2019年3月6日水曜日

18 km走:2時間04分12秒 キロ6分56秒  ベアフットでも転ろぶ!

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【 3月06日 18km  2時間04分12秒 キロ6分56秒 ベアフット・シューズ
5km    35:00      35:00
10km    35:04    1:09:04
15km    34:41    1:43:45
18km    20:27    2:04:12

【 2月27日 17km  1時間59分27秒 キロ7分02秒 ベアフット・シューズ
5km    36:28      36:28
10km    35:44    1:12:12
15km    34:15    1:46:27
17km    13:00    1:59:27

いよいよGCマラソンにむけて、ということになる。
 4月---7月が21kmの走り込みで、4月4回、5月5回、6月4回、7月1回、そして本番である。
 14回走って本番が15回目になる。
 今月3月の4回はそれへむけて、つまり21km走れる足と身体を作ろうというわけである。
 今日は19kmを予定する。
 これまで17kmで走ってきたので2km上げるということは難しくはないが、突っ走ると体が慣れていないので次回、次々回あたりでその距離を走れなくなることがある。
 タイムを気にせず、ゆっくり上げていくのがいい。
 それでもキロ7分というのはボトムラインではあるが。
 
 ベアフットシューズであるが、インソール(中敷き)を入れている。
 その分、カカトを通して届く地響きみたいなものが消え、すごく足に優しい。
 そのせいか、初めの5kmは36分を予想していたが35分でいった。
 左足のフクラハギの下、アキレス腱の付け根が少々痛くなる。
 ベアフットシューズにまだアキレス腱が慣れていないということだろう。
 走り込めば徐々に消えていく痛みである。
 ベアフットなので足元に意識をとられることはない、頭を上げ遠くをみるようにして背筋を伸ばして走るようにする。
 でもこれまでのクセでどうしてもうつむき加減で走ることになる。
 10kmまでの5キロは34分である。
 これで1分ほどの貯金ができた。

 だが10kmあたりから朝陽が雲間から顔をだし、汗が腕から額から湧き出てくる。
 19kmは無理とし、18kmに変更する。
 さらにいけないのは13km過ぎになるランドエンド公園の細い歩道で転んだことである。
 ベアフットシューズは転ばない靴とのイメージで履いているのである。
 「何故? どうして?」
と転びながら思った。
 ベアフットでも転ぶのである。
 今年の初転びである。
 スピードが出ていないので、擦りむくこともなく、ダメージらしいものはなにもない。
 手のひらサポーターをはめていなかったので、少々危険だったのだが。
 どうも転ぶという事態を避けることはできないようだ。
 まずは、転ぶということへの対策は万全にすべきで、本番に向けてタイムが上がっていくと怪我も大きくなる可能性が高い。
 
 まずは18kmを走り切った。
 キロ6分56秒。
 気候のことは言ってもはじまらない。
 順調な滑り出しである。




● ゴールドコースト ダイソー

昨日ダイソーへいったらスポーツ用インソール(中敷き)があった。
 ベアフットシューズは底が薄いので早晩擦り切れて穴があく。
 穴が開いたら1回でも2回でも余計に持たせるために中敷きを入れ足をカバーする積もりなのである。
 サイズは「22.5--24.5cm」のみである。


●ダイソー百均品 インソール(中敷き)

  日本のダイソーならいろいろなサイズがおいてあるのだろうが、ここではこの一種類だけのようである。
 サイズからして女性用であろう。
 私はシューズは25cmなので、問題なさそうである。



 それに立体形状なのでこれは使えそうだと買ってきた。
 なにしろダイソーの「百均品」である。
 日本なら100円だがここでは2ドル80セントである。
 穴が開いたときの補強用だったが、そのままベアフットシューズに使ってみることにした。
 ぴったり収まる。
 これはいい。



  さて走ってみる。
 前回と比べると、はるかに足への振動が少ない。
 ドンドンという突き上げるような感じもない。
 体への負荷も小さい。
 若干削がれるが接地感覚はベアフットのそれを大きくそれることはない。



 ベアフットを使っているのは裸足感覚を体現するためではなく、転ばないシューズとしてである。
 しかし、不幸なことに転んでしまった。
 インソールを使ったその日にである。
 別にインソールに原因があるわけではないと思うが。
 でも、嫌な気分である。
 まあ、しかたがない。

 さて問題はシューズの減りだが、走り終わっての状態が下記の写真である。
 底のゴム部分は擦り切れ、底地が見えてきている。
 62kmでこれである。

● 62kmでの減り具合

あとどのくらい走ると擦り切れて穴が開くことになってしまうのであろうか。
 100kmくらいで使用不能になる可能性もある。
 もし、そうならベアフットシューズでのGCマラソ・ハーフの本番出場はあきらめないといけなくなるかもしれない。

 どうにも疑義が浮かぶ。
 100km走って擦り切れてしまうシューズを「ランニングシューズ」と呼ぶだろうか。
 もちろん「何キロ以上走れること」といったランニングシューズ基準があるわけでもない。
 しかし、100kmで壊れるシューズは絶対に「ランニングシューズ」とはいわない、と思う。
 フルなら2回で終わりになる。
 最低でも月一で4回走って、本番で5回目、つまりフルで5回は走れるシューズがランニングシューズと言えよう。
 42kmで210kmである。
 つまり200キロ走れてランニングシューズと銘打っていいと思う。
 購入者は底の薄いことは分かっていてもランニングシューズとあるから、そのくらいは走れるのではないかと思ってしまう。
 一般のランニングシューズなら1,000キロは走れるだろう。
 ランニングをはずして「ベアフットシューズ」のみにしたほうがいいと思う。
  ランニングシューズと銘打つなら、摩耗の激しいカカト部分のゴム質を耐久性の高いものにしてその名に見合うものにすべきではないだろうか。
 
  さてこのシューズについて考えるに選択肢は3つある。
 一つはさらに買い増して履きつぶしながら本番を迎える。
 二つ目は手元の3足とキッドシューズをやりくりして、本番はベアフットで走れるようにする。
 三つ目はもしベアフットが履きつぶれたら、本番はキッドシューズで臨む、である。
 初めの選択肢はいまのところ考えていない。
 これを選ぶとなにか詐欺に取り込まれてしまう感覚がするからである。
 さあてどうなるか。 






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2019年3月3日日曜日

● いだてん(1):「スマホをいじりながら見ることができないドラマ」

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  私はNHKの紅白歌合戦も大河ドラマも朝ドラも見たことがない。
 見ようとも思わない。
 同じストーリーの繰り返しで飽き飽きして新鮮味がないからだ。
 時間の無駄、と思っている。
 ところが「いだてん」は見ている。
 面白い。
 ストーリーが奇想天外である。
 お堅いNHKらしくない。
 でも視聴率がまるであがらない。
 一種のドラマ実験をやっている雰囲気が濃厚である。
 マラソンとドラマ「落語心中」を足して二で割ったみたいのものだ。
 好きな人は好きかもしれないが、なかなか人を引き付けるものにはなっていない。
 まあしかたがない、そんなものだろう。
 NHKだからやっていられるので、民放なら即打ち切りだろう。
 打ち切りがないということは、まだまだあと半年は楽しめそうである。
 放送終了後にテレビドラマ実験として「いだてん」は大きな金字塔を打ち立てるのではないかと思っている。


東洋経済オンライン 2019/02/10 5:30 スージー鈴木 : 評論家
https://toyokeizai.net/articles/-/264668

大河「いだてん」からそれでも目が離せない理由
視聴率では測れない「情報洪水」の快感


●2019年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」の主役に起用され、記念撮影する(左から)阿部サダヲさん、中村勘九郎さん。右は脚本の宮藤官九郎さん。写真は2017年(写真:共同通信社)

 鳴り物入りで始まったNHK大河ドラマ「いだてん」だが、予想外に視聴率が伸び悩んでいる。
 初回から5回までは15.5%→12.0%→13.2%→11.6%→10.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という視聴率で推移しており、確かに苦戦している。
 しかし、同じく宮藤官九郎脚本で、同じく、高視聴率とはいえなかった朝の連続テレビ小説「あまちゃん」(2013年)のように、熱狂的に盛り上がっているファンも多いようだ。
 では、この「段差」は、どこから生まれてくるのだろう。
 今回はその謎を、「いだてん」の独特の魅力構造から探っていくこととする。

■「いだてん」最大の魅力は「情報洪水」

 「いだてん」の最大の魅力は、「画面からあふれ出す情報の洪水」にあると見る。
 時制(明治と昭和)と視点(金栗四三、嘉納治五郎、古今亭志ん生、美濃部孝蔵=若き志ん生)が、くるくる入れ替わる実に忙しい脚本。
 その脚本を彩る、次から次へと登場する途方もない数の有名俳優たち。とにかく情報が絶え間なくあふれ続ける、息をもつかせないドラマなのである。
 また、これまでの宮藤官九郎脚本にありがちだった緩い「小ネタ」が少なく、その分、史実に関連した情報が上乗せされ、情報量はさらに積み重なっていく。

 実際に私が見て感じた第一印象は「スマホをいじりながら見ることができないドラマ」というもの。
 初回、感想などをツイートしながら見ようと思ったのだが、スマホをちらっと見ている間に、画面は大きく転換し、別のシーン、別の人物に入れ替わるのだ。
 「スマホをいじりながら見ることができない」という意味では、毛色は違うが、年末恒例のテレビ朝日系列「M-1グランプリ」に近いものがある。
 M-1も、少なくとも漫才が進行する4分の間は、決してスマホをいじることができない。
 ここで思うのは、そんな、テレビから目を離せなくなるような「情報洪水」を、快感に思うかどうかで、「いだてん」の評価が決まるのではないかという仮説だ。

 事実、私の周囲でも意見は分かれているのだが、高く評価しない人は、その理由を「展開があまりに忙しすぎて、ストーリーに追いつけない」とする人が多い。
★:では逆に高評価する人=「情報洪水」を快感に思う人とは、どんな人なのか?
 このことを考えるにあたり、思い出すフレーズがある。
 宮藤官九郎の師匠のような存在でもある高田文夫が、昭和40年代に一世を風靡したコント55号(萩本欽一、坂上二郎)が出たテレビ番組について語ったフレーズだ。
 「だって、いきなりカメラのフレームの外からダーッと走ってきて、パっと飛び蹴りして、そのままダーッといなくなっちゃったりしたでしょ。
 (中略)ああ、画面の向こうではすごいことが起きてる。
 世の中は大変なことが起きているって思いましたよ」
(『笑うふたり―語る名人、聞く達人 高田文夫対談集』中公文庫)

 この「画面の向こうではすごいことが起きてる」は、昭和の「テレビ黄金時代」において、テレビ好きの少年少女が、どれほどテレビに首ったけになっていたか、テレビからの新しい情報に対していかに貪欲だったかを、ビビッドに表した名フレーズだと思う。

■「情報洪水」が快感な人は「テレビ好き」ではないか

 「情報洪水」を快感とする人の多くは、「情報洪水」に圧倒されるマゾヒスティックな喜びがかつて刷り込まれた(元)テレビ好きなのではないか。
 そして、彼(女)らが今、「いだてん」に強く反応しているのではないだろうか。
 おそらく、現在40~50代になっているであろう、そんな(元)テレビ好きは、「いだてん」を見て「画面の向こうではすごいことが起きてる」と思いながら、M-1を見るときのあの集中力を、この1月から毎週稼働させていると思うのだ。

 「いだてん」の魅力分析に戻る。
 この「情報洪水」論に加えて、キャスティングに目を向ければ、主役(の1人)である中村勘九郎の魅力が光っている。
 途方もない人数の有名俳優たちの中心で、純粋で無垢な金栗四三役を若々しく演じている(37歳には決して見えない)。
 ここで思い出すのは、「あまちゃん」における能年玲奈(現「のん」)のことだ。
 彼女も、「あまちゃん」の濃厚なキャスト陣の中心で、イノセントな魅力を放ち、濃厚な世界に視聴者を誘引するゲートウェイの役割を果たしていた。
 (元)テレビ好きにとっても「いだてん」は、少々度が過ぎる部分があるかもしれない。
 そういうクドいところを中和し、読後感を爽快にする役割を、中村勘九郎が担っている。
 彼の存在が今後、新しい視聴者の開拓につながっていくと思われる。

■「いだてん」は五輪の原点を問いただすドラマ

 加えて、3つ目の魅力として、「オリンピックへの原点的なスタンス」を挙げておきたい。
 これは、ここまで述べたことに比べて、やや些末な視点のように感じるが、その意味は、回を追うごと(=2020年東京五輪が近づいていくごと)に高まっていくはずだ。
 初回で描かれたのは、永井道明(杉本哲太)が主張する、閉鎖的な「体育」的価値観と、嘉納治五郎(役所広司)が主張する、平和(フランス語で「ペ=Paix」)を重んじる「スポーツ」的価値観の対立構造だ。この対立構造は、おそらく「いだてん」全体を支配する通奏低音になっていくだろう。

 宮藤官九郎は、『週刊文春』(1月31日号)の連載コラムで「一部でプロパガンダだ国策ドラマだと邪推する人がいると、見たくもねぇネットのニュースが流れてきて知りました。いやいや、冷静に考えて。そんなに重要なミッションなら俺なんかに任せないって」と書いていた。心強いと思う。
 「来年のオリンピックに暗い影を落とす出来事が起こって」いる(上コラムより)中、「いだてん」は、オリンピックの原点を問いただすドラマとなっていくのではないか。
 そしてそのことは、(元)テレビ好きに加え、原点志向の(元)オリンピック好きの開拓にもつながっていくと考えるのだ。

 最後に、テレビとスマホ(ネット)の関係論に戻る。
 ここ数年のテレビ界は、スマホとの「競争」ではなく、「共存」を図ってきたように思える。
 その象徴が、ニュース番組などにおける、番組指定のハッシュタグ付きツイートを画面に流す演出だ。
 スマホやネットは、テレビの敵としてはもう強大になりすぎた。
 だとしたら、テレビとスマホの「ダブル・スクリーン」を前提として番組を作ろう、ということだろう。
 しかし私=52歳の(元ではなく現)テレビ好きは、「共存」戦略ではなく、「競争」戦略の可能性も残っているだろうと、まだ信じている。
 SNSや動画サイトからは流れてこない、ヒト・モノ・カネ・ジカンをたっぷりと費やした極上の国民的コンテンツで、テレビが、スマホを圧倒できる可能性があると、まだまだ信じている。

 「いだてん」と、同じく日曜夜に放送されている、情報密度の高いドラマ=日本テレビ系「3年A組-今から皆さんは、人質です-」も、「スマホをいじりながら見ることができないドラマ」という一点において、「競争」戦略への可能性を十分に漂わせている。

■「情報洪水」の中でテレビはどう生き残るか

 少し古い資料になるが、総務省の『情報流通センサス報告書』(平成18年度)によれば、平成8年度(1996年)に対する平成18年度(2006年)の情報流通量は10年間で530倍になった。
 では、スマホとSNSの爆発的普及を経た平成最終年など、何倍に膨れ上がっているのだろう。見当もつかない。

 その中で、テレビはどう生き残るか。
 そのための最もストレートな方策が、ヒト・モノ・カネ・ジカンを費やして生み出された、圧倒的な質・量・速度の情報で、ほかの情報を遮断してしまうことではないか。

 休日を締めくくる夜に、テレビから溢れ出す「とつけむにゃあ」(とんでもない)な「情報洪水」――日曜夜の皆さんは、テレビの人質です。



現代ビジネス 2019/03/03 堀井 憲一郎コラムニスト
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/60050

大河ドラマ『いだてん』に「ハデな主人公」が存在しない深い理由
これは19世紀の小説と同じだ

■楽しいパワーに溢れたドラマ

NHK大河ドラマの『いだてん』が楽しい。
おもしろいというよりは、楽しい。
最初のうちは話があっちこっちに行ってしまい、筋を追おうとするとわかりにくい展開だった。
登場人物が多く、それも時代を越えて出てきて、それぞれの人生が描かれている。なかなか珍しい導入だった。

19世紀に流行した小説は、ときにこういう構成になっているものがある。
トルストイの『戦争と平和』も、いろんな人物が次々と現れ、かなり読み進めないと、中心人物がわからない。
どうやらピョートルという人が中心らしい、と気付くのは、だいぶ経ってからである(少なくとも私はそうだった)。
群像小説である。
読みにくいけれど、パワーがある。
なんかそれを想像してしまった。

ドラマとしては、かなり珍しい。
意欲的なドラマであることはたしかだ。
この先、何を見せてくれるのか、どきどきしている。
主人公は二人。
一人は金栗四三(中村勘九郎)。
マラソン選手である。
もう一人は田畑政治(阿部サダヲ)。
東京にオリムピックを呼んだ男。
いちおうこの二人がメインキャストである。
正直に言えば、地味である。
それも、かなり地味だ。

西郷隆盛(2018年大河ドラマ主人公)や明智光秀(同2020年)に比べるとぐんと知名度が落ちる。
だからだとおもうが、金栗と田畑だけではドラマは進まない。
ほかにも中心的な人物がいろいろ出てくる。
まず、落語家の古今亭志ん生(若い時代を森山未来、年取ってからがビートたけし)。
それから柔道家の嘉納治五郎(役所広司)。
すでに柔道家ではなく(たぶん)、教育者である。
とりあえずはこの四人がとっかえひっかえ、ドラマの真ん中に出てきて、お話を進めている。
落ち着きはない。

第一話の冒頭は、昭和34年(1959年)の古今亭志ん生(ビートたけし)から始まった。
まずこの「昭和の志ん生」で3分。
次いでこの時期の田畑政治たちが出てきた。
東京へオリムピックを呼べるのか、というお話で2分。
そこから、いきなり明治時代に飛んで、古今亭志ん生の青年時代、
本名の美濃部孝蔵(森山未來)が登場してくる。
33秒。
そのあと再び田畑政治たちの昭和34年が描かれ(2分)、タイトルバックに入った。
ここまで、くるっくる視点が変わる。
タイトルが終わったら、1年経っていて、昭和35年(1960年)の古今亭志ん生である。
そこから明治42年の美濃部孝蔵へ飛んで、いったん昭和35年の志ん生に戻って、また明治42年の美濃部孝蔵へ行き、続いてそのまま明治42年の嘉納治五郎と移った。
たぶん、このへんでくらくらし始めた人がいたとおもう。
ジェットコースターに乗り慣れてないと、酔いそうな振られかたである。

■どうしてこんなに行ったり来たり?

でも、なんかおもしろい。私はわくわくした。
おそらく、わくわくする人と、取りこぼされていく人に分かれていったのだろう。
「なんか楽しい」けれど「視聴率はよくない」となる分岐点である。

第一話を「誰のシーンだったか」をざっくり割ると。
「嘉納治五郎タイム」39分
「昭和の古今亭志ん生タイム」7分、
「美濃部孝蔵(明治の志ん生)タイム」4分、
「田畑政治タイム」4分。
嘉納治五郎がもっとも長かった。
でも昭和の志ん生もそこそこある。

1910年あたりと、1960年あたりを行き来していて、それを2019年から見ているわけだ。
いやはや、なかなか落ち着きがない。
落語には「あなたは落ち着きさえすれば、一人前だ」と言われる人物がときどき出てくるが、それをおもいだしてしまった。
第一話の終わりに「隈取りした中村勘九郎」が出てきた。
「車、やらぬ」の梅王丸ではなく(わかりにくい比喩ですません)、マラソンで世界記録を叩きだした金栗四三選手だった。

第二話からは金栗四三(中村勘九郎)が中心になる。
第二話の時間配分は
「金栗四三」25分。
「美濃部孝蔵(明治の志ん生)」10分、
「昭和の志ん生」1分、
「嘉納治五郎」1分
だった。
明治の時代が中心だけれど、昭和も入ってくる。
そのふらふらぶりは変わらない。

■「地味人」が多いドラマ

登場人物に「偉人」がいない。
大河ドラマは、いままでは「日本の歴史に関わったレベル」の人物が次々と出てきて展開することが多かった(一部、例外はあります)。
中心は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三人、あとは幕末の長州、薩摩、土佐の志士たちである(肥前はほぼ無視されて気の毒である)。
もう60年近くやっているので、信長・秀吉・家康は繰り返し中心役で出てしまい、最近の主人公はその周辺の人にまで及んでいる。
井伊直虎や真田幸村や黒田官兵衛が主人公になり、でも井伊直虎の物語は、つまりは徳川家康の話であるし、真田幸村の話はやはり豊臣秀吉・秀頼の物語である。
結局、同じ時代を違う方向から見直すことが繰り返されている。

ところが、今年はまったく違う。偉人はおらず地味人ばかりだ。
金栗四三や田畑政治は、あまり日本史の教科書に載っていない。
嘉納治五郎もふつうの教科書には載らないだろう(載ってたらごめん)。
古今亭志ん生を太字で載せる歴史の教科書もないとおもわれる。
そういう人たちを中心に据えて、物語が展開している。
あと出てくる人物も、三島弥彦や橘家円喬など、同じくらいの知名度の人たちだ。

「大河ドラマレベルでいえば、そんなに有名ではない人たち」が出てきて、それぞれの人生が描かれている。
まっすぐな一本の人生は描かれていない。
最初は、「金栗四三選手のオリムピック物語」だが、それだけで一年をのりきらないだろう。
そもそもストックホルム五輪の結果を知ってる身としていえば、この初参加はとても興味深いエピソードだとはおもうが、一本のドラマになるほどの素材ではない。

■「時代」を描こうとする

だから、いろんな人がちょっとずつ出てきている。
平行していくつもの人生を描いている。
これには、おそらく、わけがあるのだ。
群衆小説である『戦争と平和』が、主人公がはっきりとわからないまま、それでも圧倒的な迫力で進むのは、ナポレオン時代のロシアそのものを描いているからである。
ロシアにとってナポレオンは迷惑でしかなかった、ということがひしひしと伝わってくる(ヨーロッパ中で迷惑だったとおもうが)。

小説家が「19世紀の長編小説」に憧れるのは、人間を描きながらも、それを越えた「時代そのもの」を描いているからである。
おそらく小説家は、人生を越えた「時代」を書きたいのだ(小説家のタイプによるとおもいますが)。
トルストイ『戦争と平和』はそれを描ききった。
19世紀前半のロシアそのもの、貴族社会が揺れ動き、19世紀の戦争と19世紀の国家が書かれ、感情を越えた社会の蠢きそのものが描かれている。
読むのはなかなか大変だが、読み終わると、並の小説では得られない大きなものを受け取ることになる(そういう気分になれる)。

群衆小説的な手法で始まった『いだてん』は、おそらくかなりの野心があるのだと(勝手に私は)おもっている。
いろんな人が次々と出てきて、ややこしくて、落ち着きのないドラマであるが、それには狙いがある。
細い川の流れが、いつか何かの形でひとつになっていき、予想もしなかった大きな流れになっていくのではないか、まさに「大河」なドラマが出現するのではないかと(勝手に私は)楽しみにしている。
「オリムピック」がキーワードになっているが、しかし、「オリムピック」だけを描こうとしているのでもないとおもう。
それを越えた大きなもの(日本の空気とか、何か)を見せてくれるのではないだろうか。
そうだとしたら、いま見放してはもったいない。

ぼんやりでいいから、見続けたほうがいい。
そのうち、じわりとおもしろくなっていきそうにおもう(はずれたらごめん)。

私はひたすら期待するばかりである。


現代ビジネス 2019.06.09 堀井 憲一郎コラムニスト
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65097

『いだてん』は、日本男子マラソン界の「無念の起源」を描いた傑作だ
視聴率一桁はあまりに勿体ない!

■ドラマを見ていると思い出す「あの選手」

 大河ドラマ『いだてん』の主人公、金栗四三は20話での1920年のアントワープオリンピックのマラソンでメダルを取れなかった。
 残念である。
 1912年ストックホルムでは途中で昏倒、1916年はベルリン開催されず、1920年アントワープでは35kmこえたあたりまでは健闘、5位以内にいたがその後、失速してメダルは取れなかった。
 オリンピックは4年ごとなので、世紀が変わっても同じ下2桁の年、つまり’12年、’16年、’20年に開かれるのかとおもうと、ちょっとおもしろい。
 ‘16年のベルリン大会が開かれていればと残念である。
 金栗四三は21歳と29歳のときにオリンピックに出場したが成績をあげられず、25歳の絶頂のときのオリンピックが中止になったのである。

 つい瀬古利彦をおもいだした。
 瀬古利彦は早稲田大学の学生だった1979年の福岡国際マラソンで、早稲田大学のゼッケンをつけて圧倒的な強さで優勝、日本マラソン界の期待の星となった。
 友人の下宿にあった小さい白黒テレビでその瀬古の圧勝を見つめて、興奮した。
 1979年に瀬古選手は早稲田大学教育学部の4年、私は文学部の1年だった。
 同校の先輩の優勝はやたらと高揚してしまう。
 瀬古は1980年3月に早稲田大学を卒業する。
 教育学部体育専修の4年には瀬古利彦と、阪神タイガースにドラフト1位指名されたばかりの岡田彰布がおり、「体育専修の学生なら必ず受けにくるはずの試験」を調べだした同級生が、岡田と瀬古ににサインをもらってくると教育学部に出向いていったのをよく覚えている。
 結果、瀬古選手には会えてサインを貰って写真もとってもらってけど、岡田選手は来なかった。
 タイガースのキャンプに行ってるらしい、卒業できるんだろうか、という話をしていた。
 まあ、たぶん卒業してるんだとはおもいますけど。

 1978年からしばらく、マラソン界の瀬古は圧倒的な強さを見せていた。
 暴力的なほどに強かった。
 他の選手と同時に競技場に戻ってきても、最後にすごいスパートを見せて完全にぶっちぎって優勝する、というのを繰り返していた。
 誰がみても世界1位、日本陸上界の悲願、オリンピックマラソンでの金メダルは確実だとみられていた。
 競技場に戻ってきたときの雰囲気があまりにも余裕で、これから追走者をしっかり圧倒してやるという不敵な感じを漂わせ、あっというまにそこからトップスピードに乗って、まさにぶっちぎるという感じで勝っていた。
 遅れだす追走者の無念さまでもが見事な景色になっていた。
 彼が負ける姿が想像できなかった。
 たぶん本人もそうおもってたのではないだろうか。
 1980年のモスクワオリンピックのマラソンでは、誰がどう見たって瀬古利彦が金メダルを取るだろう、余裕で取るに違いないと信じていた。

■円谷幸吉の姿に感じた、悲痛な思い

 オリンピックのマラソンを初めてみたのは1964年の東京大会である。
 6歳だった。
 トップで帰ってきたのはエチオピアのアベベ選手。
 しばらくして彼に続いて国立競技場に二番目に戻ってきたのは日本の円谷幸吉選手だった。
 しかし円谷は競技場内でイギリスのヒートリー選手に抜かれてしまう。
 当時6歳ではあったが、私はこのシーンを(テレビで見ていたのだが)鮮明に覚えている。
 日本選手が2位で入ってきたのに抜かれてしまったのがあまりに哀しく、まだ少しあるのだから抜き返して2位に戻ることはできないのだろうか、と胸を締め付けられるような気持ちで見ていた。
 その悲痛な気分をよく覚えている。
 円谷幸吉といえば、このときの顔(そんなに鮮明に見えてなかったはずなのだが、でも淡々としながらも悔しそうだった記憶になっている)が忘れられない。

 1968年のメキシコオリンピックのマラソンでは、君原健二が2位に入った。
 彼は途中まではかなり後方にいたのだが、途中からどんどん前に出て2位に入ったのだ(それはあとになって知った)。
 このマラソンは日本では月曜の朝の時間帯で、この日、1968年10月21日月曜、小学4年だった私はものすごく寝坊してしまい、本来なら小学校へ着いてるような時間に起きてきて(たぶん8時30分くらいだったとおもう、遠距離通学だったのでうちから小学校まで45分くらいかかる)、大変な遅刻をしたというショックで茫然と用意しているなか、マラソン中継をぼんやる見ていたのだ。
 君原健二がクビをふりながら力を出し切ったような気配で2位でゴールしたシーンをぼんやりと見ていた。
 1時間目まるまる遅刻しそうな寝坊したことで世界が終わったようなショックを受けていたので、日本人の銀メダルシーンに感銘を受けることなく、かなりぼんやりしていたのだ。まあ10歳児なんでしかたがない。
 のち、大学で同い年の子とメキシコオリンピック君原の話になったとき、そいつは家でマラソンの前半を見ていて、でも学校に向かう時間になったので、友だちの家に寄っては、君原はいま何位になったかと聞いて、それを2,3人の家で繰り返して、学校に着いたころに君原が2位になったことを知ったという。
 なんか劇的だったけど、でもすごく地味でもあった。
 そういう素敵な選手でした。君原健二。
 君原は次の1972年のミュンヘンでも5位に入賞した。
 このへんがこの人のかっこいいところですね。

あんなに期待されていたのに…

 1976年のモントリオールオリンピックのマラソンでは宗兄弟の兄・茂が出場したが、20位だった。

 そして1980年のモスクワオリンピックのマラソン。
 日本代表は瀬古選手と、この双子の宗兄弟だった。
 すごく強そうなメンバーである。
 瀬古利彦の優勝は疑っていなかったが、宗兄弟も優勝にからんでくるのではないかと期待していた。
 多くの人がそういう期待をしていたのじゃないだろうか。
 双子の宗兄弟は一緒にレースに出ると強いと言われていて、モントリオールは兄だけしか出てなかったから敗れたのだという話もあった。
 だから、世界最強の瀬古に、宗茂・宗猛がからむと、メダルの複数が可能だともおもっていた。
 1位2位3位の独占ではなくて、1位は瀬古で、2位ソ連のチェルピンスキーが入ってきそうだけれど、3位に宗兄弟のどっちかが入るんではないか、という予想していたのだ。
 いま予想しても、ちょっとわくわくするが、なかなかむなしいわくわくである。
 アフガニスタンでのソ連侵攻に抗議して、モスクワオリンピックは「西側諸国」がボイコットした。
 世界は東と西に分けられて、とても政治的な季節だったのだ。
 アメリカにとってソ連は明確な敵だった。
 スパイ映画ではソ連はきちんと敵国だった。

 「モスクワオリンピックに出場していたら金メダルが確実だった日本選手」には、このマラソンの瀬古と、あと柔道の山下泰裕選手、レスリングの高田祐二選手の3人がおもいうかぶ。
 政治的な理由で出られないことに抗議したニュースでの高田選手の涙が忘れられない。
 高田選手はモントリオールで金メダルを取っていて、連覇を狙っていた。
 4年後のロサンゼルスに出場したが銅メダルだった。
 でも、いちおうオリンピックメダルを2つ取っていることになる。
 山下泰裕は、次のロサンゼルスオリンピックで足を痛めつつも金メダルを獲得した
 感動的な金メダルだった。

 瀬古利彦は、しかしロサンゼルスでメダルが取れず、その次のソウルでも取れず、ついにオリンピックで勝つことがなかった。
 世界最強と言われながらも、いくつかの不運が重なってオリンピックメダルを取れなかった。
 金栗四三と少しだぶってしまう。

 ロサンゼルスオリンピックのマラソンは、1984年の8月12日におこなわれた。
 日本では13日月曜の朝スタートで、何だか夏らしい日だった。
 私は、瀬古のマラソンのことを考えて前日からよく寝られなかった。
 なぜだかはよくわからない。
 でも瀬古に優勝して欲しくて欲しくて、そのために寝られなかったのだ。
 そんなことはあとにも先にもこのときぎりである。
 同世代の選手だからかもしれない。 
 大学では3学年違っていたが(私がたくさん浪人をしたからだとおもわれる)瀬古選手は中高の学年でいえば一つ上である(柔道の山下選手と同い年)。
 あまりよく寝られず朝からテレビをみた。
 テレビで見た夏の緑とロサンゼルスの風景を何となく覚えている。
 でもそれぐらいしか覚えていない。
 東京五輪やメキシコ五輪のときのように鮮烈には覚えてない。
 瀬古は30kmくらいまでは先頭集団にいたはずだけど、あまり力強さが感じられず、あと10キロくらい残しているあたりで先頭集団から脱落しはじめた。
 あまりに衝撃的で、そのあとをよく覚えてないのだ。
 だめなのか、だめだたったのか、やっぱだめなのか、という悔しいおもいでいっぱいになって、自分を喪っていくような気分だった。
 たしか宗兄弟のどっちかがそこそこ頑張ったのだけれど、そのへんの記憶も曖昧である。
 いまあらためて調べて、弟の宗猛が4位に入っていたのをおもいだした。
 4位というのが何ともいえないところである。
 瀬古の順位はまったく記憶していない。(14位だった)。

■金栗四三の無念から続く、男子マラソンの「無念」

 瀬古利彦は、その4年後の1988年のソウルオリンピックにも出場した。
 優勝するはずのモスクワから8年経っている。
 9位だった。
 ソウルオリンピックでは、瀬古のライバルとして出てきた長身の中山竹通が4位だった。
 中山竹通も強かったがオリンピックでは勝ちきれなかった選手で、この4年後の1992年のバルセロナオリンピックでも4位だった。
 2大会連続の4位。
 すごいといえばすごいが、残念といえばかなり残念である。

 1992年のバルセロナではさほど注目されてなかった森下広一が2位で銀メダルを取った。
 1968年の君原と違って、最後まで韓国選手(黄選手)と優勝を競っていた。
 これは、ひょっとしてとおもって、息を詰めて見ていた。
 二人で並んで走り続けていたが、最後で突き放されて、やはり、という気分になってしまった。
 オリンピックのマラソンでは、いつもそういう気分に襲われる。

 1992年バルセロナで期待していのは谷口浩美で、でも彼は前半の給水のときに靴を踏まれて転倒して靴が脱げた。
 それで優勝にからめなくなった。
 レース後の「こけちゃいました」とのコメントが印象的だった。
 谷口が脱落して、かなり気落ちして見ていた。

 谷口浩美は前年の世界陸上の東京大会で優勝している。
 このとき私は沿道まで見に行っていた。
 国立競技場すぐのところで見て、品川まで移動して見て、また競技場脇へ戻って谷口がトップで帰ってくのをみた。
 「にっぽんいち!」と声をかけたらうしろの見知らぬおっさんに「世界一だよ」と言われた。
 おら、ただ、江戸っ子っぽく江戸のころに流行っていた日本一という言葉がいいたかっただけなんだな。
 あそこで世界一と言わなかったのがいけなかったのかもしれない。

 この1992年バルセロナのマラソンが、優勝を念じた最後の大会になった。
 1964年の東京大会以来、不思議におもいつめた気持ちで見ていたのはここまでである。
 そのぶん気楽に見られるようになった。
 オリンピック前から世界に名を轟かせる選手をあまり見かけなくなたっということでもある。
 どうやらオリンピックの男子マラソンを見るたびに、「円谷幸吉と瀬古利彦の無念さ」を感じ続けていた、ということのようだ。

 『いだてん』を見ていると、それは「1916年ベルリン不参加の金栗四三の無念」から発祥しているような気がしてしまう。
 ふしぎな気分である。


東洋経済オンライン 2019.06.16 木俣 冬 : コラムニスト
https://toyokeizai.net/articles/-/286960

NHK「いだてん」の視聴率が極めて冴えない理由
大河ドラマ「歴代ワースト記録」の意味

 大変だ。
 「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(NHK 日曜夜8時〜)が大河ドラマで新記録を打ち立ててしまった。
 6月9日(日)放送の第22回「ヴィーナスの誕生」は視聴率が6.7%で、1963年から始まってこれまで58作放送されてきた大河ドラマで記録に残っているものとしては、2012年11月18日(日)放送の『平清盛』第45回の7.3%というワースト記録をさらに下回る最低水準となった。

 「いだてん」は、日本で初めてオリンピックに参加したマラソン選手・金栗四三(中村勘九郎)と、日本へのオリンピック招致に尽力した田畑政治(阿部サダヲ)の2人を主人公にしたドラマ。

■「いだてん」の存在意義とは

 1年間全47回のドラマのなかで前半(第24回まで)は、金栗と最初に日本人がオリンピックに参加した1912年のストックホルムオリンピック、後半(第25回から)は、田畑と日本でオリンピックが開催される1964年の東京オリンピックを描く。
 現在、前半のクライマックスを迎えつつあり、第22回は、日本初の女性オリンピックメダリスト・人見絹枝(菅原小春)が颯爽と登場し、黒島結菜が演じる金栗の教え子である女子学生・村田富江が率いる女子たちが立ち上がる清々しいエピソードで、SNSでは「神回!」「22回中最高!」という絶賛の声が上がった。
 にもかかわらず、視聴率という数字が伴わない。

 いったい何が「いだてん」を孤高のドラマにしているのか。
 なぜ視聴率が低いのか、そしてこの特異なドラマの存在意義とは――。

 毎日利用する通勤電車で、当たり前に「大河ドラマ」駅に着くつもりが「朝ドラ」駅に着いて、そこには知らない人がいて、いつものような流れで仕事が進まず、すっかり困惑してしまったというような状況がいまの「いだてん」である。
 主として低視聴率の原因とされる点は3点。
1:.  構成が凝りすぎている
2.:  有名な偉人によるよく知られた歴史譚でない
3:.  朝ドラみたい

★:まず、構成。
 落語を使った構成が凝っている。
 金栗と田畑の生きた2つの時代を結びつけるために、明治から昭和まで生きた落語家・古今亭志ん生(若き頃、美濃部孝蔵時代は森山未來、志ん生になってからはビートたけし)が創作落語『東京オリムピック噺』を語るという趣向になっている。
 日本人がいかにオリンピックと関わってきたか、そこに存在した人々の奮闘を描いた創作落語が2つの時代を一本刺し貫くという凝った趣向だが、これが意外と関門になった。
 オリンピック=スポーツドラマと思って見たら、落語のドラマも混ざっていて混乱してしまうという声が出た。
 2つの時代を行ったり来たりして混乱しないようにガイドとして機能するはずの落語が、かえって混乱を大きくしてしまったとは予想外だろう。
 視聴率が下るのは、落語だけに「サゲ」(オモのこと)がつきものです、と笑っていいものか悩ましい。

★:2点目は、主人公が有名人ではないこと。
 織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などなど、だいたい何をした人か知っている人であってほしい。
 「待ってました!」と知っている出来事を見て楽しみたいのが日曜夜8時の気分らしい。
 いやいや待てよ、6月9日(日)放送回で視聴率が20%を超えた「ポツンと一軒家」は、有名人ではない人の意外な生活の実話である。
 だがこれは、出てくる人は知らない人ながら、田舎にポツンと一軒家があるという筋は毎回同じ。
 つまり、ポツンと一軒家の発見とそこで暮らす人のちょっといい話であることは、誰もがあらかじめわかっている。

■お決まりの“印籠”タイムは1年後!?

 いわゆる“水戸黄門パターン”なのだ。
 「半沢直樹」以降、成功パターンとして信じられている、医療もの、事件もの、逆転ものにつきものの、必ず何か気分がよくなることが起こり、それを楽しみに見るという絶対安心の番組。
 それこそが今までの大河ドラマであり、「水戸黄門」であり、「半沢直樹」であり、そして「ポツンと一軒家」なのである。
 そこへいくと「いだてん」にはそれがない。
 いつ、大正と昭和の時代の話が出てくるか、いつ、古今亭志ん生の話になるかわからず、ふいに話が切り替わる。
 しかも、いまのところ、何かが起こるとたいてい主人公が負けてしまう展開なのだ。
 金栗はオリンピックでゴールできず、次のオリンピックは中止になり、3度目の正直かと思えば16位。
 第22回でせっかく女子が立ち上がったと思ったら、これから関東大震災、さらに戦争も待っている。
 そこを乗り切れば、やがて昭和の高度成長期を迎え、はじめて日本にオリンピックが招致されることになって、すべてが報われる、はずだ。
 1年間続けて見たら、最後は印籠タイム的なことが用意されていると想像に難くないのだが、われわれ庶民は、この数年の1話完結型の医療と事件もののドラマブームによって、1時間の間に救いや答えをもらうことにすっかり慣れてしまい、1年間も待つことができないカラダになってしまっているのであった。
 これが視聴率低下の最大の理由と考えられるが、3点目も念のため挙げておこう。

★:3点目は、大河というより「朝ドラ」みたいだから「朝ドラ」でやってほしいという意見。
 確かに、22回は人見絹枝ほか女性たちが、女性はこうあるべしという、主に世の男性の意見から解放されたいという思いにあふれた爽快極まりない話なうえ、現代の女性問題ともフィットした社会性もたっぷりで、朝ドラでやっていたら25%くらいとれたかもしれない。
 こうして第1回は15.4%だった「いだてん」の視聴率が徐々に下がり、第6回から1桁が続き、現在、6.7%となったと考える。
 ここからは、ではこの孤高のドラマの存在意義があるかだが、答えはある、だ。
 視聴率が下がったとはいえ、第18~21回までは8%台が続き、潜在的な視聴者はそれくらいは必ずいるのではないかと見られていた。
 実のところ、これくらいの視聴率があれば、決して世間が背を向けているとはいえない。
 むしろ作品を徹底的に応援するコアな視聴者がたくさんいるという見方ができる。
 それには前例がある。

■高視聴率=人気とは限らない理由

 まず、「おっさんずラブ」(2018年テレビ朝日)。
 平均視聴率が4.0%。最高でも5.7%だったが、SNSでの反響が回を増すごとにアップし、終了後も映像ソフトや書籍など関連商品の売れ行きがよく、映画化(今夏公開)もされ、テレビ朝日の2018年度の売上に大幅に貢献するほどのヒットとなった。
 次に、「コンフィデンスマンJP」。
 ドラマ版(2018年フジテレビ)の平均視聴率は8.9%で全10話、すべて1桁だったが、5月に公開された映画版は6月10日時点で興収22億円を突破し、早くも第2弾制作が決定した。
 視聴率とは世帯視聴率を指し、ビデオリサーチのサイトによると「テレビ所有世帯のうち、どれくらいの世帯がテレビをつけていたかを示す割合」とある。
 地域によってサンプルとなる世帯は違い、関東地区は900世帯となっている。
 他地区よりも最も多く関西は600、そのほか200世帯なので、視聴率といえば関東地区のそれが基本として話題にされる。
 われわれはこの世帯数と地域の人口を考慮して、だいたいの視聴人数を勝手に想定しているわけだ。
 そのため番組を視聴している正しい人数がわからないことと、サンプルになっている世帯が明かされていないため、代わって、録画率や再放送やBSなどを見た総合視聴率、SNSなどで取り上げられる視聴熱、配信で見られた数など、新たな指標が模索されているところだ。
 以前、フジテレビのプロデューサーに取材をしたとき、「映画で興収30億円というのは、見ている人数だけで言ったら、『恋仲』とそうは変わらない。
 むしろ、人数だけで言ったら、おそらく『恋仲』のほうが多いんじゃないでしょうか」と語っていた(ヤフーニュース個人「恋愛ドラマは求められている」より)。
 「恋仲」とは、2015年に放送された平均視聴率10.8%の恋愛ドラマである。
 視聴率10%は興収30億円と同価値であるということらしい。

 もちろんたくさんの人が見るに越したことはない。
 朝ドラのように視聴率が20%を超えることを悲しむことも恥じることもないが、それが必ずしも経済効果につながるかといったら絶対ではない。
 そこには家にいながら無料で見られるから見ているという層がいる。
 視聴率が上がれば上がるほどその層は増える。
 対してソフトやグッズを購入し、映画館にも足を運ぶ層が5%以上いれば経済は動く。
 ゆえに「いだてん」は「おっさんずラブ」や「コンフィデンスマンJP」のような、熱のあるファンを獲得する作品にある傾向のドラマだと思えば、視聴率の低さはさほど気にならない。
 逆に、「いだてん」はこれからの大河ドラマを支える強い味方予備軍を生み出しているともいえるのだ。

■新しい大河ドラマの可能性を秘めた「いだてん」

 そもそも「いだてん」の脚本家・宮藤官九郎は、視聴率はさほどではないものの、作品を熱心に見る、要するに作品の味方となる視聴者を呼ぶことのできる作家であった。それが顕著になったのが朝ドラ「あまちゃん」(2013年)。
 関連本が売れたことをはじめ、SNSで朝ドラを語るというブームを作り、従来の朝ドラを見る層に新たな層を呼び込んだ。
 「いだてん」を大河ドラマでやるにあたって、高齢者ばかりが大河ドラマを見ている状況を打破するため、朝ドラ改革を大河ドラマにも、という狙いもあったと思う。
 実際、「いだてん」から大河をはじめて見た人もいるようだが、「あまちゃん」で開拓したNHKを見るようになった層は、すでに三谷幸喜の「真田丸」(2016年)や、森下佳子の「おんな城主直虎」(2017年)なども見て、SNSコミュニケーションを盛んに行っていたため、「いだてん」は「あまちゃん」ほどの爆発力は発揮できなかったのだろう。
 そもそも朝ドラと視聴率のベースが違うというのもある。
 ただ、勢いよく現状を突破することはすべてではなく、守ることも大事。
 「いだてん」はいま、徐々に変わりかけている大河ドラマの視聴層を盤石にしているところなのだという気がする。

 これまでの大河ドラマにない、凝った構成、有名な偉人によるよく知られた歴史譚でない、言い換えれば「未知なる人物の新たな物語」、「朝ドラ」みたい、言い換えれば「ヒットの可能性もある」「大河ドラマの可能性を開く」という3点を確実に行うことで地盤を固める。
 あたかも「いだてん」で金栗四三や、嘉納治五郎(役所広司)が拓いた道を引き継いでバトンを持って走って昭和に向かっていく流れのようなものだ。
 ヒットメーカーで知られる大根仁や、塚本晋也の映画で助監督などをやっていた林啓史など外部演出家を初めて大河に起用するなどのトライも頼もしく感じられる。

 視聴率が下がっているのは、過渡期だから。
 視聴率の低さは、新たな時代の始まりの証しでもある。
 信じて待てば「待ってました!」というサプライズがきっともらえると私は信じている。





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2019年2月27日水曜日

17 km走:1時間59分27秒 キロ7分02秒  ベアフットでの17キロ初走り

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 気温も下がってきており、いよいよ走れる季節になってきた。
 今日はベアフット・シューズで17kmを走り切るのが目標である。
 曇り空、風はそよ風程度でまったくの好条件。
 1カ月ぶりで走り始めるが、どうも感触がよくない。
 カカトへの振動が大きい。
 体が慣れるまでゆっくり行くことになる。
 そしてそのままゆっくりと10kmまで走ってしまう。
 キロ7分だと、2分12秒の赤字である。
 残りの7キロで取り返せるだろうと思う。
 最悪、17キロ2時間でいければいいとも思う。
 結果は2時間は切れたが、キロでは7分02秒で、30秒ほどオーバーしてしまった。
 今日のメインはベアフットシューズで17kmを走り切ることなので、それは達成できた。
 いよいよ来週(来月)からGCマラソンを見据えてゆくことになる。





 過去のベアフットでの記録を合わせて載せておく。
 10キロまでではどうも今日が一番悪いようだ。

【 2月27日 17km  1時間59分27秒 キロ7分02秒 ベアフット・シューズ
5km    36:28      36:28
10km    35:44    1:12:12
15km    34:15    1:46:27
17km    13:00    1:59:27

【 1月30日 15km  1時間43分25秒 キロ6分54秒 ベアフット・シューズ
5km    35:05      35:05
10km    34:56    1:10:01
15km    33:24    1:43:25


【 1月24日 12km リタイヤ 1時間25分40秒 キロ7分08秒 ベアフット・シューズ
5km    35:41      35:41
10km    36:07    1:11:48
12km    13:52    1:25:40



● ここ3回計44kmを走ったあとの減り具合

 現在の懸案事項はこのベアフットシューズがどれほど持つのかということである。
  写真でみるように3回で計44kmを走ってこの減り具合である。
 すり減って穴でも開いたら中敷きを入れて少しでも長くもたせようかなとも思っている。
 新品を2足頼んでいるが、そのうち1足は6月におろして7月第一週に行われるGCマラソンの本番で履きたいと思っている。
 チェックしてみるとその間、21kmを6回駈けることになる。
 126kmである。
 130kmとして、果たして耐えられるのだろうか。
 無理なら5回にして105kmである。
 3月から5月の間は、今のベアフットと新品のベアフットになるが、ときどきキッドシューズで走ることにして持たせようと考えている。
 もし擦り切れた時の対応として、穴が大きくなるまで中敷き(インソール)でいくらかでももたせることも考えており、ダイソーなどで使えそうな中敷きをチェックしている。
 いずれにせよ、今履いているベアフットがいつ擦り切れるか、その時の距離数のテストが肝要になる。
 またそのあとインソールを入れてどこまで走れるものなのかも調べないといけない。
 
 ベアフットは間違いなく足、特にフクラハギに負担がかかる。
 カカトのクッションがないので振動がもろにズンズンと足の骨に伝わってくる。
 それがアキレス腱の付け根やフクラハギに作用を及ぼす。
 スネの筋肉である前脛骨筋、さらには腰や背中にも響いて負荷をかける。
 20kmを常時つつがなく走るのにはどのくらいの距離を消化すればいいのだろうか。
 特に本番レースで支障を出さないための走り込みはどのくらいか、それまでベアフットシューズがもってくれるかである。

【翌日】
 頼んでおいたシューズが2足届いた。
 これで用意は整ったということになる。


● 送られてきた二足のベアフット・シューズ






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2019年2月26日火曜日

崩壊し始めた山峡ダム?:秒読み段階へ突入?

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 山峡ダム(三峡ダム)に崩壊の予兆が現れたという。
 問題の最大の不幸は、このダムの崩壊を防ぐ方法はまったくないということだ。
 あまりにでかすぎるのである。
 世界で一番大きなダムであり、信用度の薄い中国政府の技術力で、かつスピード成果を競うかのように突貫で造り、同時に多くの汚職金を献上したというオカラ工事疑惑のシロモノである。
 もはや手も付けられないようで、壊れるのを待つのみのようである。
 また崩壊した時を想定しての災害対策など、まるで留意する様子も見られないという。
 つまり避難経路とか、救助の段取りとか、いった対策も何にもなされる気配がない。
 どうも中国政府はあきらめているようだ。
 事故が起こってから考えよう、事故の影響がどの程度になるのか考えたくもない、といったところのようである。
 劇的な災害がやってくるという可能性が非常に大きい、ということなのだろう。
 


Sanxia Dam(中国山峡ダム)in Collapse?
崩壊し始めた?中国の山峡ダムby Hiroshi Hayashi, Japan
2019/02/13 に公開 Hiroshi Hayashi

予備





【海外の反応】中国にある世界最大の三峡ダムがついに決壊寸前
水も流れず貯水もできず現状の解決策もない!!
もう打つ手なし決壊か
…専門家も「10年もたない」過去最悪の危機に問題を抱える!!
News Picks 236,600 回視聴
2019/02/16 に公開



三峡ダムってヤバいよね 中国ほーかいのもっとも可能性のあるシナリオ
https://www.youtube.com/watch?v=1FclIjf8dVg
峰峰夫 2019/02/28 に公開 841 回視聴 



【参考】

ニューズウイーク 2017年7月3日(月)06時52分 譚璐美(作家)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/---5.php

中国「三峡ダム」危機--最悪の場合、上海の都市機能が麻痺する


●三峡ダムの放水(2010年) REUTERS

<四川省で起きた大規模な山崩れは、本当に大雨だけが原因なのか。
世界最大の三峡ダムが一帯で大地震を頻発させているという指摘があり、さらには砂礫により、ダムそのものも機能不全に陥っている>

6月24日、中国・四川省で大規模な山崩れが発生した。
中国メディアによれば、住宅62戸が土砂に埋まり、120人以上が生き埋めになったという。
山崩れの現場は、四川大地震と同じ場所であり、ここ数日、大雨が降りつづいて地盤が緩んでいたことが原因だとされる。
だが原因はそれほど単純なものではないだろう。

2008年5月に発生した四川大地震はマグニチュード7.9を記録し、甚大な被害をもたらした。
震源地近くでは地表に7メートルの段差が現れ、破壊力は阪神・淡路大震災の約30倍であった。
専門家は、四川盆地の北西の端にかかる約300キロにわたる龍門山断層帯の一部がずれたために起きたと分析し、これによって地質変動が起こり、龍門山断層帯は新たな活動期に入ったと指摘している。
今後、さらに大規模な地震が発生する可能性が高いのである。
四川盆地はもともと標高5000メートル級の山々がつらなるチベット高原から急勾配で下った場所に位置する標高500メートル程度の盆地で、ユーラシア・プレートと揚子江プレートの境界線の上にあり、大小さまざまな断層帯が複雑に入り組む地震の多発地帯である。
それに加えて、最近の中国の研究では、地震発生の原因のひとつは「三峡ダム」の巨大な水圧ではないかとの指摘がある。
ダムの貯水池にためた水の重圧と、地面から地下に沁みこんだ水が断層に達することで、断層がずれやすくなったという分析である。

■建設中から数々の難題、天気や地震にまで悪影響

三峡ダムは、中国政府が「百年の大計」として鳴り物入りで建設した世界最大のダムである。
16年の歳月を費やして、四川省重慶市から湖北省宜昌市にいたる長江の中流域の中でも、とくに水流が激しい「三峡」と呼ばれる場所に建設された。
竣工は2009年だ。
ダムは70万キロワットの発電機32台を擁し、総発電量2250万キロワットを誇り、当初の計画では、湖北、河南、湖南、上海、広東など主要な大都市に電力が供給され、全中国の年間消費エネルギーの1割を供給でき、慢性的な電力不足の解消に役立つはずだった。
だが、建設中から数々の難題が生じた。
まず「汚職の温床」と化した。
総工費2000億元のうち34億元が汚職や賄賂に消えた。
国民の多大な犠牲も強いた。
はじめに地域住民約110万人が立ち退きを迫られ、強制的に荒地へ移住させられて貧困化し、10万人が流民になった。

李白、杜甫、白楽天などの詩に歌われた1000カ所以上もの文化財と美しい景観が水没し、魚類の生態系が破壊され、希少動物の河イルカ(ヨウコウイルカ)が絶滅したことは、中国内外で議論の的になった。

そればかりではない。四川大地震が発生した同じ2008年、竣工を目前に控えた三峡ダムで試験的に貯水が開始されると、下流域でがけ崩れと地滑りが頻発した。
この年の9月までに発生したがけ崩れと地滑りは、合計32カ所、総距離33キロに達し、崩れた土砂の量は約2億立方メートルにのぼった。
その後の調査で、地盤の変形などが合計5286カ所見つかり、大きなひずみが生じていることが判明した。
ダムの構造物や防水壁には約1万カ所の亀裂が見つかり、補修に奔走した。

そして2009年、三峡ダムが完成すると、今度は気候不順が起きた。
貯水池にためた膨大な量の水が蒸発して大気中にとどまり、濃霧、長雨、豪雨などが発生するようになったのだ。
気候不順は年々激しくなり、2013年までに、南雪災害、西南干ばつなどの災害が相次いだ。
2016年にも豪雨による洪水が発生。
エルニーニョ現象が原因だとされたが、死者、行方不明者は128人にのぼり、中下流域で130万人が避難を余儀なくされた。
大地震が次々に起きた。
2008年の四川大地震以外にも、汶川大地震、青海省大地震など、毎年のように大小の地震が発生した。
2014年には、三峡ダムから約30キロ上流にある湖北省でマグニチュード4.7の地震が連続して2度起きている。
総じてみれば、人工物である三峡ダムが天気や地震にまで影響を及ぼすとは、まるで信じられないような話ではある。

■水が流れず、貯水できず、解決策も見いだせない

だが、三峡ダムにとって、さらに深刻な事態がもちあがっている。
長江上流から流れて来る砂礫で、ダムがほぼ機能不全に陥り、危機的状況にあることだ。
怒涛のように押し寄せる大量の砂礫で貯水池が埋まり、アオコが発生してヘドロ状態になっている。
ヘドロは雑草や発泡スチロールなどのゴミと一体になり、ダムの水門を詰まらせた。
ゴミの堆積物は5万平方メートル、高さ60センチに達し、水面にたまったゴミの上を歩ける場所があるほどだという。
地元では環境団体などが毎日3000トンのゴミを掻き出しているが、お手上げ状態だとされる。

重慶市でも、押し寄せる砂礫で長江の水深が浅くなった。
水底から取り除いた砂礫は50メートルも積みあがった。
重慶大橋付近の川幅はもともと420メートルあったが、橋脚が砂礫に埋もれて砂州となり、今では川幅が約半分の240メートルに狭まっている。
大型船舶の航行にも著しい支障をきたしている。

水が流れず、貯水できないダムなど何の役にも立たないが、三峡ダムが周囲に及ぼす悪影響は、この先、増えることはあっても減ることはないだろう。
中国政府も技術者も根本的な解決策を見いだせず、すでに匙を投げてしまっているからだ。
だれも責任を取ろうとする者がいないまま、今も三峡ダムは放置されている。

■著名な水利学者の遺言「ダムは10年もたない」

もし三峡ダムが地震の原因のひとつであるなら、今後さらに四川大地震のような大規模な地震が起きる可能性があるだろう。
そして大地震が発生したとき、原因を作った「瀕死」の三峡ダムは、果たして持ち堪えられるだろうか?
万一、ダムが決壊するようなことがあれば、長江流域の広大な土地が洪水に見舞われ、穀倉地帯は壊滅して、数千万人の犠牲者が出るだろう。
長江の河口部にある上海では都市機能が完全に麻痺し、市民の飲み水すら枯渇してしまう。
そんな事態は想像するだけでも恐ろしい。
三峡ダムが建設された当初、中国政府は「千年はもつ」と豪語したが、数々の難題が発覚して、わずか数年で「百年もつ」とトーンダウンした。
今日、巷では「10年もつのか」と危ぶむ声がある。

「10年」と区切るのは、かつて三峡ダムの建設に反対した著名な水利学者、清華大学の故・黄万里教授の言葉に由来している。
戦前、アメリカのイリノイ大学で博士号を取得した黄教授は、建国間もない中国で黄河ダム建設の計画が進められたときに強く反対し、毛沢東から「右派」の烙印を押されて22年間の強制労働に追われた。
1980年代に名誉回復した後、長江の三峡ダム建設が国家の議題にのぼると、中国政府に6度も上申書を提出して反対したが、鄧小平と李鵬首相(当時)に無視された。黄教授が反対した理由は、21世紀の今日、私たちが直面している危機的状況を言い当てたからにほかならない。
そして「もしダムを強硬に建設したら、10年もたないだろう」と警告した。
2001年8月、黄教授は病床で家族に向かって三峡ダムを見守りつづけるようにと告げ、「どうにも立ち行かなくなったら、破壊するより方法はない」と遺言を残した。
享年90。中国の「水利事業の良心」と称えられる伝説的な人物である。

もし「10年もたない」とすれば、期限は2019年だ。
あと2年で三峡ダムは決壊するかもしれないのだ。
タイムリミットは刻一刻と近づきつつある。
唯一の解決策は、黄教授の遺言通り、人間の手で破壊することだけなのだろうか。

[執筆者]
譚璐美(タン・ロミ)
作家。東京生まれ、慶應義塾大学卒業、ニューヨーク在住。日中近代史を主なテーマに、国際政治、経済、文化など幅広く執筆。著書に『中国共産党を作った13人』、『日中百年の群像 革命いまだ成らず』(ともに新潮社)、『中国共産党 葬られた歴史』(文春新書)、『江青に妬まれた女――ファーストレディ王光美の人生』(NHK出版)、『ザッツ・ア・グッド・クエッション!――日米中、笑う経済最前線』(日本経済新聞社)、その他多数。新著は『帝都東京を中国革命で歩く』(白水社)。


サーチナニュース 2019-07-09 05:12
http://news.searchina.net/id/1680472?page=1

三峡ダムが歪んでいる! 
亀裂も大量に! 
不安視する中国国民に「安全だ。心配するな」=中国

 中国には世界最大級のダムである「三峡ダム」がある。
 長江中流に位置する三峡ダムは2009年に完成した多目的ダムで、「1万年に1度の大洪水でも防げる」とまで言われていたものの、亀裂が大量に見つかるなど問題が山積している。
 中国メディアの今日頭条は7日、完成してから10年になるこの三峡ダムを不安視する国民に対して、「安全なので心配するな」と呼びかける記事を掲載した。

 記事は、近頃SNS上で「三峡ダムはすでに歪んでいる」という話が広まり、決壊のうわさまで出ているが、三峡グループが「すべて正常で安心して良い」とする声明を発表したと紹介。
 この三峡グループは、計測専門の部門が定期的に細かな管理を行っているため心配するには及ばないと主張した。
 地質環境の計測は14項目、計測点は1万2000余りであるとその専門性を強調した。

 では、ダムが変形しているという話は本当なのだろうか。
 記事は、水位は温度などによっても変わり、ダムの中央と縁とでも異なるが、どの数値も「正常の範囲内」であると紹介。
 2018年2月に撮影されたとする写真が変形の証拠だとされているが、2018年9月に撮影した別の写真は正常であったと指摘している。

 では、この説明に中国の人びとは納得しているのだろうか。
 記事に対してほんの数時間で5000を超えるコメントが寄せられ、中国国民の強い関心が見て取れる。
 反応は大きく2つに分かれ、「大丈夫というのなら大丈夫だろう」と楽観的な意見も少なくなかったが、信用できないという人も多かった。
 その理由は、主に「ほんの数ミリの違いで正常の範囲だというのなら、なぜ目視確認できるほど歪んでいるのか」というもっともなものだ。
 ほかにも、「チェルノブイリでも似たようなことを言っていた」と不安をあらわにする人もいた。

 このダムに関しては、全国の電力の1割を賄っているが、140万人ともいわれる移住者、水質汚染、生態系の破壊、さらにはダム周辺での地震の急増などが指摘されてきたのも事実だ。
 中国では、不安をあおるような情報の拡散を防ぎたいようだが、素直に安心はできないのが多くの国民の本音のようである。


新唐人NTDTV 2019/07/14
https://www.youtube.com/watch?v=-7Mk4rMuQpI

三峡ダムが変形?
憂慮の声も当局は「安全だ」
【禁聞】|三峽大壩|Sanxia Dam



【新唐人NTDTV=米NYに本部を置く中国語衛星放送。中国&国際ニュースを独自の視点でお届けします https://www.ntdtv.jp/ 】
三峽大壩變形? 隱患令人擔憂

 あるツイッターユーザーが最近、中国の三峡ダムが歪んでいるとして投稿した写真が物議をかもしています。
 ダムの決壊を懸念する声に対し中国当局はこれを否定していますが、民衆の疑念は晴れていません。
 ドイツ在住の水利専門家で、三峡ダムに詳しい王維洛(おう・いらく)博士は、三峡ダムは動くように設計されており、三峡ダムの脆弱性は、その設計によって裏付けられていると指摘しています。

 7月1日、アカウント名「冷山」さんがツイッターに
 「三峡ダムが変形している。
 ひとたび決壊したら、中国の半分の人民が塗炭の苦しみにおちいる!
 共産党とそのファミリーもおしまいだ!」
と投稿しました。
  この人物はさらに、現在と過去の三峡ダムの比較写真も貼り付けました。
 左側の写真は三峡ダムがまっすぐな様子を撮影したものですが、右側の写真の三峡ダムは明らかに変形しています。
  この写真がインターネットに投稿されると、ネットユーザーは次々に不安を表明しました。
 あるユーザーは
 「中国共産党の工事建設を信用してはならない。
 手抜き工事に材料のごまかし、リベートといった事例があふれている。
 三峡ダムの耐久性を保証できる人は誰もいない。
 問題が発生するのは時間の問題だ」
と憂慮しています。
  その後、人民日報や中央電視台などの官製メディアは次々と、三峡ダムのゆがみはグーグルマップの衛星画像アルゴリズムの誤差によって生じたもので、ダム自体の問題ではないとネット上のうわさを否定しました。
  これに対し、ツイッターユーザーの冷山さんは再度
 「うわさを否定したことは何を意味するか分かるよね!宜昌(ぎしょう)、
 武漢から南京、上海の同胞たちよ、できるだけ上流に移動しろ」
とツイートしています。

■ドイツ在住水利専門家 王維洛博士
 「三峡ダムには、誰も知らない全体構造上の秘密がある。
 三峡ダムは動いている。
 このダムは重力式コンクリートダムで、巨大なコンクリートブロックで構成され、岩石の上に据えられている。
 住宅のように地面に穴をあけ、鉄鋼の柱を打ち込んだものではない。
 この工法で設計された場合は倒れることはないが、もし側面から捻じ曲げられた場合、2つのダムのブロックが接している部分で継ぎ目の部分が押されて隙間ができる。
 そうなったらこのダムは終わりだ」
  王維洛氏は、
 「設計当初、ダムが動くことは考慮されており、一年で1ミリ未満だが、前に移動すると考えられていた。
 以前はこのデータが公表されていたが、現在は発表されなくなった」
と指摘しています。
  王博士はさらに
 「当初このダムは非常に頑丈に作られていると言われていた。
 だがこれはダムに水が入っていない状態のことだ。
 三峡ダムの水が上流から下流へと流れる際の衝撃力は大きい」
とも述べています。
 「ダムにおいて最も危険なものは中の水だ。
 特に水位が高い時が非常に危険だ。
 なぜなら水は高所から落下する時の衝撃力が大きいからだ。
 安全性を考慮する際、もし米国や台湾から爆撃をしかけても、爆破は難しいだろうと言われていた。
 だがその時、三峡ダムがどのような状態にある場合かは言わなかった。
 三峡ダムに水はほとんど入っていなかったため、壊滅的な結果は起きないと言われていた。
 だが、何をもって壊滅的な結果とするのかについては説明されなかった」
  王博士は、三峡ダムの表面は一見すると頑丈そうだが、内部構造はチーズのように中が空洞になっていると説明しています。
 三峡ダムの中間の放水用ダムブロックには合計67の孔が横にあけられているうえ、
 内側にはさらに点検用配管、排水管があり、加えて3つの溝が設けられています。
 この3つの溝と多孔構造によって、三峡ダムは鉄壁のダムではないことが決定づけられていると説明しています。
  また王博士は
 「三峡ダムにはさらに、2つの五級水門と船舶昇降機という船舶運航施設が設置されている。
 これが世界の多くの著名なダムと異なる点で、他のダムにはこのような船舶運航施設はない。
 三峡ダムの2つの水門にはそれぞれ深さ45.2m、幅34mの深い横切りダムがあり、水門の両端にはそれぞれ鉄製の門がある。
 1つの門が開いているとき、もう一つは閉じている。
 するとこの閉じている門は三峡ダム221億立方メートルの水に耐えなければならず、いったん水門に問題が生じたら、ダムの水が一気に流れる。
 これがダムの不安材料だ」
と憂慮しています。
  王博士は
 「三峡ダムプロジェクトは2003年に試験運用が始まってから16年の間、いまだ検証作業が行われておらず、このダムの品質を担保しようという人は誰もいない。
 現在、みながネット上でこの問題を議論することには大きな意義がある。
 中国当局は国民に何らかの説明をしなければならない」
と述べています。



Record china配信日時:2019年9月19日(木) 23時20分
https://www.recordchina.co.jp/b745727-s0-c30-d0146.html

三峡ダムの未確認生物騒動が警告する「真の怪物」とは?―中国



 2019年9月18日、中国メディアの網易新聞は、中国ネットで話題になった「三峡ダムの未確認生物」の正体が、廃棄されたゴム製の遮光シートだったことを受けて、
 「長江には『未確認生物』よりも恐ろしい『ごみによる環境汚染』という真の怪物がまだ存在している」と指摘する記事を掲載した。

 9月12日、黒く細長い物体が体をくねらせるようにして長江を漂っている動画が中国ネットにアップされ、「未確認生物ではないか?」と話題になった。
 17日午前、安徽省池州市長江自動車渡船管理所の周所長により、「三峡ダムの未確認生物」と呼ばれていたこの物体は、ある造船所が廃棄した長さ約20メートルのゴム製の遮光シートと判明した。

 記事は、「未確認生物の謎は解けたが、漂流ごみによる水質汚染という現実が民衆の心を暗く覆っている」と指摘。
 「ゴムやプラスチックなどの合成樹脂からできたごみが川から海洋に流れ込み、太陽光や紫外線、波の力などで削られ、大量のマイクロプラスチックとなって海洋生態系を脅かすようになって久しい」とした。

 その上で、「マイクロプラスチックは自然界で分解されず、有毒な残骸となって、最終的にわれわれ人間に供給される食物や水に入り込む。
 今年6月、カナダの研究チームの発表によると、人が飲食や呼吸を通じて体内に取り込むマイクロプラスチックの量は、最大で年間12万1000個に上るという。
 マイクロプラスチックが人体に及ぼす影響はまだ理解が十分に進んでいないと同チームは指摘するが、マイクロプラスチックに吸着した環境ホルモンなどの有害物質により、がん細胞の増加や乳幼児の発育異常、免疫機能低下などの研究結果も出ているそうだ」と指摘した。

 また、「2017年6月にドイツのヘルムホルツ環境研究センター(UFZ)が発表した研究結果によると、海洋に流出しているプラスチック廃棄物の約90%は、わずか10の河川から流れこんでいるという。
 それぞれ、
 中国の長江、黄河、海河、珠江、
 中国とロシアの国境付近を流れるアムール川、
 東南アジアのメコン川、
 インドのインダス川とガンジス川、
 北東アフリカのナイル川、
 西アフリカのニジェール川
で、いずれの流域も人口が密集しながらも、廃棄物処理が遅れている地域だ。
 インドのガンジス河からは54.4万トン、中国の長江からは33万トンのプラスチックが毎年海に流れ込んでいるそうだ」とした。

 記事は、「今回の未確認生物の出現は、長江の環境汚染がいまだ無視できない問題であると気付かせる事件となった」とし、
 「長江だけでなく、中国各地の川や湖、近海にもプラスチックごみや汚染物質という真の怪物が存在している。
 環境汚染の軽減のためには、プラスチックの使用量を減らし、分別回収やリサイクルなど、主要な河川の流域での廃棄物マネジメントの改善を図るとともに、一般市民向けの啓発活動を積極的に行うことが必要だろう」
と論じた。




 


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2019年2月22日金曜日

はやぶさ2、リュウグウ着陸成功か? 3億キロ先の小惑星に着陸するなんて!

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2/22(金) 8:06配信 毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190222-00000012-mai-sctch

はやぶさ2、リュウグウ着陸成功か データ確認で管制室に歓声

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、小惑星探査機「はやぶさ2」が22日、地球と火星の間にある小惑星「リュウグウ」への着陸に成功したとみられることが分かった。
 同日午前8時前、相模原市中央区のJAXA宇宙科学研究所の管制室に集まったメンバーに拍手と笑顔が広がった。

 小惑星に着陸、上昇した探査機は、2005年に小惑星イトカワへ着陸した先代「はやぶさ」に次ぐ2機目。
 今回は、リュウグウ表面の直径6メートルの円内という非常に狭い場所への着陸を目指し、極めて高度な運用が求められていた。

 はやぶさ2は21日午後1時15分ごろ、リュウグウの高度20キロから降下を開始した。
 高度5キロで減速し、ゆっくりとリュウグウへ近付いた。
 高度45メートルで昨年10月に投下した目印のボール(ターゲットマーカー)をとらえ、ターゲットマーカーに向かって高度8.5メートルまで降下した。
 直径6メートルの円の中心はターゲットマーカーから約4メートル離れているが、円内へピンポイントで探査機を導くため、そこからはターゲットマーカーを横目にとらえながら降下する運用をした。

 JAXAによると、午前7時48分ごろ、まず探査機からの電波の変化で、降下していたはやぶさ2が上昇に転じたことが確認された。
 上昇のスピードは計画通りで、降下中止による上昇ではないとみられる。
 さらに午前8時5分ごろ、探査機からの詳細なデータが届き始めた。
 その結果、午前8時9分ごろ、リュウグウ表面の物質を採取するための弾丸発射の指令が計画通りに出されたことも確認されたという。

 この降下方法は「ピンポイントタッチダウン」と呼ばれ、極めて高度な探査機の誘導法だ。
 同じく小惑星探査に取り組んでいる米航空宇宙局(NASA)からも「後で直径6メートルに降りる方法を教えてほしい」と依頼されているという。

 探査機がリュウグウへ着陸したかどうかは、探査機から届く電波とデータから判断する。
 電波の変化からは探査機が降下から上昇に転じたかどうか、データからは事前に探査機に送った指令通りに動いたかどうかが分かるという。
 JAXAはこれらから
 「はやぶさ2がリュウグウに着陸し、上昇しており、着陸運用は成功したようだ」
と判断したとみられる。




● 朝日新聞デジタル


●ANNニュース


●ANNニュース


JB Press 2019.2.22(金)  林 公代
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55569?page=4

はやぶさ2のタッチダウン、成功のための4のポイント
3億km先の半径3mに挑戦、牙をむく小惑星リュウグウの懐へ


サーチナニュース 2019-04-11 13:12
http://news.searchina.net/id/1677748?page=1

小惑星探査機「はやぶさ2」を見れば分かる「日本の宇宙開発能力の高さ」=中国メディア

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5日、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星Ryugu(リュウグウ)に向けて衝突装置を分離、射出し、命中させることに成功したと発表した。
 JAXAによれば、リュウグウは地球から約2億8000万キロメートルも離れているが、これほど遠い場所で遠隔でミッションを遂行する難易度の高さは容易に想像できるものではない。
 中国メディアの今日頭条はこのほど、「日本は米国ですら成功させていない難易度の高いプロジェクトを成功させた」と指摘し、はやぶさ2の運用から日本の宇宙開発能力の高さが見て取れると主張する記事を掲載した。
 記事は、はやぶさ2がリュウグウに人工的にクレーターを作るために衝突装置を射出した際、破片などで機体が壊れないよう、はやぶさ2は安全な場所に退避したと紹介。
 そのうえで射出も成功し、人工クレーターを生成するための実験を成功させたと指摘し、重要な任務の1つを成功させたことを意味すると強調した。
 さらに、はやぶさ2にはドイツとフランスが共同で開発した小型着陸機MASCOT(マスコット)が搭載されていて、すでにリュウグウへの着陸に成功していると紹介、日本はドイツとフランスの科学者を大いに喜ばせたと指摘した。

 続けて、驚くべきは、はやぶさ2のミッションはすべて地球から約3億キロメートルも離れた宇宙空間で行われたことだと指摘したほか、はやぶさ2は今後、リュウグウの着陸と内部のサンプル採取を行う見通しだと紹介。
 米国は2005年に探査機ディープ・インパクトによる彗星への衝突実験を行ったが、彗星からのサンプルリターンには成功しなかったと伝え、はやぶさ2は米国ですら成功させていないプロジェクトを成功させていると指摘、これらの偉業は日本の宇宙開発能力の高さを示すものだと指摘した。


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Record china配信日時:2019年7月12日(金) 6時50分
https://www.recordchina.co.jp/b728838-s0-c30-d0148.html

小惑星探査機「はやぶさ2」の2度目の着陸に中国ネットも歓喜
=「すごい快挙だ!」「日本は常に一歩先を」


11日、日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへの2回目の着陸に成功したというニュースが中国でも報じられると、中国のネットユーザーからも称賛の声が寄せられた。写真ははやぶさ2の模型。

  11日、日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへの2回目の着陸に成功したというニュースが中国でも報じられると、中国のネットユーザーからも称賛の声が寄せられた。

 同機は世界で初めて小惑星の物質を持ち帰ることに成功した探査機「はやぶさ」の後継機として宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発したもの。
 目的地である小惑星リュウグウは「始原的(太陽系初期の情報を多く保っている)」とされており、サンプルの回収によって太陽系の成り立ちや生命誕生の謎を探る手がかりになることが期待されている。

 2014年に打ち上げられた同機は、今年2月に小惑星リュウグウへの初着陸に成功し、表面の岩石を採集した。
 続いて4月には小惑星の表面に弾丸を打ち込み、直径10メートルほどの人工クレーターを作成すると同時に地下物質を噴出させた。
 そして今月11日の午前10時頃に、作成したクレーターから約20メートル離れた地点に着陸し、再び弾丸を発射して地下物質を採集した。
 仮に今回の採取が成功していれば、地下物質を採集した世界初の快挙となる。
 同機は今年末に小惑星リュウグウの軌道から離れて来年の終わり頃に地球にサンプルを持ち帰る見込みで、その後は再び宇宙に向かう予定だという。

 同日、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)では多くのアカウントがこのニュースを伝えた。
 中には今回の着陸のCGイメージ映像や、着陸成功の喜びに湧くJAXA管制室の様子を捉えた写真や動画をシェアする人もいた。

 中国のネットユーザーからは、
 「すごい快挙だ!おめでとう!」
 「これは人類にとっての大きな一歩だ」
 「03年から10年までの初号機の旅は、宇宙研究史の伝説になった。今回の『はやぶさ2』は一体どんな発見をもたらしてくれるだろう」
 「『はやぶさ2』の無事帰還を祈る!」
などと、プロジェクトの功績を称え成功を祈る声が寄せられた。
 また、
 「日本は常に一歩先を行っている」
 「中国も負けずにがんばらなくては」
 「科学に国境はない」
などといったコメントも見られた。

 このほか、
 「管制室の映像を見たけれど、若者がすごく多いことに驚いた。日本は実力があるってことの証拠だ」
 「はやぶさ2号はサンプルリターンのための往復飛行ができるだけじゃなく、帰還後に再び宇宙へ戻り作業を続ける。
 このエネルギー技術はすごく先進的だ」
などと指摘するユーザーもいた。


サーチナニュース 2019-07-27 09:12
http://news.searchina.net/id/1681081

3億キロ以上も離れた小惑星に着陸するなんて! 
日本の宇宙開発技術はすごい=中国メディア

 2019年2月、地球から3億キロ以上も離れた小惑星「りゅうぐう」に探査機「はやぶさ2」が着陸に成功したのに続き、7月11日には2度目の着陸と地下物質の採取に成功した。
 「100点満点で1000点の大成功」と自賛するほどで、中国でもこの功績は称賛されている。
 中国メディアの今日頭条は24日、このはやぶさに関する記事を掲載した。

 記事はまず、日本の宇宙開発技術について、国際的に見てもかなりの先進的な水準であり、「米国やロシアでさえも日本以上とは言えないほどだ」と絶賛。
 今回のはやぶさの着陸成功も、日本の持つ非常に高い技術を示しているという。
 はやぶさが地上から3億キロも離れたところにある直径わずか約900メートルのりゅうぐうに接近するのに、探査機の動きをすべて地上のコントロールセンターから指示するのは難しく、動作の多くがロボット自身の判断に委ねられた、と技術の高さを説明している。
 記事は今回の成功を、「人類の発展に寄与するかもしれない」と高く評価。
 地球の資源に限りがあることを考えると、地球以外の星から資源を調達できる可能性は人類の希望だとしている。
 また、「能力をひけらかさない」日本の態度にも好感を示した。

 しかし同時に、日本には「別の目的があるかもしれない」と警戒感を示している。
 宇宙開発技術は軍事にも応用できる以上、日本に対して注意を怠ることはできないと論じた。
 中国人ネットユーザーの間でも、日本の技術の高さを疑う人はいないようで、記事に対して
 「もし米国が押さえつけなければ、日本は間違いなく世界一」、
 「科学技術の高さには震えがくるほど」
などのコメントが寄せられ、日本を絶賛している。
 しかし、同時に軍事面への応用を警戒する人も少なくなかった。
 中国では、日本の技術に驚き称賛する気持ちと、警戒して恐れる気持ちとが混在しているようだが、今回のはやぶさによるミッション成功は、「太陽系の歴史のかけらを手に入れた」ともいえる人類にとって大きな成果だ。
 採取したサンプルを無事に持ち帰ることをぜひとも楽しみにしたいものだ。


JB Press 2019.8.2(金) 林 公代
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57199

小惑星2回着陸の離れ業、はやぶさ2大成功の要因は?
2回のタッチダウンで日本が拓いた世界標準と未来


●はやぶさ2の第2回タッチダウン成功を受け、安堵の表情を見せるプロジェクト関係者たち。

 2019年7月11日、小惑星探査機はやぶさ2は、人類の宇宙探査に新たな金字塔を打ち立てた。
 約3億km彼方の小惑星リュウグウで、2回目のタッチダウン(着陸)に成功したのだ。
 着陸直後に弾丸を発射。
 試料を採ったことはほぼ確実であり、その試料にはリュウグウの地下物質が含まれているとみられる。
 小惑星の地下物質採取は史上初である。快挙だ!


https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57205
●【動画:画像をクリックして再生】第2回タッチダウン前後に撮影された、小型モニタカメラ(CAM-H)による画像(10倍速の動画)。タッチダウン直後、大量の砂が舞い上がる様子が分かる。(クレジット:JAXA)

 詳細な解析結果によると、はやぶさ2の着陸場所は目標から60cmしか離れていなかった(1回目は誤差1m)。
 3億km先の的に対して、わずか60cmの誤差。
 しかも2回目の着陸時は、探査機の「目」の役割を果たすレンズなどが曇っていた。
 つまりハンディがあったのに。
 いったいどうやって、こんな離れ業を3億km彼方にいる小さな探査機にさせることができるのか。


●第2回タッチダウンの精度。C01-Cbはタッチダウン目標領域を、TMはターゲットマーカーの位置を示す。(画像:JAXA、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大、産総研)

 2019年2月の第1回着陸成功会見で、津田雄一プロジェクトマネジャーが語った言葉を思い出す。
 探査機を持つことは「非常に遠い目と長い手を持ったのと同じ。その手を伸ばして物質を採り、地球に持ち帰る」と。
 そこで第2回の着陸成功後に尋ねてみた。
 「今回も、自分の手を伸ばしているような感覚だったのですか?
 まるで自分の分身のように?」と。
 津田プロマネは笑みを浮かべ、こう話してくれた。
 「まさにその通り。
 小惑星に人間はまだ行くことはできません。
 しかし分身なら持って行ける。
 せっかく持って行くなら、とことん使いこなしたい。
 どれだけ使いこなせるかは、探査機の設計者と運用者らのチームワークにかかっています」
 とは言え、約3億km離れたはやぶさ2に、「動け」と指令を送ってから実際に動くには、片道13分かかる。
 分身のようにといっても、難しいのでは?
 「それも含めて使いこなす。
 人間だって脳で考えてから手を動かすには、わずかに時間がかかりますよね。
 それがちょっと長くなっただけ。
 準備をすれば、たとえ通信時間が片道1時間になっても使いこなせると思う」(津田プロマネ)
 なるほど分身のように、つまり自分の手足のように探査機を使いこなす感覚だからこそ、これほど精密な動きを実現できるのだと納得。

■なぜ2回目の着陸に挑んだのか?

 改めて、2回着陸の意義と、どうやって分身のように探査機を使いこなすに至ったのか、掘り下げていこう。
 はやぶさ2は第1回着陸で、小惑星リュウグウ表面から大量の試料を採取したと見られる。
 その後、今年4月には銅の塊をリュウグウに衝突させ、直径10mを超える人工クレーター生成に成功。
 第2回の着陸場所は人工クレーターから北に約20m離れた場所で、クレーター生成時に飛び出した、
 リュウグウ地下物質が表面を覆っていると推定される。

 そもそもなぜ、着陸を2回行うことがそれほど重要なのか?
 はやぶさ2プロジェクトサイエンティストである渡邊誠一郎名古屋大学教授は、
 「リュウグウは小惑星の種類の中でC型(炭素系の物質を主成分とする小惑星)に属します。
 C型小惑星の試料を持ち帰るのは世界初。
 だから1回目の着陸で採った物質を持ち帰るだけでも大きな成果だが、地下物質も持ち帰るとなると、今後20年ぐらい他国にはできないことでしょう」
と、まずその意義を説く。
 それほど難しいことをやってのけたということだ。
 さらに、渡邊教授が一番大きな成果と指摘するのが、
 「表面物質と地下物質という2種類の試料を比較できる形で採取できたこと」。
 2つの試料を比べることで
 「(リュウグウの)垂直方向でどういう変化があるか議論できる。
 表面と地下で大きな違いがなければ、小惑星の表面はずいぶんかき混ぜられていることが分かる。
 一方、地下だけに新鮮なものがあったとすれば、有機物や水は小惑星の地下で保存されやすいと証明できる。
 どういう結果が出てもサイエンスとして非常に大きな成果」
だと。

 一天体上の異なる場所に狙いを定め、試料を採るマルチサンプリング、しかも月より遠い天体で地下物質を採取したのは史上初だという。
 地下物質は、太陽風や宇宙線などによる変性、つまり「宇宙風化」を受けておらず、約46億年前に太陽系が誕生した頃の状態をとどめていると考えられる。
 だから第2回着陸成功後の会見冒頭、津田プロマネは「私たちは太陽系の歴史を手に入れることができた」と表現した。
 有機物や水に関する発見が期待されるが、渡邉教授によれば、表面と地下物質がかき混ぜられている可能性があるという。
 興味深い。

●第2回タッチダウン時、高度8mからのパノラマ画像。画像右側に直径10mを超える人工クレーターが見える。画像左側中央やや下にはやぶさ2は着陸した。2つのカメラの画像を合成。(画像:JAXA、千葉工大、東京大、高知大、立教大、名古屋大、明治大、会津大、産総研)

 では、技術的にはどんな意味があるのか?
 藤本正樹JAXA宇宙科学研究所副所長は
 「1回の着陸成功なら、たまたまうまくいったでしょうともいえる。
 でも2回目の着陸の方が綺麗に、精度高くできた。
 鼻歌を歌うようにとまでは言いませんが(笑)、
 着陸技術を持っていることを世界に証明できたと思います」
と胸を張る。
 前回の記事で紹介したように、1回目で得た試料を失いかねない2回目の着陸は、NASAならやらないミッションだ。
 それを日本が成し遂げたことの意味は?
 「今まで日本は(予算も打ち上げロケットも)小さい割に頑張っているねという評価でした。
 この成功で、小惑星探査については日本が世界標準を決めさせてもらいますよという状況になったと思う」

 藤本副所長は、日本車を例にとって今回の着陸成功の意味を説明する。
 「日本は道が狭いから小さい車を作りました。
 その結果、燃費のいい車ができて、世界に小さい車が広がった。
 それと同じで、予算が限られる日本では難しいことに挑戦ないと成果が出ない。
 工夫の結果、低予算で面白いミッションが実現できることを示した。
 さらに得られたもの(=小惑星探査の手法)に価値があれば世界のスタンダードをとれる」

 第2回の着陸で得られた成果について、津田プロマネも「成熟した技術」を得た点を挙げた。
 「やりたいときにやりたいようにやれるのが成熟した技術。
 十分にコントロールされたリスクのもと、自分たちが望むように着陸し試料を採ることができ、技術的なステップが一段上がった。
 しかも技術的判断だけでなく組織的、科学的な判断が絡み合う中で、第2回着陸を決断できた。
 試料を採ることだけではなく、新しい場所で新しいチャレンジをする探査全般に対して重要な実績を残せたと思う」

■史上初の2回着陸成功を導いた要因は

 技術的な判断に加えて組織的・科学的判断が絡み合った今回の着陸。
 前回の記事では、「小惑星の試料」というお宝を抱えた状態で、第2回着陸を実施するか否かを巡り、はやぶさ2チームが葛藤し、数カ月にわたり検討と議論を重ねたことを書いた。

 第2回着陸成功後の会見で、津田プロマネに「一番苦しかった時期は?」と尋ねた。
 津田プロマネは「ずっと苦しかったので、ピークがどこかと言うのは難しい」と意外な言葉を口にした。
 いつも穏やかな笑みを浮かべ、どんな苦境に追い込まれても弱音を吐かないように見受けられるが・・・。
 「1回目の着陸前から2回目について悩んでいた。
 2018年6月にリュウグウに到着後、(岩だらけで)着陸がとんでもなく難しいと判明した。
 でも検討を重ね技術を磨き第1回の着陸が見えてきたとき、第2回着陸につながる技術を1回目に実施することにしました。
 2回目のために前倒しで実行しようと」
 第2回着陸につながる「技術」とは、ピンポイントタッチダウンだ。
 灯台のような役割を果たすターゲットマーカーを、あらかじめ着陸地点の近くにおろしておく。
 はやぶさ2はまず灯台を捉え、その灯台からさらに数m移動した目的地に着陸する。
 落下するターゲットマーカーを追尾した初代「はやぶさ」より、高度な技術が求められる。
 はやぶさ2当初の計画では3回目の着陸で実施予定だった精密な着陸方式に、初回から挑戦することにしたのだ。
 そのトライは見事に成功し、「2回目も行ける!」という自信を得た。
 先を見越して技術を習得していたのである。

 さらに第2回の着陸に向けて、津田プロマネは「第1回と同じか、それを超えるレベルで実施する自信がありますか」とチームのメンバー全員に問うたという。
 では津田プロマネ自身は、何が自信になり着陸を決めたのかと聞くと「シミュレーションとリュウグウの地形です」との答え。
 着陸時のシミュレーションについては、起こりうるあらゆるトラブルを想定し、10万通りものシミュレーションを走らせた。
 ところが1回も失敗がない。
 「それはおかしい。失敗しないはずがない」
というメンバーの声で、さらにあり得ない状況を作り上げ「これなら失敗する、ここが限界だ」と割り出した。
 「よくこんな想定を思いつくな」と津田プロマネが驚くほど意地悪な想定も含めたシミュレーション回数は、100万回を超えたという。
 「そこまでやったからこそ、どこまでが限界でどこまでなら安心かを事前に割り出すことができた」

 そしてもう1つ、着陸地点の地形。
 「これはリュウグウに感謝するしかない。
 3つぐらい気になる大きな岩があって、最初はサイエンスメンバーが『(岩の高さが)とても高く、着陸はダメかもしれない』と言ってきた。
 着陸したいなら低く言えばいいのに(笑)。
 疑い深い彼らが、最終的に(65cm以上あり得ませんと)岩の高さが着陸可能であると結論を出した。
 地形OK、シミュレーションOK。じゃあやりましょうと」

 数カ月の葛藤を経て挑んだ本番。
 最初の難関は、はやぶさ2が曇ったレンズでターゲットマーカーを探し出せるか。
 ふたを開けると、制限時間4分に対して1分以内で捕獲。
 「探査機が目を開けたらそこにいた」(佐伯孝尚プロジェクトエンジニア)。
 探査機を正確にターゲットマーカー上空に導く、航法誘導制御技術の賜物である。

 さらに探査機が、ターゲットマーカーを他のものと勘違いせず捉え続けられるかも懸念されていた。
 きらきら光る物質が画面内に入ると、ターゲットマーカーと間違える可能性があった。
 カメラ担当は、ターゲットマーカーとゴミをきちんと識別できるよう微調整を繰り返した。
 「タッチダウンは一つひとつが難しい技術のバトンタッチ。
 それぞれの担当が完璧にバトンを次の人に渡してくれた」(津田プロマネ)。

 結果的に、100点満点で1000点の着陸が実現できた。
 第2回の着陸地点は「うちでのこづち」と名付けられた。


●第2回タッチダウン成功を喜ぶ、はやぶさ2プロジェクト関係者の集合写真。(画像:ISAS/JAXA)

■宇宙探査は「一寸先は闇」

 第2回着陸では、第1回を上回る量の噴出物が出たようだ。
 「(探査機の試料を納める部屋の)ふたが閉まるかなと心配になるほど。
 どっさり入っているだろう」(佐伯プロジェクトエンジニア)。
 着陸時の映像から、1回目の着陸時に巻き上がった砂礫とは異なっている様子も見受けられ、均一に見えたリュウグウ表面が、実にバラエティに富んでいる可能性もある。
 科学者でなくても、2020年末のはやぶさ2の地球帰還が待ち遠しいところだ。

 2019年末にはやぶさ2はリュウグウを出発し、地球への帰還の途につく予定。
 現時点では何も問題はないというが、「不安材料はありますか?」とあえて聞くと「いっぱいありますよ」と津田プロマネ。
 「探査機の運用はいつも、『一寸先は闇』みたいなところがある。
 これから帰還のためにイオンエンジンを点火します。
 軌道制御もうまくいかないといけない。
 どちらもこの1年半ぐらいやっていないことで、一つひとつ淡々とやっていくしかない。
 否定する材料はひとつもない。自信はあります」

 はやぶさ2は太陽系の歴史のかけらを手に入れた。
 それは人類共有の財産だ。はやぶさ2チームが成し遂げた科学的・技術的成果は、未来へ繋げていかなければならない。
 JAXAは今後10年以内に、水星から木星まで日本の探査機が並ぶ「深宇宙探査船団」の完全配置を目標に掲げる。
 さらに遠くへ、未だ見ぬ地へ。
 その手を伸ばし、触れようとしている。


●深宇宙探査船団のひとつ、火星の衛星からのサンプルリターンを目指すMMX(火星衛星探査計画)イメージ図。(提供:JAXA)


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2019年2月21日木曜日

15 km走:1時間42分02秒 キロ6分48秒 & ハリケーンと台風の違い

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 強い朝陽が雲間から出始める

 カテゴリー2のトロピカルサイクロンが来ており週末はクイーンズランドの海岸は荒れ模様になるとの注意予報が出ている。
 今日は嵐の前の静けさといったところか。
 気温は高い。
 風はあるが、でも空気の温度が高いせいかあまり涼しさを感じない。
 曇天なのが救いである。
 5kmは順調に7分弱でいく。
 10kmまでの5kmはなんと6分半を切っている。
 このまま行けるかと思ったら、陽が出てきた。
  非常にきつい。
 一気に足が止まる。
 17kmは無理、15kmに変更する。
 10kmから15kmはほぼ7分ちょうどまで落ちる。
  この条件ならしかたあるまい・
 トータルではキロ6分48秒ということになる。



 先月末にベアフット・シューズで走った15kmの記録と合わせてスプリットを載せておく。

【 2月21日 15km  1時間42分02秒 キロ6分48秒 キッド・シューズ
5km    34:36      34:36
10km    32:17    1:06:53
15km    35:09    1:42:02

【 1月30日 15km  1時間43分25秒 キロ6分54秒 ベアフット・シューズ
5km    35:05      35:05
10km    34:56    1:10:01
15km    33:24    1:43:25



【トロピカルサイクロン「オーマ:OMA
 ブリスベンにサイクロンがくるのは30年ぶりだという。
 そういえばここに来て台風に会ったことはない。
 ゴールドコーストは台風のないところだと思っていたが、ひどくまれにはやってくるらさしい。
 異常気象ということなのだろう。


Hazard lab 2019年02月19日 10時09分
https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/8/28284.html

台風のたまご マーシャル諸島近海に発生!
豪州沖にはサイクロン「オーマ:OMA」も


●マーシャル諸島近海で熱帯低気圧が発生した(気象衛星ひまわり/気象庁)

 マーシャル諸島近海に“台風のたまご”である熱帯低気圧が発生した。
 発達を続けながら西へ進んでおり、台風2号になる可能性があるとして気象庁が動向を注目している。
 一方、豪州の東方沖では熱帯サイクロン「オーマ(OMA)」が発達中だ。

 気象庁によると19日午前9現在、マーシャル諸島で発達中の熱帯低気圧の中心気圧は1006ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は15メートル、最大瞬間風速は23メートルで、フィリピンに向かって時速20キロで進んでいる。


●あすには台風1号になるのか?(気象庁)

 熱帯低気圧が存在する海域の海面水温は24℃以上と暖かく、今後発達を続けて、あすまでに台風2号に成長する可能性がある。


■サイクロン「OMA」が豪州に接近中

一方、南太平洋のニューカレドニア周辺では、熱帯サイクロン・オーマが発達中だ。
 米軍の合同台風警報センター(JTWC)によると、今後は南西方向に進み、豪州北東部クイーンズランド州沿岸に接近し、急激に進路を東へ変えると予測される。



ウエザーニュース 2019/02/20 11:40
https://weathernews.jp/s/topics/201709/080145/

カテゴリーってなに?
ハリケーンと台風の強さを比較






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2019年2月20日水曜日

「住宅バブル」崩壊: オーストラリアそしてカナダ

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2019年2月15日(金)19時00分 ニューズウィーク日本版編集部
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/02/post-11705.php

世界で一番、住宅価格が高すぎて買えない都市はどこ?


<トップの香港では住宅価格の中間値が年間総所得の20倍以上もするという結果が>

住宅価格が高い都市といえばロンドンやサンフランシスコが有名だが、最近はオーストラリアやニュージーランドなど意外な国でも価格が高騰している。
米調査会社デモグラフィアが世界の主要都市を対象に毎年行っている国際住宅価格調査は、住宅価格の中間値を世帯の年間総所得の中間値で割って「購入しやすさ」を判定。
住宅価格が世帯所得の何倍に相当するかを数値化した。

1月発表の最新版で「最も住宅に手が届きにくい都市」に選ばれたのは香港だった。

Bobby Yip-REUTERS
<本誌2018年02月19日号掲載>



NICHIGO PRESS 3月号




ロイター 2019年2月22日 / 14:02 / 1時間前更新 Tom Westbrook
https://jp.reuters.com/article/antarctica-glaciers-idJPKCN1QB0EA

焦点:豪州で「住宅バブル」崩壊、好調経済に暗雲

[シドニー 22日 ロイター] - オーストラリアでシドニーなど都市部の不動産ブームが崩壊し、好調を続けてきた経済全体にもその影響が広がり始めた。
 不動産価格がピークを付けた2017年、シドニー郊外の住宅地エッピングには開発業者が押し寄せ、不動産を高値で買いあさった。
 それが今では住宅価格の下落に歯止めがかからず、エッピングはバブル崩壊の震源地とみられるようになった。
 不動産の買い手は支払い不能になり、一部のプロジェクトは借金を背負った状態。
 債権者が資金を回収するため、アパートがまとめて売りに出され、この地域の不動産価格をさらに押し下げている。
 不動産コンサルタントのデータによると、エッピングの不動産価格は17年8月のピークから2割以上下がった。

■<建設企業の破綻>

 建設業界では、昨年11月に破綻件数が約3年ぶりの高水準に達した。
 この結果、27年間一度もリセッション(景気後退)に陥らず拡大し続けてきたオーストラリア経済全体に余波が広がり始めている。
 銀行から広告企業、小売企業に至るまで、利益見通しの下方修正が相次ぎ、オーストラリア準備銀行(中央銀行)は利下げを視野に入れるようになった。
 住宅価格の下落は、市民が手ごろな価格で住宅を取得できるよう当局が導いた面もあり、完全に悪い話というわけではない。
 エッピングの場合、住宅価格は17年までの8年間で2倍に上昇していた。

 オーストラリア当局は外国人への融資を規制。
 また中国が資本流出を規制し、中国人投資家によるオーストラリア不動産需要が減ったことも価格下落につながった。
 国内銀行が当局の圧力で融資基準を引き締めたことにより、国内の住宅投資家も資金の借り入れが困難になった。
 この結果、住宅価格が下がって初めての住宅購入者にチャンスが生まれた。
 ただ、住宅価格が下落すると住宅所有者が節約を増やし、支出を控える傾向がある。

 バーティアム・アセット・マネジメントのジェーソン・テー最高投資責任者は
 「あらゆることに影響が及ぶ。企業利益が示している通り経済の勢いは衰えており、さらに悪化するかどうかが問題だ」
と述べた。



ロイター 2019年3月1日 / 11:08 / 38分前更新
https://jp.reuters.com/article/australia-housing-idJPKCN1QI389

豪住宅価格、2月は前月比‐0.7% 低下幅がやや縮小

[シドニー 1日 ロイター] -
不動産コンサルタント会社コアロジックによると、オーストラリアの住宅価格指数は2月に前月比0.7%低下と、前月の1%から低下幅が若干縮小した。
販売成立率の上昇が市況改善につながった。
前年同月からは6.3%低下した。

厳しい融資条件を背景に住宅価格の下落は長期化しており、同指数は過去16カ月中14カ月で低下し、それまで2年余りの上昇分を打ち消した。
2月は主要都市の住宅価格が前月比で0.9%低下と、前月の1.2%低下から改善。
ここ数週間で、これまで値下がりが大きかったシドニーとメルボルンなどを中心に、販売成立率が上昇している。
シドニーとメルボルンの価格は1%下落したが、1月からは下落幅が縮小した。
コアロジックの調査部門を率いるティム・ローレス氏は「下落率が若干改善したが、住宅市場の低迷はこれまでよりも広範になっており、底を打つ兆しはまだない」と指摘した。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は住宅価格の一段の下落は家計の貯蓄や支出を阻害する可能性があると懸念している。

豪国内の住宅在庫の総価値は6兆8000億豪ドル(4兆8300億米ドル)と、国内総生産(GDP)の4倍近くに上っている。



Record china配信日時:2019年3月13日(水) 7時30分
https://www.recordchina.co.jp/b694427-s0-c20-d0054.html

中国人バイヤーの撤退加速、
カナダの住宅価格が4年前の水準まで下落―中国メディア

2019年3月11日、中国メディアの新浪看点に、「中国人バイヤーの撤退が加速し、カナダの住宅価格が4年前の水準まで下落した」とする記事が掲載された。
記事はまず、
「2018年になるまで、カナダは世界で2番目に住みやすい国で、バンクーバーは中国人バイヤーが最も好んで住宅を購入する都市の一つだった。
ピーク時には中国系住民はバンクーバーの総人口の25%を占めていた。
だがそれも1年前の光景で、中国人バイヤーが押し上げたカナダの不動産市場は、中国人バイヤーの撤退とともに谷底まで下落している」
とした。
その上で、カナダメディアの10日付け報道を引用し、
「中国資本の流出により、今年2月までのメトロバンクーバーの住宅販売件数は前年同期比約33%減少し、1985年以降で最低水準となった。
85年当時のメトロバンクーバーの人口が現在の6割ほどだったことを考えると、同地域の不動産市場の疲弊ははるかに深刻だ」
「カナダ抵当住宅公社によると、大規模な新規住宅プロジェクトが中止されたことにより、2月のカナダの住宅建設件数は前年比13.6%減少した。
年間約17万3000戸ペースの落ち込みは、ここ3年余りのカナダの住宅建設件数で最も低い」
「業界関係者によると、2018年第4四半期のカナダの国内総生産(GDP)成長率は0.4%と減速したが、それは住宅投資の減少(過去1年間で7.5%下落)に一部起因している。
カナダの平均住宅価格は15年末の水準に戻り、長年にわたる不動産ブームに終わりを告げている」
などと伝えた。


ロイター 2019年3月25日 / Clara Ferreira-Marques
https://jp.reuters.com/article/australia-column-breakingviews-idJPKCN1R30WH

コラム:「幸福な国」豪経済は、重力に逆らえるか

[シンガポール 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
 過去30年近く重力に逆らって浮揚してきた豪州経済が、ついに物理法則に屈しつつあるように見える。
 昨年第4・四半期の国内総生産(GDP)は停滞。
 住宅価格は下落し、賃金も伸び悩んでいる。
 だが、豪経済の勢いを保つ手段はまだ残されている。

 豪経済は「幸福な国」の愛称が示す通りに、アジア通貨危機、世界的な金融危機、史上まれに見る鉱山ブームの終焉、また約10年で首相が6人も変わるという国内政局の混乱を見事に乗り切ってきた。
 移民の流入が助けとなったが、好調な中国経済からの波及効果や、その後の不動産市場・インフラ投資拡大のほうが、経済を大きく支える要因となった。

 現在、こうした要因の多くは、消滅しつつある。
 1人当たりのGDP──つまり、典型的な先進国のほぼ2倍の人口増加ペースの影響を除いたGDP──は、約10年ぶりに2四半期連続でマイナス成長に陥った。
 政府はこの算出方法を良しとしていないが、役員室や酒場でこぼされる不満の背景には、こうした現実がある。

 まず、宴会の格好の話題となっていた不動産市場の熱狂が収まりつつある。
 豪中銀によると、全国の住宅価格は、2017年終盤までの5年間で50%近く上昇したが、コアロジックによると、2018年の下落率は、2008年以降で最悪の5%近くに達した。
 シドニー、メルボルンなどに住宅を保有する世帯の純資産は、依然として高水準だが、こうした住宅価格の反転は、個人消費に心理的な悪影響を及ぼす可能性がある。
 クリスマス商戦後の値下げは、2月に入っても続いていた。

 不動産ブームの背景の1つにはアジア勢の購入があったが、それに加え、低金利と優遇税制でオーストラリア人も賃貸物件への投資を進めていた。
 今現在、需要は減退しており、銀行にも不良債権処理の圧力がかかり、融資の審査基準も厳格化されている。
 一方、長期にわたる建設ブームで、供給も需要に追いついた。
 そうなると、住宅価格の下落は、迫りくる不況の足音ではなく、健全な後退と言えるのかもしれない。
 2016年半ばの水準に下落しただけなのだ。

 賃金も、見た目ほど悪くない可能性がある。
 給与が伸び悩んでいるとはいえ、2月の失業率は約8年ぶりの低水準に改善。
 シドニーがあるニューサウスウェールズ州などではすでに過去最低を記録している。

 また、余剰生産力の隠れた源である不完全失業率も、安定しつつあり、雇用の拡大が続いている。
 複数の大型プロジェクトの影響もあり、鉱山会社などはすでに西部地域で人手不足を指摘。
 豪中銀は、全国の賃金が「緩やかに上昇する」と予想している。

 豪ドル高の一服が本物であれば、慎重な楽天主義も正当化される可能性がある。

 豪州の家計債務は、世界でも有数の高水準にあり、確かに懸念要因ではある。
 これは、住宅市場がGDP(1兆3000億ドル)の5倍以上に膨らんだことが背景だ。
 こうした借り入れは、銀行のバランスシートの過半を占めている。

 ただ、家計債務は、不況を増幅することはあっても、必ずしも不況のきっかけとなるわけではない。
 金利が低いことに加え、多くの場合、債務を抱えているのは相対的に若く裕福な世帯で、返済能力は相対的に高い。

 さらに重要なことに、金利オンリー型の高リスク融資の比率は、以前に比べれば大幅に低下している。
 豪中銀が昨年終盤に明らかにしたところでは、金利オンリー型融資の比率は全体の25%強と、ピーク時の約40%を下回っている。

 中国経済はどうか。
 豪州の輸出の約3分の1は中国向けだ。
 鉄鉱石価格は、ブラジルのダム決壊の影響で急伸しており、資源大手のリオ・ティントやBHPなどからの供給が予想外に拡大している。
 中国政府も景気刺激を続けていく意向を示唆しており、地政学的な緊張が再燃しなければ、鉱物・金属に対するおう盛な需要は続くはずだ。

 もっとも、こうした要素は、豪州が自らコントロールできるものではない。
 ただ、豪州はある程度まで自らの運命を決めることができる。
 まず、低金利とはいえ、金利は1.5%ある。
 必ずしも利下げで住宅購入を促せるわけではないが、日欧に比べれば金融政策の余地は大きい。
 これに加え、財政政策の発動も可能だ。
 政府は今年度の財政赤字予想を下方修正しており、金融危機後初となる黒字計上に向かっている。

 5月の選挙を控え、減税だけでなく、人口増大で急務となっている道路・公共交通機関への投資も可能だ。
 同国の人口は2031年までに3000万人を超えると見込まれている。

 独立政府機関である豪州インフラ委員会が作成した2019年のリストには、総額400億ドル以上の開発計画が記載されている。
 国内労働人口の半数以上は、就職後に大きな不況を一度も経験したことがない。
 このため、企業経営者やエコノミストから見ると、今回のような景気減速が集団心理にどのような影響を及ぼすのか、予測は難しい。
 ただ、少なくとも、選挙で選ばれた政府には、豪州経済の浮揚という離れ業を続けるだけの力がある程度まで残されているはずだ。

●背景となるニュース
・第4四半期の豪GDPは前期比0.2%増、予想下回る伸び [nL3N20T0DI]
・豪中銀、成長と雇用のバランスに配慮 住宅市場巡り議論=議事要旨[nL3N21608M]

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。



ロイター 2019年5月15日 / 09:57 / 2時間前更新 Wayne Cole
https://jp.reuters.com/article/trump-junior-testify-idJPKCN1SL01R

焦点:消えた豪輸出、実質成長率が実態より弱く見える訳

[シドニー 13日 ロイター] -
 オーストラリアの輸出額は資源価格の急騰によって膨らみ続けている。
 ただし統計上のからくりのため、最も注目される実質国内総生産(GDP)に大部分が反映されず、同国経済が実態より弱く見えてしまう状況にある。
 実際には輸出増で得られたお金はオーストラリア国内にきちんと出回り、企業利益を押し上げて配当支払いや株価上昇、税収増といった形で価値を創造している。
 ただGDP算出上は、これらは「インフレ」として実質ベースの数字から除外されるのだ。
 もちろんこうした処理は世界的に普及しており、通常の場合は何の問題もない。
 つまりもしGDPが10%増えても、物価が10%上がれば大半の国民は全く豊かにならない。

 しかしオーストラリアのケースを見ると、価格が上がった分の支払いは国民ではなく外国の買い手が負担し、国内の物価上昇率は2年ぶりの低い伸びにとどまっている。
 オーストラリア統計局のチーフエコノミスト、ブルース・ホックマン氏は
 「異例ではあるものの、オーストラリアは輸出するコモディティの範囲の広さは他に類がなく、そのほとんどの価格が上がっている」
と指摘した。
 例えば今年1─3月期の鉄鉱石価格だけでも、前期比で約13%、前年比で25%上昇。
 3月までの1年間では輸出品全体の価格は15%上がって、オーストラリアに過去最大の貿易黒字をもたらした。
 それでもなお、輸出額の増加分は実質GDPに含まれていない。
 昨年のオーストラリアの名目輸出額は過去最高の「4380億豪ドル」なのに、実質輸出額にすると「3970億豪ドル」にすぎなくなる。
 この差額の410億豪ドルは、名目GDPの2.1%にも相当する。
 昨年10─12月の名目輸出額は成長率を0.8%ポイント押し上げたのに、実質輸出額は0.1%ポイントの成長押し下げ要因となった。
 10─12月の成長率が予想外の低調さに終わったのは主にこうした仕組みが原因だった。

■<好循環>

 オーストラリアの1─3月輸出額は、鉄鉱石の高騰を背景に過去最高に達したため、名目と実質の金額差は大きくなる一方だ。
 もっとも実質GDPから消えたからといって、輸出額の増加が幻であるはずがない。
 昨年の税引き前利益が27%増え、株価が上がって増配が実施された鉱業セクターに聞いてみればそれはすぐ分かる。
 フォーテスキュー・メタルズ・グループ(FMG.AX)、BHP(BHP.AX)、リオ・ティント(RIO.AX)の株価は第1・四半期にそれぞれ約70%、12%、25%の上昇を記録した。
 オーストラリアの主要株価指数が年初来で新たに生み出した価値は2000億豪ドルに上り、各企業は2月から6月までに290億ドルを超える配当を支払うと見込まれる。
 手元資金が潤沢になったことで一部企業は何年も減らしてきた新規投資に乗り出そうとしている。
 準備銀行(中央銀行)はこうした動きを強調し、今月利下げを見送った。

 企業の増益は税収も押し上げていることから、18日の総選挙を前に与野党双方が減税を公約している。
 ウェストパックのシニアエコノミスト、アンドルー・ハンラン氏は「オーストラリアの輸出品に対して他の国々が多額の支払いをしている。政府は減税と支出拡大を通じて家計を支援する余地がある」と述べた。

■<名目GDPに軍配>

 名目ベースのGDPや所得統計にはこれらの差分が明示されているのだが、市場はずっと見過ごしてきた。
 10─12月の名目GDPの伸びが5.5%と、実質の2.3%をはるかに上回っても気づかないとは何とも残念ではないか。
 名目ベースでは昨年全体で国民1人当たり2320豪ドルの所得増につながった。
 これが単に物価上昇加速のせいだとすれば消し去ることができるが、昨年末時点のオーストラリアの物価上昇率は1.8%、1─3月では1.3%と2年ぶりの低さだ。
 過去の例からすると、名目GDPの伸びが先行する局面では時間差はあるものの実質GDPが追随する傾向があり、足元の景気の足踏みは一時的だとの希望が持てる。

 コモンウェルス・バンク・オブ・オーストラリアのチーフエコノミスト、マイケル・ブライス氏は
 「オーストラリアは名目と実質のGDPが大きくかい離する可能性がある数少ない先進国の1つで、その理由はとにもかくにもコモディティだ」
と語り、コモディティ輸出が実質GDPに含まれない国民所得の大幅な増加をもたらすと説明するとともに、現段階ではオーストラリア経済を読み解く上では「名目GDP」の方が適切との見方を示した。





 
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