった。
 前回の「世界の代表的リーダーの比較」で、トランプ大統領は「適任25%・不適58%」と最も支持されないリーダーとなった。(ちなみに大統領選直後に行われた前々回の調査では、約75%が「大統領選後に、米国へのリスペクトを失った」と回答している。)
 そうした“トランプ効果”で、米国の「信頼性」は2016の17位から、前々回23位、前回25位、今回27位へと下降の一途をたどっている。
 「信頼について外部の認識が著しく低下したことは米国にとって最大の失墜であり、このことが人々が米国についてどう感じるかに影響している」とレイブスタイン教授は指摘している。
 それでも米国は、サブカテゴリーの「パワー」で3年連続1位。
 また「起業家精神」3位、「文化的影響力」4位と強さを見せるが、「ビジネスへのオープン性」は2016年の23位から前々回35位、前回43位、今回48位へと下がり続けている。
 レイブスタイン教授によると、今回の総合8位も不安定なもので、さらに下がりかねないとみている。

 一方、発展を続ける中国は、前回の総合20位から16位に上昇。
 サブカテゴリーでは、「パワー」3位、「将来性」3位が目立つ。
 レイブスタイン教授は、「課題もあるが、初めて訪中した1981年からここまで信じられない変身を遂げており、進化を続けている」と語る。

 このランキング調査は、世界の人々の「認識」を計測する“国のブランド研究”だが、各国が世界的にどう受け止められ、感じられているかを理解することは、人々の判断や行動を考察するうえでも示唆が深いだろう。

■「日本がいい」と思わない日本人

 日本は総合ランキングで2位。
 これは2016年の7位から、前々回と前回の5位を経て、躍進したかたちだ。
 しかし、この結果を「そうか、なるほど」とすんなり受け入れる日本人はどれだけいるだろうか?
 詳しい内容を見る前にひとつ示しておきたいことがある。
 それは、今回の調査対象となった国々のほとんどで、自国に対するイメージが他国からのイメージを上回っているということだ。
 だが、日本はその逆をいく最たる例で、他国の人々が日本についてよく思っていても、日本の人はそんなに素晴らしいとは感じていない、という結果だった。
 レイブスタイン教授は、「日本はテクノロジーへの取り組みなど、とても起業家的だ」と語り、また「日本というとエレクトロニクス製品を連想するが、たとえ他国にお株を奪われたような分野でも、長きにわたってブランドとイメージが人々にかたく浸透している」と言う。
 またレイブスタイン教授は、「日本はスイスのようにクリーンで安全だ」と指摘する。
 自らの体験からも、「日本ではさまざまなものが秩序だっていて、素晴らしい文化を持っている。そして騒音も少ない」と褒めている。
 このように海外の人々の多くは、日本にとても良いイメージを持っており、それは日本国内の人々によるイメージを上回っているのだ。

■まだある日本の「ポテンシャル」

 さて、日本がサブカテゴリーで10位以内に入ったものは、「起業家精神」1位、「将来性」5位、「文化的影響力」6位、「パワー」7位。また前回より順位を上げたものでいうと、「国民の権利・進歩的な姿勢」が19位から17位へ、「生活の質」が14位から 13位へ、「伝統」が12位から10位へ。
 こうしたソフト面のほかに、「起業家精神」が2位から 1位へ、「ビジネスへのオープン性」が26位から22位へと、ビジネス環境もバランスよくアップしている。

なお「起業家精神」とは、ベンチャー企業のことではなく、
 “国全体のイノベーション”を評価するもの。
 世界は日本を“イノベーション大国”として認識しているということだ。
 (「起業家精神」の評価要素のうち、「革新性」「技術の専門性」とともに「確立されたインフラ」や「スキルの高い労働力」「教育された人材」において、日本は満点を記録している。)
 また、日本はまだまだ“ポテンシャルが高い国”として認識されており、ダイナミックさやユニークが評価される「将来性」では5位となっている。(1位UAE、2位シンガポール、3位中国、4位インド。1~5位の順位は前回から変動なし。)
 また日本は「未来志向」で1位となっている。
 とかく日本国内の人々はウチに閉じて国際性に欠ける面があり、海外の人々の感じ方を意外に思うかもしれない。
 だが、筆者の体験と最近のガッツフィーリングでも、日本のイメージは高く、かつ上昇基調であることを言い添えたい。

■世界1位への「ニッポンの課題」

 高評価の一方で、世界が見た“ニッポンの課題”についても紹介しておきたい。
 日本の順位が低いサブカテゴリーは次の3つだ。
 まず「冒険性」39位。
 楽しさ、天候、景色、人々のフレンドリーさなど、観光に関係する項目だ。ちなみにサブカテゴリー以外では「ひとり旅」27位と、日本は“自由に楽しめる国”とはあまり思われていないようだ。
 次に「ビジネスへのオープン性」22位。
 前回(26位)から改善したとはいえ、税制や官僚的な組織、コストの高さなどが、厳しく評価されている。
 そして「国民の権利・進歩的な姿勢」17位。
 「男女平等」、「信教の自由」、「人権」、「政治パワーの分散」などにおいて、世界に厳しく見られている。

 サブカテゴリー以外で低水準だったものでは、「退職後の人生」37位、「留学」21位、「子育て」19位、「女性(進出)」18位が目立つ。
 日本は暮らしやすさについてスイスやカナダ、北欧諸国に遠く及ばず、また国際性が欠けていると認識されていることがわかる。
 女性進出については言うまでもないだろう。

 しかし、これらをふまえても、先の“自己評価の低さ”は大きな課題として認識した方がよい。
 問題は認めなければならないが、良さや強み、そして外からのイメージも理解することが大切だ。
 「そうなりたい」と思わなければなれないし、自信や自己肯定感が乏しければ、明るい未来はつくれないだろう。

 「次回は日本が1位になると期待している」とレイブスタイン教授は言う。
 これは今回の結果に加えて、さらに2020年の東京オリンピックがポジティブな影響をもたらすだろうと期待されるからだ。
 世界の認識とのギャップを理解し、人々がもっと自信を持って、明日に向かって明るく進む“新たな日本”となることを願いたい。



ロケットニュース24 P.K.サンジュン15時間前
https://rocketnews24.com/2019/05/29/1215806/

【2019年】「世界競争力ランキング」が発表される
 / 昨年は25位だった日本は…

 2019年5月28日、スイスの名門ビジネススクールIMDが『世界競争力ランキング2019』を発表した。
 これは1989年から公開されている統計データで、GDP増加率や失業率、景気回復力など235の指標で、世界63カ国をランキングしたものである。
 2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックを目前に控えているにもかかわらず、景気がいい実感はなかなかない日本。
 2018年は25位だったが、果たして今回は──。

★・オリンピック景気は?
 「失われた20年」という言葉を聞くまでもなく、一時は世界有数の経済大国だった日本が、バブルの崩壊とともに泥沼の不景気に陥っていることは周知の事実である。
 そして現段階でも記者のような庶民には「景気が良い」「景気が良くなりそう」という気配が伝わってこない。
 東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まった際は「これで日本も景気が回復する」と期待したものだが、およそ1年後の日本経済はどうなっているのだろうか? 
 むしろオリンピックが終わってしまった後は……? 
 想像するのがちょっと怖い。

 話は逸れてしまったが、昨年の『世界競争力ランキング』では25位だった日本。
 果たして今年は何位にランクインしたのか? 
 1位から5位までを一気にごらんいただきたい。

★・世界競争力ランキング2019
第1位: シンガポール
第2位: 香港
第3位: アメリカ
第4位: スイス
第5位: アラブ首長国連邦
第6位: オランダ
第7位: アイルランド
第8位: デンマーク
第9位: スウェーデン
第10位: カタール

第11位: ノルウェー
第12位: ルクセンブルグ
第13位: カナダ
第14位: 中国
第15位: フィンランド
第16位: 台湾
第17位: ドイツ
第18位: オーストラリア
第19位: オーストリア
第20位: アイスランド

第21位: ニュージーランド
第22位: マレーシア
第23位: イギリス
第24位: イスラエル
第25位: タイ
第26位: サウジアラビア
第27位: ベルギー
第28位: 韓国
第29位: リトアニア
第30位: 日本

第31位: フランス
第32位: インドネシア
第33位: チェコ
第34位: カザフスタン
第35位: エストニア
第36位: スペイン
第37位: スロベニア
第38位: ポーランド
第39位: ポルトガル
第40位: ラトビア

第41位: キプロス
第42位: チリ
第43位: インド
第44位: イタリア
第45位: ロシア
第46位: フィリピン
第47位: ハンガリー
第48位: ブルガリア
第49位: ルーマニア
第50位: メキシコ

 というわけで、1位はシンガポール、そして日本は昨年より5つ順位を落とした30位であった。
 注目は32位のインドネシアで、昨年から11ランクアップで日本を猛追している。
 また、サウジアラビアも13ランクアップの26位と大きく躍進した格好だ。
 あくまで『世界競争力ランキング』なので、単純に「低ければ経済が悪い」ということではないハズ。
 ……ただ、それでも日本の景気が回復すると同時に順位も上がっていくのだろう。
 オリンピックが開催される2020年、日本は何位にランクインしているか。
 注目だ。

参照元:IMD World Competitiveness ranking 2019(PDF)
執筆:P.K.サンジュン





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