2019年6月30日日曜日

風邪か疲れか?:めまいとフラフラ、「はだし散歩=1,048km」が原因?

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● 冬の予防対策

 このところ風邪で体を動かしていない。
 先の水曜日は雨で21km予定は流れたが、この日体調がすこぶる悪くもし走っていたら少々面倒くさいことになったかもしれない。
 夜に吐いた。
 風邪か、あるいはいまやたらと流行っているインフルエンザかと思った。
 インフルエンザは猛威をふるっており、医療機関では無償で予防接種をしてくれる。
 よってパーマシーの前にはその旨の大きな看板が出ている。
 風邪なら先日の突然の気温の下落に体がついていかなかったことによるものだろうと思う。
 症状は実にシンプルで、発熱、痛み、咳や痰、下痢、食欲不振など風邪につきものの症状がまったくない。
 めまいと体足のフラフラだけである。
 ベッドから起きようとするとめまいが襲ってくる。
 立ち眩みと同じ症状である。
 ウーと突っ伏してまたベッドに戻るということになる。
 階段を降りるときは体がさだまらず、手摺につかまって何とか転げ落ちるのを防いでいる。
 体が安定するまではドア枠をつかんでカベに寄り添って伝え歩きである。
 昼食を摂って体に力が出てくるとショッピングセンターに買い物に出かけるが、このとき足がもつれる。
 ゆっくり歩いてなんとか転ろばないようにしている。

 熱や痛みがないことからインフルエンザではないことは分かってきた。
 とすると風邪なのだが。
 どうも症状が偏狭すぎる。
 とすると疲れによるものか。
 でも疲れなら3日も寝れば回復するものではないのか。
 今日で5日目になる。
 お酒もやめているのだが。
 もし疲れならその原因はとなるが、思い当たる事は「はだし散歩」である。
 なにしろほぼ毎日歩いている。
 雨とか体調不良とかで休むことはあっても、休歩日を設けているわけではない。
 今日は6月末で年の前半の終わりである。
 この半年に歩いた距離は「1, 048km」となり一千キロを超えている。
 別に老体にムチ打って歩いているわけではないが、もしかしたらこれが自覚なく疲労をためることになり、結果として体を蝕んでいるのかもしれない。
 もしそうなら今後は歩き方を変えた方がいいかもしれない。
 つまり「体に優しい散歩」を目指すということになる。
 例えば、ランニングした日は歩かない、一回の上限は4キロを超えない、一日の上限は8キロを超えない、ときどき「散歩休みの日」を設けるなどである。
 このところ食事の前に目をつむることが多く、そのとき目が回るような感覚になる。
 やはり疲れが原因か。
 無理のきかない体になってきているということでもある。
 ちなみに1月から6月までのこの半年のランニングは「435km」である。
 ランニングは週一回なので疲れには問題ない。
 ウオーキングとランニングを合わせると「1,483km」で一千五百キロ弱になる。
 少々運動のし過ぎになり、老齢への負荷が大きいかもしれないとも思える。 
 「運動のし過ぎに注意しましょう」では話にもならない。

 そんなことで先週は走れなかった。
 よって本番前に21kmをあと2回走るという予定は崩れた。
 更に明日は最後の21km走の予定日であるがこの体の具合では無理。
 明後日に延ばすがおそらくこれも無理だろう。
 とするともう本番前の21kmランニングは不可能になる。
 となれば明々後日水曜日に15kmをゆっくり走って足を慣らす程度のことしかできないようである。
 木金土と3日休んで日曜日に本番のハーフに挑戦ということになるのだが。
 果たしてそれも可能か。 


 

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2019年6月26日水曜日

トヨタ自動車社長・豊田章男の母校でバブソン大学スピーチ

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現代ビジネス 2019.06.26 リップシャッツ 信元夏代ブレイクスルー・スピーキング代表
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65476

トヨタ社長のスピーチは、なぜアメリカ人に「大絶賛」されたのか
ポイントは「ワンビッグメッセージ」



 トヨタ自動車の代表取締役社長・豊田章男氏が母校であるアメリカのバブソン大学にて行ったスピーチが話題を呼んでいる。
 5月18日の卒業式にゲストスピーカーとして登壇したものだ。
 何がアメリカ人の心をつかんだのか? 
 内容の紹介と共に、NYで自身の「ブレイクスルーメソッド」を利用したプロスピーカーとして活躍し、7月には『20字に削ぎ落せ ワンビッグメッセージで相手を動かす』という著書を出すリップシャッツ信元夏代さんに解説・分析してもらった。

■アメリカ人の若者も家族も拍手喝采

 退屈なスピーチやプレゼンを聞かされた経験となると、ほとんどの方が「ある」と答えるのではないでしょうか。
 よく日本人はスピーチが下手だといわれますが、残念ながら私が見聞きしてきた経験では、そういうケースが多々あります。
 しかしそれは決して日本人が口ベタだから、といった理由ではないのです。

 最近、私が見て感心したスピーチは、トヨタの代表取締役社長、豊田章男氏が米国バブソン大学卒業式で行った祝辞です。
 ビデオをご覧いただければわかりますが、どかん、どかんと笑いがあがり、アメリカ人の若者も家族たちも拍手喝采を贈っています。
 いったい文化の壁を越えて、これほど人々の心を掴むスピーチには、どんな秘密があるのでしょうか。
 では、豊田章男氏のスピーチ「さあ、自分だけのドーナツを見つけよう」をブレイクスルーメソッドに沿った形で分析していきましょう。

■印象は7秒で、おもしろさは30秒内で判断

 最初の挨拶のあと、豊田氏のスピーチ本体の冒頭は「大切なことだけ言います」から始まります。
 ズバッと最初から3秒ほどで、切りだしているわけです。
 そして「卒業後、仕事があるか不安を感じている皆さんもいるでしょう、皆さんの心配事をまずは解決しましょう」と卒業生にとってもっとも関心の高い就活問題にふれて、
 「みなさん全員にトヨタでの仕事をプレゼントします」
と、いきなり驚きの爆弾発言。
 とたんに「うわーッ」と卒業生たちがどよめきます。
 ここまでが、ちょうど30秒ほど。

 このオープニングの手法がまずうまい。
 一気に若者たちの心を引きつけています。
 スピーチでは「最初の7秒」で印象が決まるとされます。
 わずか7秒の間に口にすることで、第一印象が決まってしまうのです。
 そして話が始まったところで、聞いている側は「30秒」で話がおもしろいか、おもしろくないかを判断するのです。
 ほとんどの話は、プレゼンだろうが、セールスだろうが、30秒内という短い時間で判断されます。
 ブレイクスルーメソッドでは、これを「7秒—30秒ルール」と呼んでいます。
 それで考察すると、まさに豊田氏のオープニングは、この「7秒—30秒ルール」に当てはまるものなのです。

 そしてオープニングに「The Bang!」(バーン!)を入れることを提唱しています。
 「バーン!」とは英語で「じゃーん!」とか「ドカーン!」といった意味で、まず冒頭で聞き手の注意を掴むこと。
 芸人さんでも「つかみ」は何より大事ですね。
 豊田氏は「大切なことだけ言います」と切り出し、「つかみはオーケイ」な出だしとなっているのです。

■「コントラスト」で「ユーモア」を演出する達人!

  そして拍手喝采する聴衆にむかって、
 「まだ人事部からはOKをもらっていないのですが」
と落として、笑いを引き出します。
 「それはそうだよね」という笑いにつなげて、アイスブレイクの役割をしていて、これはかなりの上達者の技です!
 「これで就職活動に関する悩みは解決したと思いますので、もっと大事な話をしましょう」
と、シリアスな話に入るのだな、と思いきや……。
 「つまり今晩のパーティーでどれだけハジけるかです」
 予測していた答えや期待を大きく外すことで、笑いにつなげています。
 「さらに重要なのは、私もパーティーに参加できますか?」
と尋ねて、笑いをとったあとに、
 「ただし夜更かしはできません。
 明日は『ゲーム・オブ・スローンズ』の最終回だからです」
 さらなるユーモアを畳みかけて、聞き手の心をがっちり掴んでいます。
 相手は大学を卒業する若者たち。まさに『ゲーム・オブ・スローンズ』のファン世代であり、そしてパーティーではじけることばかり考えているのもお見通しであるわけです。
 ここからバブソン大時代に戻り、
 「私はバブソンでは、寮と教室と図書館を往復する、一言でいえばつまらない人間でした」
とマジメな学生時代を明かしつつ、
 「しかし卒業してニューヨークで働き始めると、夜の帝王になったのです」
 ここでもコントラストに聴衆は大爆笑。
 「つまらない人間になるのではなくて、楽しみましょう。
 人生で喜びをもたらすものを自分で見つけることが大切です」

■ユーモアとギャグはまったく別者

 いよいよ本題に入って、心に響くメッセージを伝えます。
 「私がバブソン生だった頃、自分で見出した喜びは……」
 と期待を盛りあげつつ、
 「ドーナツです。アメリカのドーナツがこれだけ喜びをもたらしてくれるとは」
と落として、ドッと笑いがわき起こります。
 聴衆が期待することとは外すことで、コントラストのユーモアを引き出す。
 これは上級者のテクニックです。

 ギャグとユーモアはどう違うのか、というと、ギャグは笑わせるだけが目的のもの。
 たとえば「専務といいながら、なにも専務」とか、あるいは流行言葉を入れるような類のことです。
 こうしたギャグでは、その後の本題に続かなくなってしまい、スピーチの場合は逆効果となってしまいます。
 スピーチにギャグを入れようとしないで下さい。
 一方ユーモアは、そのスピーチで伝えたいたったひとつの大事なメッセージ=「ワンビッグメッセージ」を印象付けるという目的が前提となっています。
 さらに言うとユーモアは、ストーリーの中に「組み込む」ものではなくて、ストーリーから「引き出す」もの。
 クスッと笑える箇所は、豊田氏が使っているコントラストのギャップのように必ずどこかに潜んでいるのであり、なにも面白いことを考えて、それを無理やりストーリーに上乗せするのではありません。
 欧米でスピーチが達者なリーダーたちが聴衆から笑いを引き出すユーモアと、ギャグの違いがおわかりいただけたでしょうか。

■聞き手視点で、グッと刺さる話に

 スピーチの冒頭に出すのが、就活、パーティー、配信動画サイトといったネタであるのも巧みです。
 頭からミレニアル世代にとって関心あることをズバッと突いているため、聴衆の心を一気に掴んでいるのです。
 これはまさしくブレイクスルーメソッドでいう「聞き手視点」です。
 聞き手が関心あること、興味あることを取りあげてこそ、相手に刺さるスピーチとなるのです。
 「聞き手視点」についての詳しい解説は、「視点を変えただけで3億円のビジネスを成功させた例」をお伝えしたこちらの記事をご参照下さい。

 そしてドーナツのネタふりから、
 「みなさんも自分だけのドーナツを見つけて下さい。
 皆さん全員が大きな成功を納めると思います」
と、卒業生たちに夢見させるようなシナリオを用意します。

 「でもその仕事を楽しめているでしょうか。
 皆さんのように才能がある人はある日目覚めて、自分が現状から抜け出せないよう、縛られていることに気づきます」
 ここでは反対に、脅すようなコントラストをつけて、聞き手の注意を引きます。
 「縛られている」というのに、Golden Handcuffs(金でできた手錠)という表現も言い得て妙ですね。
 「住宅ローンと、バブソンを卒業させる必要がある子供が3人」
 ここでまた笑いに落として、緊張感をほぐすコントラストを差しはさむのも、うまいものです。
 そこから大事なメッセージに導きます。
 「皆さんが心よりやりたいことは何か。
 今こそ、それを見つけ出す時です。
 若さの特権である時間と自由を使って、皆さんの幸せを見つけて下さい」

■自分だけのストーリーが、聞き手を掴む

 また魅力的なのは、自分だけのストーリーがあることです。
 「少年の頃、タクシードライバーになりたいと思っていました。
 夢は完璧には叶いませんでしたが、きわめて近いことをしています」
 タクシードライバーになりたかった少年時代。
 そして大学時代はドーナツが大好きだったというエピソード。
 どちらも身近な例で親近感がわくものです。
 「ドーナツより大好きなものがあるとしたら、それは車です」
と、ここで車愛を大きく打ち出します。

 スピーチ/プレゼンで何よりも大切なのは、ストーリーです。
 全米プロスピーカー協会の殿堂入りをしているパトリシア・フリップは、ストーリーが持つ力について次のように語っています。
 「人は、営業プレゼンには抵抗がある。
 しかし、巧みに語られた良いストーリーには誰も抵抗することができない。
 そして、下手に語られた壮大なストーリーよりも、たくみに語られた些細なストーリーの方が、はるかに記憶に残る」

スピーチだからといって、なにも大言壮語をふりかざして、むずかしい例を挙げる必要はないのです。むしろ身近なことでかまわないのです。

ここで語られるのはタクシーの運転手になりたかった少年が、バブソン大学でドーナツを食べながら勉強に打ちこみ、トヨタで働き、CEOになった時にリコール問題などで悩みつつも、52歳の時にはマスタードライバーの訓練に挑戦するという車愛に溢れた、彼だけのストーリーです。

ストーリー構成としても車好きの主人公が、困難にもぶつかりつつも、挑戦を恐れないCEOになるという構成で、聴衆が共感しやすいものです。

そしてそのどのシーンも身近に感じられる人物として、生き生きとしています。

■ワンビッグメッセージが明解

 なによりもすばらしいのは、スピーチで伝えたいたったひとつの大事なメッセージ=「ワンビッグメッセージ」がクリアであることです。

「Find your own donut(4字)」
日本語訳にすると、
「自分だけのドーナツを見つけよう(15字)」

 これは「喜びをもたらすものを自分で見つけよう」というメッセージを、イメージしやすく、身近な「ドーナツ」に喩えるということで強烈に焼き付けています。
 ワンビッグメッセージを焼き付けるための戦略的手法には、4つのAというのがあります。

Analogy(喩え)
Anecdote(ストーリー)
Acronym (略語。4つのAのような頭文字をとったりして覚えやすくすること), 
 Activity(何か聞き手に行動をさせることでメッセージを焼き付ける)

 この場合、ドーナツはAnalogy、すなわち喩えになります。

 そしてスピーチの前半では、「ドーナツ」でワンビッグメッセージを焼き付け、その後、「卒業後に成功している皆さんは、喜びをもたらす仕事に没頭できているだろうか」と、ワンビッグメッセージが一貫して伝えられています。
 クロージングも「ドーナツ」が再度登場して、印象深い締めくくりになっています。
 「では早送りして、皆さんが成功して、本当に大好きなことをしているとしましょう。CEOからCEOへのアドバイスをさせてください。
 しくじらないで。
 当たり前と思わないで。正しいことをやりましょう。
 歳をとっても新しいことに挑戦して下さい」
 ここでは卒業生たちに、すでに成功してCEOになっている未來の姿を想像させる夢見型シナリオを用意して、若者たちの志気を盛りあげます。
 「皆さんの時代が、美しいハーモニーと、大いなる成功と、たくさんのドーナツで満たされますように!」
 最後に「ドーナツ」で締めるところが、またうまい。

 「ドーナツ」という言葉が、ワンビッグメッセージを伝えるツールとして、あたかも横串で全部を刺して、つながっている感じに仕立てています。
 このスピーチを聞いた卒業生が、友達に話したとしましょう。

「トヨタの社長のスピーチが面白かったんだ」
「へえ、どんな?」
「自分だけのドーナツを見つけよう、というスピーチなんだよ」
「ドーナツ? どういう意味?」
「喜びをもたらすものってことだよ」
と他人にも説明できるほど、メッセージが明確であったはずです。

 他人に話したくなるほど、メッセージが明確であれば大成功。
 そしてその「ドーナツ」が意味するものは、卒業生たちの心にずっと残るのではないでしょうか。

■「えー」「あのー」がない、デリバリーのみごとさ

 こうした企業のトップともなればスピーチライターもついていることでしょうが、原稿も必ず自分で細かく手に入れているでしょうし、なにより構成に時間をかけているはずです。
 冒頭で豊田氏は、会場で泣いていた赤ちゃんがいたようで、
 「赤ちゃんたち、そして卒業生の皆さま」
と、とっさのアドリブを冒頭から入れています。
 なにか不測の事態が起こってもそれを自分のスピーチの一部にしてしまうこなれた感じは、さすがです。
 またデリバリー(話し方)も立派です。
 ぜひ気づいていただきたいのが、豊田氏が一度も「えー」とか「あー」といった言葉をはさまずに話していることです。
 こういう「えーっと」「えー、うー」といった余計な言葉を、英語ではfiller words(フィラーワード)と呼びます。
 このフィラーワードは、アメリカ人だろうが、日本人だろうが、どんな言語の人間だろうが関係なく、人前で話す時にはついつい出るものです。
 私が所属しているパブリックスピーチの団体「トースト・マスターズ」では、こうしたフィラーワードを数える係がいて、スピーチする時に数をカウントしていきます。
 それで初めてフィラーワードを口にしている自分に気づけるのです。

 また間の取り方も絶妙です。
 笑いや拍手が起きた時、それをたっぷり聴衆に味わわせるように間を取っています。
 こうした間の余裕があると、話し手はその場をコントロールしているように映りますよね。
 スピーチの天才といわれたクリントン元大統領やオバマ元大統領も、こうした間の取り方が抜群にうまかったのです。
 私自身はスピーチ大会のコンテストに挑む時には、録画をして、ダメなところを何度も練り直して、200回ほどデリバリーの練習をします。
 あきらかに豊田氏は、ご自分の話しているところをビデオに録画して、それを見て訂正するという訓練をされているはずです。
 きっとスピーキングのコーチにもついていらっしゃるのでしょう。
 トップの人間なのにそこまで努力するなんて! 
というよりも、そこまで努力されているからこそ、アメリカ人の若者という、自社の社員でもない聴衆、同じ年代でもなく、趣味も違うはずの相手を、これだけ共感させ、笑わせ、そして心を掴むことができているわけです。
 反対にいえば、日本では政治家といえども、自分のスピーチを録画して、話し方を練習しているとは思えない方が多いのは残念なかぎりです。
 もし豊田氏のように語れるトップが20人もいたら、日本のビジネスも大きく変わるのではないでしょうか。
 スピーチもプレゼンも本来、決して退屈なものではありません。
 聞き手に笑いや気づきを与えてくれる情報のエンターテイメントなのです。
 日本人は英語が下手だから、文化が違うから、アメリカ人の聴衆にウケないなんていえないことが、この豊田氏のスピーチでおわかりでしょう。
 スピーチ/プレゼンの秘訣さえ学べば、あなたも必ず聞き手を動かし、共感させることができるはずです。
 ぜひその力を手にいれてみて下さい。





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2019年6月20日木曜日

『漢字で読み解く日本の神様』 

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2019年6月19日(水)12時19分 ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2019/06/post-12339_1.php

日本の神様の名前は、なぜ漢字なのか、どんな意味があるのか


●『漢字で読み解く日本の神様』より

<上の漢字、もしフリガナがなかったら読めるだろうか? 
 名前に秘められた謎を解き明かせば、日本古来の神様たちについて、もっと深く知ることができる>

 2019年4月1日、日本中が2つの漢字に沸いた。
 「令和」だ。
 その日から至る所でこの2文字を目にするようになり、あまり目立たない存在だった「令」という漢字が一躍、脚光を浴びることになった。
 言葉の出典についても話題になったが、いずれにせよ、どちらの漢字も日本生まれではない。
 固有の文字を持たなかった日本は、中国から入ってきた漢字をうまく利用することで、日本語を書くための方法を考え出した。
 そのおかげで貴重な記録として残されたのが、各地の伝承をまとめた「風土記」や、それを整理した『古事記』『日本書紀』などだ。
 これらの文献には、多くの神が登場する。
 だが、ギリシャ神話の神々の名前は知っていても、日本の神様の名前は、残念ながら、あまり知らない人のほうが多いのではないだろうか。
 その理由のひとつは「漢字が難しい」「読み方が分からない」からかもしれない。
 全ての神様の名前は漢字で表され、なかには「波邇夜須毘古神」のように当てずっぽうでも読めそうにない名前の神様もいるが、実はこうした名前にこそ、その神様の本当の姿が隠されているのだという。
 名前に秘められた謎を解き明かせば、日本古来の神様たちについてもっと深く知ることができる。
 漢字を通して、神様たちの意外な素顔をのぞいてみよう──というのが、『漢字で読み解く日本の神様』(山口謠司・著、CCCメディアハウス)だ。
 「開運・厄除けの神様」「縁結び・子宝の神様」など、ご利益別に全75柱の神様について解説した本書には、それぞれが祀られた神社の情報も載っている。

■「音」と「意味」で漢字を日本語に

 本書の解説によれば、古代の日本には、縄文時代から各地方を治める部族がいたとされるが、それぞれの部族には、自分たちの出自を神格化した祖先神がいた。
 また、生活と切り離せない自然のさまざまな現象を、人々は神として崇めてきた。
 当然それらの神様には名前があったが、文字を持たなかったため、長い間、音だけで伝えられてきた。
 奈良時代に入り、中央からの官命によって書物(風土記、古事記など)に記されるにあたって、それぞれの名前に文字(漢字)を当てることになった。
 日本語を書き表す文字として漢字を利用するには、2つの方法が用いられた。
★:ひとつは、「ア」という音に同じような発音をする「阿」「亜」「安」などを当てる方法で、
★:もうひとつは、「たべる」「のむ」「はしる」といった日本語に、同じ意味を持つ漢字「食」「飲」「走」を当てる方法だ。
 この2つの方法をうまく活用することで、神様たちの名前が、ついに文字になったのだという。
 したがって、神様の名前に使われている漢字は、ただ読み方を表すものではなく、どんな神様なのかを広く、また後世にも伝えるために選び抜かれたものと言えるだろう。

■漢字から浮かび上がる神様の個性

 日本という国を創った「国生みの神」であり、夫婦でもある「いざなぎのみこと」と「いざなみのみこと」は、漢字では「伊邪那岐命」「伊邪那美命」と書く。
 漢字本来の成り立ちから、それぞれの意味は次のとおり。
 「伊」は天地の間を調和する人格、
 「邪」はアンバランスなこと、
 「那」はたっぷり多いという意味、
 「岐」は枝分かれした山路、
 「美」は、ふくよかで神に捧げるに相応しい犠牲としての羊のこと
を言うそうだ。



イラスト:髙安恭ノ介(『漢字で読み解く日本の神様』130ページより)
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 一方、音という点で見れば、
 「伊邪(いざ)」は相手を誘うときや呼びかけるときの言葉であり、
 「那岐(なぎ)」は「凪」と同音なので穏やかで静かであることを表し、
 「那美(なみ)」は「無」で無くすことを意味する
という。

 そして、多くの神様の名前にも使われている「命」は天からの使命を意味するので、つまり、天と地を調和する夫婦で一対の(=アンバランスな)神様であり、「伊邪那岐命」は人の世を安定させる神様、「伊邪那美命」は人の命を無くす神様ということになる。
 実は、伊邪那岐命と伊邪那美命は夫婦としてたくさんの神様を生み、日本という国土に必要な全てのものを造ったが、火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ/火の神様)を生んだ際に負った火傷が原因で、伊邪那美命は亡くなってしまう。
 そして、人の死を司る神様となったのだ。
 人間の生と死を創った神様、それが「伊邪那岐命」「伊邪那美命」だ。
 漢字の意味や成り立ちを丁寧にひもとくことで、神様の個性だけでなく、背後にあるストーリーまでもが浮かび上がってくる。

■名前に込められた深い意味を知る

 伊邪那美命が亡くなったとき、妻を忘れられない伊邪那岐命は黄泉の国まで迎えに行くが、その身体は腐ってウジが湧いていたという。
 それを見た伊邪那岐命は逃げ戻り、穢れを落とすために禊ぎを行った。
 このときに生まれた神様のうちのひとりが「天照大神(あまてらすおおみかみ)」だ。


イラスト:髙安恭ノ介(『漢字で読み解く日本の神様』18ページより)

 『古事記』などで国家の主神とされている神様であり、人々に偉大な自然の恵みを与えてくれる太陽の神様だ。
 4つの漢字で表されているのは、「人の頭上に大きく広がり(天)、地上のすみずみまで光を注ぐ(照)、たっぷりとゆとりのある(大)、不思議な自然の力(神)」。
 また、冒頭で取り上げた「波邇夜須毘古神」は「はにやすびこのかみ」と読み、「波邇夜須毘売神(はにやすびめのかみ)」と男女一対の神様で、なんと、伊邪那美命が瀕死の状態のときにした糞から生まれたそうだ。
 農耕に欠かせない埴輪と陶芸の神様で、金運・商売を司るとされている。


イラスト:髙安恭ノ介(『漢字で読み解く日本の神様』122ページより)
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イラスト:髙安恭ノ介(『漢字で読み解く日本の神様』123ページより)

 全ての存在に神が宿っていると考えてきた日本には、「八百万(やおよろず)」の神様がいる。
 そして、「名は体を表す」と言われるように、名前にはもともと特別な意味がある。
 地元の神社に祀られている神様にも、名前に隠された知られざる秘密があるかもしれない。

 著者である山口謠司氏は中国文献学者で、日本語に関する数多くの著作を持つ。
 本書では山口氏の解説によって、それぞれの漢字の意味や成り立ちを知ることもできる。
 神様たちをより身近に感じるとともに、日本語の奥深さにも触れることができるだろう。


●『漢字で読み解く日本の神様』 
 山口謠司 著  CCCメディアハウス








 



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2019年6月19日水曜日

21 km走:2時間15分35秒 キロ6分27秒、サブテンは遠い

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 今日を含めて練習はあと3回。
 サブテンを狙うなら、1回くらいはそれに近い2時間10分台のタイムを出しておきたい。
 そうすると本番の自信になり走りに余裕が出てくる。
 練習で2時間13分台では、ギリギリの挑戦になる。

 10kmまでは前回と同じようなタイム。
 後半グーとタイムが上がっていくのだが、今日はそれがない。 
 スピードがのってこない。
 足と身体は動いているのだが、キレが全くない。
 キロ6分半をオーバーすることのないように走れたのがせめてもの成果だろうか。

【 6月19 日 21km  2時間15分35秒 キロ6分27秒 ベアフット
5km    33:03      33:03 
10km    32:57    1:06:00
15km    32:07    1:38:07
20km    31:14    2:09:21
21km     6:14    2:15:35

【 6月12 日 21km  2時間13分22秒 キロ6分21秒 ベアフット
5km    33:00      33:00 
10km    32:30    1:05:30
15km    30:52    1:36:22
20km    30:46    2:07:08
21km     6:14    2:13:22

 本番で使用するシューズを試してみた。
 足に馴染ませるためである・
 でも心配はまったくない。
 これまで使っていたものと同じ型番で、ただ色違いというだけのことである。



21km走ったあとのカカトのすり減りは写真のとおりである。
 わずかである。


● 21km走った時のすり減り状況



 

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2019年6月12日水曜日

21 km走:2時間13分22秒 キロ6分21秒、ベアフット300キロはオシャカ寸前

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 この3,4日は暖かい陽気で昼間は半袖シャツ1枚で過ごせるほどである。
 ということは今日はタイムの期待がもてないということでもある。
キロ6分半で2時間16分半あたりが目標になると思う。
 実際10kmまではその通りにいった。
 30秒ほど遅いというオマケつきである。
 朝陽があがると額に汗が浮かんでくる。
 このところのランニングでは汗はかかなかったからやはり暖かいということだろう。
 それより、靴底修理のステッカーの上張が3キロ過ぎで左右とも剥がれた。
 テープ補強の失敗であろうか。
 ということは残りの距離を底地ステッカー1枚でいかねばならない、ということになる。
 これが擦り切れると、靴底の擦り切れに進行する。
 ということはこの靴もいよいよオシャカになるかもしれない。
 
 10kmをすぎると体が慣れてきてスピードに順応できるようになる。
 暑さは気にするほどのものではないようだ。
 気温若干高め、といったところである。
 風もない。
 15km、20kmと5kmスプリットを30分台でいく。
 これは驚きである。
 足と身体が動くのである。
 結果は2時間13分22秒、5月22日に出したタイムに遅れることたった6秒である。
 いやー、こんな記録が出るとはおもわなかった。
 キロ6分21秒である。
 ちなみに昨年は直前の4本のうち3本はキロ6分10秒を切っている。
 今年の目標はサブテン(2時間10分切り)だからキロ6分10秒が目標になる。
 まだ10秒足りないことになる。
 でも今日は非常にうまく走れたと思う。
 残すはあと3本である。

【 6月12 日 21km  2時間13分22秒 キロ6分21秒 ベアフット
5km    33:00      33:00 
10km    32:30    1:05:30
15km    30:52    1:36:22
20km    30:46    2:07:08
21km     6:14    2:13:22

【 6月05 日 21km  ノータイム(時計を忘れる) ベアフット
21km     計測ナシ

【 5月29 日 21km  2時間14分32秒 キロ6分24秒 ベアフット
5km    32:20      32:20 
10km    32:19    1:04:39
15km    32:01    1:36:40
20km    31:37    2:08:17
21km     6:15    2:14:32

【 5月22 日 21km  2時間13分16秒 キロ6分21秒 ベアフット
5km    33:53      33:53 
10km    32:23    1:06:16
15km    30:37    1:36:53
20km    30:09    2:07:02
21km     6:04    2:13:16

 さて、走り終わったあとのシューズはこんな感じ。
 底地ステッカーならびにテープは完全に剥がれてあとかたもない。
 ステッカーがなくなって底ゴムを擦り減しながら走ったということになる。
 えらく綺麗なのはそのせいであろう。



● 計 ベアフットランニングシューズ 292km 

 通常の判断ならオシャカとみていいだろう。
 これまで約300キロほど走っている。
 このシューズで転んだのはたった1回しかない。
 「転ばないシューズ」として選んだものであるが十分な働きをしている。
 この状態では廃棄が妥当のところだが、いま少し走ってみたいと思っている。
 理由の一つはこのシューズはどれだけの耐久性があるのかのテストをしていることである。
 カカトを補修しつつ極限の耐久性を見てみたい。
 補修をしながら400kmまで持たせることができるのかみてみたいのである。
 1年800km走るとして、1年2足なら上等だといえるだろう。
 理由の2つ目は、このシューズ日本から送ってもらっているので、頻繁に送ってもらうことにためらいがあるのである。
 もちろん、安価なシューズなのでまとめて買ってもらってゴソっと送ってもらい、はじから履きつぶしていくということも考えてはいるが、どうもそれでは気分がよくない。
 靴には「靴の神様」がいる。
 神様に感謝しないといけない。
 「転ばないシューズの神様、ありがとう!」と。
 安易に履き捨てることにどうも抵抗があるのである。
 そんなこんなでできるかぎりもたせてみたいと思うのであるが。 
 補修しながらだとどこまで走れるのか見知っておきたいと思っているのである。
 




 

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2019年6月5日水曜日

21 km走:計測ナシ 時計を忘れた!

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● 計 271km

 1カ月後の七夕がゴールドコーストマラソンの本番である。
 あと5回の練習を残す。
 さて今日はどんな具合に走れるかな、と思っていたのだが。
 走りはじめようとしたら腕に時計がはめられていない。
 ころりと時計を忘れていた。
 実に珍しいことだ。
 さて、このまま走るか、それともとりに戻るか? 
 一度帰るのも面倒だし、時計なしで走ることにした。
 とすると走り方は2つになる。
 端から突っ走って走れなくなったらリタイヤするか、タイム無関係で21kmを確実に走り切っておくかである。
 気温も低く走りやすいので体の許す限りでまずはスピード走で入る。
 でもやはりこれは5キロももたない。
 21kmの完走に切り替える。
 走ってみて分かったのは時計がないとどう走っていいかがわからない、ということだ。
 言い換えると体にムチを打つことができない。
 目の前に目標を示す何かがないとどうもそういう気力が湧いてこない。
 ここはというところで気張れない。
 というより、どこが「ここはというところか」がわからない。
 そこそこには走ったのだが、なにかぬるま湯に浸っているような感じである。
 無理を承知でのスピードアップができない。
 そういうモチベーションが生まれない。
 ラストの1kmは6分15秒くらいだろうとおもうので、21kmでは平均で6分30秒くらいか。
 そうだとすると21kmは2時間16分前後で走れたのではないかと思うのだが。
 これはあくまで想像である。
 もっと悪いかもしれない。

【 6月05 日 21km  ノータイム(時計を忘れる) ベアフット
21km     計測ナシ

【 5月29 日 21km  2時間14分32秒 キロ6分24秒 ベアフット
5km    32:20      32:20 
10km    32:19    1:04:39
15km    32:01    1:36:40
20km    31:37    2:08:17
21km     6:15    2:14:32

【 5月22 日 21km  2時間13分16秒 キロ6分21秒 ベアフット
5km    33:53      33:53 
10km    32:23    1:06:16
15km    30:37    1:36:53
20km    30:09    2:07:02
21km     6:04    2:13:16


 次回、次々回の2回は今のシューズで走る予定でいる。
 これで300kmを越える。
 そのあと2回は新品のベアフットを使って足慣らしする。
 本番はそれで走ることになる。

● 何時もの通り下地ステッカーは無傷で、上張ステッカーが擦り切れていた。

● 補修方法は同じ、この上からテープを貼れば終了。

  




 

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2019年6月4日火曜日

オーストラリアと中国のアキレツ:ファーウエイと中国軍艦

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ロイター 2019年5月24日 / 11:46 / 2日前
https://jp.reuters.com/article/huawei-usa-5g-idJPKCN1SU041

特別リポート:ファーウェイ排除の内幕、
激化する米中5G戦争

[キャンベラ 21日 ロイター] - 2018年初頭、オーストラリア首都キャンベラにある低層ビル群の内部では、政府のハッカーたちが、破壊的なデジタル戦争ゲームを遂行していた。
 オーストラリア通信電子局(ASD)のエージェントである彼らに与えられた課題は、★:あらゆる種類のサイバー攻撃ツールを使って、対象国の次世代通信規格「5G」通信網の内部機器にアクセスできた場合、どのような損害を与えることができるか、
というものだ。
 このチームが発見した事実は、豪州の安全保障当局者や政治指導者を青ざめさせた、と現旧政府当局者は明かす。
 5Gの攻撃ポテンシャルはあまりにも大きく、オーストラリアが攻撃対象となった場合、非常に無防備な状態になる。
 5Gがスパイ行為や重要インフラに対する妨害工作に悪用されるリスクについて理解されたことが、豪州にとってすべてを一変させた、と関係者は話す。
 電力から水の供給、下水に至るすべての必須インフラの中枢にある情報通信にとって5Gは必要不可欠な要素になる──。
 マイク・バージェスASD長官は3月、5G技術の安全性がいかに重要かについて、シドニーの研究機関で行ったスピーチでこのように説明した。

 世界的な影響力拡大を目指す中国政府の支柱の1つとなった創立30年の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]に対する世界的な締め付けを主導したのは、米政府だと広く考えられている。
 しかし、5Gを巡って実際に行動を促したのはオーストラリアであり、米国の反応は当初鈍く、英国など欧州諸国は、安全保障上の懸念とファーウェイの誇る低価格競争力の板挟みになっていたことが、ロイターの20人を超える現旧西側当局者への取材で明らかになった。
 既存通信網においても、豪州は以前からファーウェイに懸念を持っていた。
 だがこの5G戦争ゲームが、大きな転機となった。
 このシミュレーション開始から半年後、オーストラリア政府は、世界最大の通信機器メーカーであるファーウェイを同国の5G計画から事実上締め出した。
 政府の広報担当者は、この「戦争ゲーム」についてコメントしなかった。
 オーストラリアが米政府幹部に情報共有したことを受け、米国を含めた他の国々も、ファーウェイ規制に乗り出した。
 「ファーウェイ封じ」の動きは先週、トランプ米大統領が国家安全保障を理由に米通信ネットワークから同社製品を事実上排除する大統領令に署名し、同社に対して政府の許可なく米国の重要技術を購入することを米商務省が禁止したことで、さらに激しさを増した。

 ロイターは、米グーグルの持ち株会社アルファベット(GOOGL.O)が、ファーウェイとのビジネスを一部停止したと報じた。
 昨年半ばまで、米政府は、ほとんどこの問題に「関心を持っていなかった」と、オバマ前政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたジェームズ・ジョーンズ元海兵隊大将は指摘する。
 米政府高官が行動へと突き動かされたのは、5Gが何をもたらすかが、突如として明らかになったためだ、とジョーンズ氏は言う。
 5G技術への理解は「極めて急激に深まった」と同氏は言う。
 「ほとんどの人は、革命的というよりも漸進的な変化だと考えていた。今や、その実態が明らかになった」

 習近平国家主席の下で軍事力を拡大する中国をけん制する幅広い取り組みの一環として、米国は積極的にファーウェイの封じ込めに取り組むようになっている。
 2012年に共産党総書記の座についてすぐに習氏が始動した人民解放軍の改革において、サイバー能力の強化は重要な要素だったことが、米政府当局者や中国軍の関連書類で明らかになった。
 中国政府が戦略的、商業的な利益のためにハッキングを後押ししていると米政府は批判している。

■<重要インフラへの脅威>

 もしファーウェイが世界の5Gに足場を築けば、中国政府は、重要インフラを攻撃し、同盟国間の共有情報に侵入する、かつてない機会を手中に収めることになる、と米政府は懸念している。
 これには公共施設や通信網、重要な金融センターに対するサイバー攻撃が含まれる、と西側の安全保障当局の高官は指摘する。
 どんな軍事衝突においても、衝突エリアから遠く離れた場所に対して銃弾や爆弾を使わず、封鎖もなく経済的な損害を与え、市民生活を寸断できるこのようなサイバー攻撃は、戦争自体の性質を劇的に変化させることになる。
 もちろん中国にとっても、米国やその同盟国からの攻撃にさらされることになる。
 中国政府は2015年の国防報告書「中国軍事戦略」ですでに、相手国は特定しなかったものの、サイバースパイ攻撃を受けたと主張していた。 
 米国家安全保障局(NSA)の元職員エドワード・スノーデン氏がリークした同局の書類によると、米国はファーウェイのシステムにハッキングを仕掛けていた、と報じられている。
 ロイターはこのような攻撃について独自に事実確認ができなかった。
 とはいえ、ファーウェイ封じは、米国とその同盟国、特に、機密情報を共有する「ファイブアイズ」に属する英国、カナダ、オーストラリアとニュージーランドにとって、大きな課題となる。

 中国深センで1980年代にひっそりと誕生したファーウェイは、世界通信網に深く根を張った巨大テクノロジー企業へと成長し、5Gインフラ構築で主導権を握ろうと目論んでいる。
 2018年の売上高が1000億ドル(約11兆円)を超える強大な資金力に加え、技術競争力と中国政府の政治的後ろ盾を持つファーウェイに代わる企業は、世界的に見てもほとんど見当たらない。
 「ファーウェイの米国事業を規制しても、米国がより安全になったり、強くなったりすることはない」と同社はロイターに文書でコメントした。そのようなことをしても、「米国の消費者が二流で高価な代替品」しか手に入れられなくなるだけだ、と述べた。
 ファーウェイ排除に乗り出す国は、中国からの報復リスクに直面する。
 昨年同社を5G通信網から締め出したオーストラリアは、中国向け石炭輸出が中国側の通関手続きの遅延などで滞った。
 中国外務省は「全ての外国産石炭を平等に扱っている」と声明で主張し、「中国が豪州産石炭を禁輸したと決めつけるのは事実に反する」と反発した。
 ファーウェイを巡る対立は、第2次世界大戦後の安全保障体制の基礎であったファイブアイズ内の亀裂も浮き彫りにした。

 ポンペオ米国務長官は8日、訪問先のロンドンで、5G通信網へのファーウェイ参入を禁止していない英国に鋭い警告を発した。
 「安全性が不十分な状態では、信頼できるネットワークで行われる一定の情報共有を行うことが難しくなる」と長官は述べた。
 「これはまさに中国の思うつぼだ。
 西側の同盟を、銃弾や爆弾ではなく、バイトやビットで分断したいと願っているのだ」

 74歳になるファーウェイ創業者の任正非(レン・ツェンフェイ)最高経営責任者(CEO)は、中国人民解放軍の出身だ。
 「任氏は常に、ファーウェイの品位と独立性を維持してきた」と同社は説明する。
 「スパイ活動への協力を要請されたことは一度もなく、いかなる状況においてもそのような要請は拒否する」
 ファーウェイの徐直軍(エリック・シュー)輪番会長は、いかなる政府に対しても、スパイ活動などを可能にする裏口(バックドア)機能設置を自社製品に認めたことはなく、今後も絶対にないと断言した。
 深センにある同社本社でロイターの取材に応じた同会長は、5Gは従来のシステムよりも安全性が高いと述べた。
 「中国は、これまで企業や個人に対し、地元の法律に反する方法やバックドア機能を使って国内外のデータや情報、機密情報を集めたり、提供を要請したことはなく、これからもない」
と、中国外務省はロイターの問い合わせに対して文書で回答した。
 米政府は、不正なバックドアがなくても5Gシステムに大損害を与えることができると主張する。
 同システムは、サプライヤーが提供するソフトウェア更新に大きく依存するため、こうした5Gネットワークへのアクセスが、悪意あるコード送信に悪用される恐れがある、と米政府は指摘する。
 これまでのところ、米政府はファーウェイ機器がスパイ行為に使われたという確かな証拠を公表していない。
 5Gの潜在的脅威に対する米政府の対応が遅かったのではないかとの質問に対し、国務省でサイバー政策を担当するロバート・ストレイヤー氏は、米国は以前から中国の通信会社に懸念を抱いてきたが、5G導入が近づいた昨年以降、「同盟国とより緊密に協議するようになった」と、ロイターに語った。
 ファーウェイを5G通信網から締め出すことは「最終的な目標」だと述べた。

■<テクノロジーの脅威>

 西側諸国は、以前から中国の通信機器に懸念を持ってきた。
 米下院情報委員会は2012年の報告書で、中国のIT企業が国家安全保障上の脅威になっていると指摘。
 ファーウエィはこれに反発した。
 こうした懸念にもかかわらず、5Gの脅威に対して米政府が対応を始めたのは、つい最近になってからだ。
 2018年2月、当時のターンブル豪首相が、ワシントンを訪問。
 豪情報機関が戦争ゲームを行う前から、IT業界の実業家だったターンブル氏はすでに米国に警告を発していた。
 5Gには大きなリスクがあり、ファーウェイ対して同盟国が行動することを望んでいた。
 「彼は5G通信網がどれほど重要になるかを強調し、われわれが考えるべき安全保障リスクと、それを行う能力や意図、そして強権的法律を持つ国々について警告していた」
と、オーストラリアの高官はロイターに述べた。
 ターンブル前首相の広報担当者は、コメントの求めに応じなかった。
 ターンブル氏とそのアドバイザーは、当時のニールセン米国土安全保障長官やロジャースNSA局長ら米政府当局者と会談。
 中国政府がファーウェイを操る可能性があり、将来的に中国との緊張が高まる場合、このことが脅威となり得るとの考えを伝えた。
 同会談の内容に詳しい豪州当局者2人がロイターに明かした。
 米国側はこの訴えを受け入れたが、世界最大の通信機器メーカーに規制を課すことへの優先順位は低いようだったという。
 「わわれわれの懸念は、同じような緊急性で共有されなかった」と豪当局者の1人は話した。
 ロジャース氏はコメントの求めに応じなかった。
 米国土安全保障省はこの会談の詳細に触れなかったが、安全保障上の課題でオーストラリアとは緊密に連携していると述べ、「中国は自国の安全保障上の優先事項のためにサイバー諜報活動を続け、サイバー攻撃能力を強化し続けるだろう」と語った。

 5G通信技術によって通信速度と容量の飛躍的な向上が見込まれている。
 データをダウンロードするスピードは現行ネットワークの100倍となる可能性がある。
    それだけではない。
 このアップグレードによって「スマート冷蔵庫」や自動運転車といった、5G網に接続可能なデバイスが劇的に増える見通しだ。
 「多数のデバイスを使う人が増えるだけでなく、機器同士、デバイス同士の通信が5Gによって可能になる」
とオーストラリアのバージェスASD長官は3月の講演で述べている。
 こうした5G通信網によって、敵対的な勢力や組織が、国家やコミュニティーの重要インフラに対してサイバー戦争を仕掛けるための侵入ポイントも大幅に増える。
 敵対勢力自身が5Gネットワークに機器を提供する場合は、この脅威がさらに増大する、と米当局者は主張する。
 ファーウェイは、自社が「機器提供する顧客ネットワークに対して、何らかの形でコントロールすることは全くない」と強調。
 米豪両政府の主張には根拠がないと一蹴した。

    2018年7月、英国もファーウェイに衝撃を与えた。
 情報機関の高官も参加する英政府の委員会が、同社による国家安全保障上のリスクに対処できるとの十分な確信を持てなくなったと報告したのだ。
 この報告によれば、ファーウェイの製品設計プロセスについて同委員会が特定した深刻な問題が、「英通信網の新たなリスクと、リスク低減・管理における長期的な課題を露呈した」という。
 同委員会の監督下には、国内で使われているファーウェイ製品の検査を目的に2010年に政府が設置し、同社が資金拠出する研究所がある。
 当時すでに同社が安保上のリスクとみなされていたためだ。
 この報告は「寝耳に水」だった、と米当局者は明かす。
 これがファーウェイによる5Gリスクについて米国が見解をまとめる際の土台になったという。

■<西側諸国の認識に変化>

    オーストラリア政府は、昨年半ばにかけて5Gに関する懸念を他国に訴え続けた。
 ある豪政府高官は「安保上の懸念を多くの同盟諸国と共有した。
 米国や従来のパートナー諸国だけではない。
 日本、ドイツなどの欧州諸国、韓国と見解を共有した」と語った。
    米政府がファーウェイに対する規制を導入し始めたのも昨年半ばだ。
 トランプ大統領は8月、米政府機関がファーウェイ及び中国の同業、中興通訊(ZTE)(0763.HK)(000063.SZ)と取引することを禁止する法案に署名した。
    8月下旬に豪政府は、セキュリティー要件を満たさない企業が国内の5G網に機器供給することを禁じ、一段の強硬措置に踏み切った。
 ファーウェイも排除の対象となった。
    中国外務省は声明で、オーストラリア政府の決定は事実に基づく根拠がなく、「安全保障」基準を乱用していると非難した。

    ニュージーランドの政府通信保安局は11月、5Gネットワークでファーウェイ製機器の使用を求める国内業者による最初の認可申請を却下した。

    英国の安保当局もファーウェイ製品がスパイに使われる可能性について懸念を抱えていたが、選択肢は限られていた。
★:ファーウェイ以外に広範な先進移動通信ネットワークを提供できるグローバル企業は
1]:スウェーデンの通信機器大手エリクソン(ERICb.ST)と
2]:フィンランドのノキア(NOKIA.HE)だけだ。
 その中でも、ファーウェイは低コスト機器を迅速に供給できるとの評判を確立していた。
 にもかかわらず、英当局者はファーウェイが自社製品に組み込まれているソフトウエアの欠陥を修正できないことに苛立ちを覚えていた。
 特に、プログラムの設計図とも言えるソースコードの食い違いを問題視した。
 研究所で検査している同社のコードが、実際に世に出る製品に使用されるコードと同一かを確かめることができなかったからだ。
 これにより機器の安全性を保証することが難しくなった。
 英国のセキュリティー担当当局者のイアン・レビー氏は、同社のソフトウエア設計は20年前のレベルだと指摘。
 「ファーウェイ機器が脆弱である確率は他のメーカーに比べてはるかに高い」
とロイターに語った。
    同社は向こう5年に20億ドル以上を投じてソフト設計能力を向上すると宣言している。
    英政府はファーウェイについて、5Gネットワークへの限定的な参入を認める方針だが、最終決定はまだ発表されていない。

 ■  <ファーウェイの反撃>

    西側諸国とファーウェイの間の緊張が高まる中で昨年末には、ファーウェイ幹部の個人的な問題も表面化した。
 米国の要請を受け、同社の孟晩舟(メン・ワンツォウ)副会長兼最高財務責任者(CFO)が12月、カナダのバンクーバー空港で拘束されたのだ。
 創業者の娘でもある孟CFOは、国際的な金融機関を欺いたとして米当局に起訴されており、米国への身柄引き渡しを巡り係争中だ。
    捜査に詳しい関係者によると、ファーウェイを巡る対立の背景にあるのは米中間の摩擦だけではない。
 孟氏とファーウェイの活動について米当局は、両国間の貿易戦争が勃発する以前から目を付けていたという。
 ただ、ここまで激化した対立は、言うまでもなく、地政学的問題の様相を呈している。
    ここ数カ月、ファーウェイ排除に向け、米国は同盟諸国に対する働き掛けを強めてきた。
 米国のゴードン・ソンドランド駐欧州連合(EU)大使は2月にロイターに対し、5Gは社会のあらゆる側面に影響を及ぼす技術だと述べた。
 その上で、「常識的な判断として、悪質行為を行ってきた勢力に、社会全体の鍵を手渡すべきではない」と強調した。
    ファーウェイ機器がスパイに使われたという証拠があるのかという問いに対しては、「機密扱いの証拠がある」と応じた。

    ポンペオ米国務長官は3月、「ファーウェイは中国の国有企業で、中国の情報当局と深い関係がある」とさらに踏み込んで発言している。
 同社は中国の政府や軍、情報当局のコントロール下にあるとの見方を繰り返し否定してきた。
 「ポンペオ国務長官は間違っている」との声明を出し、同社は社員が保有していると説明した。
    同社は当初、公然と米国などの対応を批判することは控えていたが、次第に対決姿勢を強めている。
 2月下旬にスペインのバルセロナで開かれたモバイル業界の見本市では、政府や企業にファーウェイ排除を訴える米政府当局者らと、欧州諸国や顧客に安全性を担保するために派遣された同社の幹部らが火花を散らした。
    ファーウェイの郭平(グォ・ピン)副会長は講演で、スノーデンNSA元職員が暴露した「プリズム」と呼ぶ米情報収集活動を念頭に、「壁にはプリズムがある。最も信頼できるのは誰か」と揶揄(やゆ)した。
 聴衆からは笑いが起きた。

    欧州通信会社の幹部も米当局者に対し、ファーウェイが安保上のリスクだという決定的証拠を示すよう迫ったという。
 米当局者は、決定的な証拠を待ってからでは遅いと反論した。
 「もし銃から煙が出ているとすれば、すでに撃たれている。
 弾丸をこめた銃の前で、なぜ並んでいるのか私には分からない」

(Cassell Bryan-Low記者, Colin Packham記者, David Lague記者, Steve Stecklow記者, Jack Stubbs記者、翻訳:石黒里絵、山口香子、編集:下郡美紀)


AFPBBニュース 2019年6月4日 2:51 発信地:シドニー/オーストラリア [ オーストラリア アジア・オセアニア 中国 中国・台湾 ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3228229?cx_part=top_category&cx_position=5

豪シドニー湾に中国軍艦3隻が姿現す、現地騒然


【6月4日 AFP】オーストラリアのシドニー湾(Sydney Harbour)に3日、中国の軍艦3隻が姿を現した。
 現地で驚きの声が上がり、首相が説明に追われる事態となった。

 同湾で確認されたのは、揚陸艦1隻と補給艦1隻、さらに地対空および対潜ミサイルシステムを装備したフリゲート艦1隻とみられている。
 中国による影響力の拡大や軍事力の誇示に対する懸念が強まる中、中国旗を掲げた艦隊が水兵約700人を伴って訪問したことは、驚きをもって受け止められた。
 
 スコット・モリソン(Scott Morrison)首相は訪問先のソロモン諸島で、
 「他の人には驚きだったかもしれないが、政府にとっては決して驚きではなかった」
 「事前に聞いていた」
と述べ、懸念払拭(ふっしょく)に努めた。
 さらに「先にオーストラリア海軍の艦隊が中国を訪れていることを受けての相互訪問」であり、「同艦隊は中東での麻薬密輸摘発作戦を終えて帰国途中だ」と説明した。
 ただ今回の訪問が、中国の民主化運動を当局が武力弾圧した天安門(Tiananmen)事件から30年を迎える日の前日に当たったことから、そのタイミングを疑問視する声も上がった。

 これについてモリソン首相は、「タイミングを深読みすると、行き過ぎた分析に陥りかねないと思う」と話した。(c)AFP



Record china配信日時:2019年6月4日(火) 12時10分
https://www.recordchina.co.jp/b717911-s0-c10-d0135.html

【動画】中国の軍艦3隻が突然シドニーに、海外メディア驚き―中国メディア


2019年6月3日、環球時報は、中国海軍の軍艦3隻が突然オーストラリアのシドニーに寄港したことで、国外メディアから驚きの声が出たと報じた。
 記事は、豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドの報道として、中国海軍の軍艦3隻と海軍兵士700人余りがシドニーに到着し、友好訪問を行ったと紹介。
 軍艦3隻の内訳はミサイル護衛艦1隻、総合補給艦1隻、揚陸艦1隻となっており、いずれもオペラハウスから数百メートルの場所にあるガーデンアイランド海軍基地に4日間停泊する予定だと伝えた。
 そして、英紙ガーディアンなどの外国メディアが「豪政府は事前に中国軍官訪問の情報を発表しておらず、今回の訪問は大きなサプライズとなった」と驚きをもって報じたことを伝えている。
 また、豪政府関係者が今回の訪問について
 「中国海軍第31次護衛艦隊がソマリア・イエメン間のアデン湾海域にて実施していた海賊対策任務終了後の寄港であり、あらかじめ計画されていたもの」
と語り、スコット・モリソン豪首相も
 「豪海軍の艦艇もすでに中国を訪問しており、今回の訪問は対等な答礼訪問だ。
 外部の人にとってはサプライズかもしれないが、豪政府にとっては完全に予定内の出来事だ」
とコメントしたことを紹介した。



人民網日本語版配信日時:2019年6月4日(火) 22時20分
https://www.recordchina.co.jp/b718137-s10-c10-d0046.html

中国海軍護衛艦隊がオーストラリア訪問―中国メディア



 護衛任務を先般完了した中国海軍第31次護衛艦隊の「崑崙山」「許昌」「駱馬湖」は3日午前、シドニーに到着した。
 5日間の日程でオーストラリアを友好訪問する。
 中国新聞社が伝えた。

 埠頭では在オーストラリア中国大使館とオーストラリア海軍が歓迎式典を催し、オーストラリア海軍艦隊の副司令官、中国の成競業大使、華僑・華人代表、中国系機関代表らが出迎えた。
 訪問期間には邵曙光指揮官と張家柬指揮官がオーストラリア海軍の基地司令官、艦隊司令官、ニューサウスウェールズ州上下両院議長などをそれぞれ表敬訪問。
 アデン湾、ソマリア海域での中国海軍護衛艦隊による護衛任務の遂行状況を紹介する。
 艦隊は双方の親善と文化交流を深めるため、甲板レセプション、オーストラリア海軍将兵とのバスケットボールやサッカーの親善試合も行う。

(提供/人民網日本語版・編集/NA)