2019年9月16日月曜日

「走る”綾瀬はるか”=前田穂南」がブッチギリで優勝、穂南時代の幕開け!

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● 前田穂南優勝

 女子は「走る綾瀬はるか」と言われる前田穂南が優勝した。
 なんと2位の中距離界の女王鈴木亜由子に4分近い差をつけてのブッチギリである。
 女子マラソン界は「穂南時代」がやってきた、という感じがする。
 三強の一角であった松田瑞生は4位に沈んだ。
 復活戦に臨むことになるか、それとも10.000mを狙うかになる。
 おそらく彼女は来年のオリンピックは「10,000m」出場に的を絞ってくるだろうと思われる。


MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)女子結果
1.前田穂南   2:25:15   東京五輪内定
2.鈴木亜由子2:29:02   東京五輪内定
3.小原怜      2:29:06
4.松田瑞生   2:29:51
5.野上恵子   2:31:14
6.一山麻緒   2:32:30
7.福士加代子2:33:29
8.安藤友香   2:36:29


MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)男子結果
1.中村匠吾   2:11:28   東京五輪内定
2.服部勇馬   2:11:36   東京五輪内定
3.大迫傑      2:11:41
4.大塚祥平   2:11:58
5.橋本崚      2:12:07
6.竹ノ内佳樹2:12:31
7.鈴木健吾   2:12:44
8.中本健太郎2:12:46

 
 波乱は男子。
 中村匠吾という下馬評にもなかったランナーが優勝。
 駒澤大学のエースランナーであったが「中村匠吾って誰?」というのが一般的であろう。
 今年のGCハーフマラソンの優勝者である服部勇馬が2位でオリンピック出場を内定した。
 大迫傑は3位であった。
 GCマラソン優勝の設楽悠太は遠く下位に沈んだ。
 設楽に残されているのは来年の東京マラソンで「2時間5分49秒以内を狙う」ことになる。
 おそらく彼は日本新記録を狙ってくるだろう。
 彼には10,000mを狙うスピードはない。
 マラソンで行くしかない。
 もし、設楽がそれにターゲットを絞ってくれば、大迫もうかうかしているわけにはいかなくなる。
 でも大迫はもうマラソンは走らないと思う。
 設楽が日本最高記録を出す確率はすこぶる低いし、もし出したとして大迫のマラソン出場が不可となっても、彼には10,000mでオリンピック参戦という選択肢が残っている。


サーチナニュース 2019-09-17 15:12
http://news.searchina.net/id/1682653?page=1

白熱した日本のMGC、
設楽悠太の「大勝負」にマラソンの深さを知った=中国メディア 

 東京五輪の男女マラソン日本代表を決定する一発勝負のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が15日に行われ、男女の上位2人が出場権を得た。
  中国メディア・東方網は16日、男子のレースで話題を集めた設楽悠太選手について「マラソン精神にチャレンジした」と評価する記事を掲載した。

 記事は、序盤から飛ばして大きなリードを奪うも後半失速して14位に終わった設楽選手について「自殺式とも言うべき戦法で、マラソン愛好者の間で最も多くの議論を呼び起こした」と紹介。
 一部では「見通しが甘い」、「準備不足」といった批判的な声があった一方で、多くの人が「マラソン精神にチャレンジする姿勢に感動を覚えた」と伝えた。
 そして、日本歴代2位のフルマラソン記録を持ち、レース前から大きな期待が寄せられていた設楽選手は、自身でも今回のレースの重要性を誰よりも理解していたとし、事前に
「前半から飛ばしてライバルをぶっちぎる」
と手の内を明かす戦術を取ったことからは
「設楽がこのレースをどう戦うかを熟慮し、十分に準備してきたことの説明になる」
と解説した。

 そのうえで、マラソンという競技は選手が持っている身体的能力やレースの経験だけではなく、相手をけん制し、本来の実力を出させないための戦術も不可欠なのだと説明。
 一方で、レースには様々な条件が複雑に絡み合った運も味方につける必要があることから、レースの結果だけを見てその戦術の良し悪しや成否を判断することはできないのだと論じている。

 「設楽が用意した戦術は決して意味のないものではなかったし、条件が少しでも変わっていればそのまま逃げ切る可能性もあった。
 結果はあくまで結果で、非常に素晴らしいチャレンジだった」
というのが、作者の見解のようだ。
 
 設楽選手の作戦は結果的には「惨敗」という形に終わったが、一方でアフリカ出身選手の天下で高速化するなか、日本勢が上位に食い込むには前半から飛ばす戦い方も必要であることを確かに提起した。
 まさに「チャレンジ」のレースを展開した設楽選手の気概に、中国のマラソンファンも感慨を覚えたようである。



サーチナニュース 2019-09-18 08:12
http://news.searchina.net/id/1682664?page=1

東京五輪マラソン代表選考会に感動! 
「日本人選手に武士道精神を見た」=中国

 東京五輪マラソン代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」が16日に行われ、2名の五輪代表が決まった。
  中国メディアの今日頭条は16日、このMGCから日本人マラソン選手の武士道精神を見たと感動を伝える記事を掲載した。

 今回のレースは、最後まで目が離せない激戦となった。
 優勝候補とみられていた「4強」の選手ではなく、5、6番手とみられていた中村匠吾選手が優勝を決めたからだ。
 記事の中国人筆者もこのレースに注目していたらしく、3つの「武士道精神」を見たと興奮を語っている。

★:その1つ目は、「勇猛さ」だ。
 日本歴代2位の記録を持つ設楽悠太選手は、「前半から突っ込んでいく」との強気な言葉通り序盤から果敢な攻めを見せてくれた。
 37キロ過ぎで2位集団にのみ込まれ、まさかの14位に終わったものの、筆者はよほど感動したらしく「有言実行の、男の中の男」と絶賛した。

★:2つ目は、「我慢強さ」だ。
 筆者は、「真のダークホース」となった中村選手について、恐らく多くの人と同じで「最初はあまり注目していなかった」という。
 しかし、最後のラストスパートをかけたところを見た時、自分の力を最後まで見せずに、最後に出してきた我慢強さを感じたと感動を伝えている。

★:3つ目は、「悔しさ」を感じたそうだ。
 設楽選手と大迫傑選手が内定基準の2位以内に届かなかったのはもちろん残念だが、それ以上にほかの選手らの悔しさを感じたという。
 この2名は実力があるので東京五輪代表の3枠目に入る可能性が十分にあるが、それ以外の選手は東京五輪の戸は閉ざされ、4年後のチャンスもあるかどうかは分からないため、悔しかっただろうとしている。

 筆者はほかにも、神野大地選手や井上大仁選手らをはじめとしたすべての選手に敬意を表し、素晴らしいレースを見せてくれたことに感謝を示している。
 記事に対して、「日本のマラソンはすごい。中国ではいつになったらマラソンがあちこちで花開くのだろうか」と感心する人や、設楽選手の健闘を称え、「勇気を持って言えて、勇気を持って行動できる人は尊敬する」と称賛する人もいた。
 初の試みとなったMGCは非常に分かりやすい選考方法で大成功に終わっただけでなく、海を越えて多くの中国人に感動と勇気を与えたようだ。

9/17(火) 20:01配信Number Web 生島淳
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190917-00840761-number-spo

あの独立自尊の大迫傑が振り返った
MGC41.8km地点、衝撃の場面


●大迫傑が前ではなく、「自分を追うランナー」の位置を確かめている。彼の性格を考えればどれほど追い詰められていたかがわかる。 photograph by Yoichiro Funakoshi/JMPA

 勇敢と、無謀は紙一重である。
 設楽悠太の飛び出しは、勇敢だったのか。
 それとも、無謀だったのか。
 結果だけを見れば、無謀だったということにはなる。

 それでも勝負が優先されるレースで、自らのレーススタイルにこだわった設楽の勇気は讃えたい。
 設楽の大逃げが成功する可能性もあったからだ。
 いいレースには、あれやこれやと様々な「仮定」というか、「妄想」が成り立つ。
 もう少し、気温が低かったら(翌日の東京は雨が降り、涼しかった)。
 1キロ3分ペースではなく、3分10秒ペースでも、十分な飛び出しだったのではないか? 
 レースを振り返って設楽は、「25km過ぎから、もうキツくなってしまって」と話したが、失速するタイミングがもう少し遅かったら、集団を形成する選手たちはより早く仕掛けていただろうし、違った結果が待っていたかもしれない。

■自由奔放さこそが設楽の強さだった

 敗れたとはいえ、設楽の及ぼした「エフェクト」は甚大なものがあった。
 レース後、疲労困憊の設楽は飛び出したことに後悔はない、と話した。
 これもまた、彼らしい。
 東洋大時代は言葉数も少なく、インタビュアー泣かせだったが、社会人になってからの設楽の話を聞くのは、いつも楽しかった。
 天真爛漫。マイペース。
 レースのスタート時間に合わせて起床時間を調整することもないし、食事にもこだわらない。
 常識に囚われない自由奔放さがあったればこそ、日本記録の樹立につながったと思う。
 ただし、今回ばかりはそれが裏目に出た。
 自制。
 少しばかり自制することを事前のレースで体得していれば、結果は違ったかもしれない。
 それにしても、学びの場がMGCだったとは……。

■設楽の飛び出しが大迫の焦りを生んだ

 今回のMGCで、「設楽エフェクト」の影響をもっとも受けたのは、設楽と共に横綱とみなされていた大迫傑ではないか。
 3位で内定とはならなかった大迫。
 レース直後の囲み取材では、
 「完全に力負けです。最後には脚が残っていませんでした」
 と潔く負けを認めていたが、余力が残っていない要因までは詳しくは分からなかった。
 しかしレースの翌々日、日本テレビの『スッキリ』に出演し、大迫はレースを次のように振り返った。
 「レース前にコーチとも相談して、当日の気象条件を考えると、ひとりで逃げ切るのはむずかしいだろうと判断しました。
 飛び出したのがひとりだったら、落ちてくる可能性が高いので、追いかけてリスクを取るよりも、見逃そうという選択でした。
 ただし、実際に設楽選手が飛び出して、自分の中で焦りというのがなかったとは言えないです」
 それはレースの進め方に表れていたという。
 「いつもだったら集団の後方で全体を見渡す位置にいるんですが、集団の前の方でレースを進めてしまったんです。
 そのため、それぞれの選手のスパートに対応してしまったので、脚を使ってしまいました」
 いつも、大迫は泰然自若としており、テレビの中継でも集団の後方に待機しているため、その姿を捉えづらい。
 ところがMGCでは大迫の姿がよく映っていたのには、こういう理由があったのだ。

■中村、服部は終始冷静だった

 一方で、中村匠吾、服部勇馬のふたりは、集団の中で終始冷静だったという。
 「彼らふたりはすごく集中していました。
 僕よりもレースが見えてたのかな、と思います」
 横綱としては、すべての状況に対応しなければならない。
 脚を使っていくうち、大迫は仕掛けどころを失っていく。

■独立自尊の大迫が、後ろを振り返った

 「残り2キロになって、あと2キロというよりも、『まだ2キロ』という感じでした」
 実感がこもっている。
 勝ち切るプランは、スプリントに自信を持っていることもあり、「ラスト500、600mくらいでスパートをかければいいかな」と作戦を立てていたという。
 しかし、新国立競技場が真正面に見えるラストの上り坂、中村匠吾は次のブースターを用意していた。
 大迫はついに対応できずに置き去りにされる。
 しかもその直後、41.8km地点で大迫は後ろを振り返っている。
 たまたま、新国立競技場の前で大迫が後ろを振り返ったシーンを、知人が写真に収めていた。
 余裕がない。
 苦しそうに見える。
 独立自尊の大迫が、後ろを振り返ったところに私は衝撃を受けた。
 映像で何度も確認すると、3位の服部を確認したのではなく、4位の大塚祥平の位置を確認しているのである。

■ナイーブな大迫を初めて見た

 2位までに入らなければならないという、プレッシャー。
 2位に入った服部勇馬は、「大迫さんが後ろを振り返ったので、これは行けるんじゃないかと思いました」と元気づけられたと明かした。
 大迫は、服部に勇気を与えてしまっていた。
 ラストの外苑いちょう並木に入ったところ、そしてフィニッシュライン直前でも、もう一度後ろを振り返っている。
 少なくとも、私がナイーブな大迫を見たのは初めてだった。

■大迫「自分を抑えられるかが大切」

 『スッキリ』の話を聞く限り、MGCのレースは大迫の経験値を大きく上げたようだ。
 「タイムを狙うレースとは違った緊張感がありました。
 反省点を挙げるとすれば、最初の20kmです。
 僕が集団の前にいたことで、いろいろ対応してしまったので、『自分を抑えられるか』が大切かな、と」
 来年に向けて、フィジカルとランニングの経済性にも話が及んだ。
 「筋トレをやった結果、動きがダイナミックになってしまい、一歩一歩のダメージが大きくなってしまった気がします。
 中村選手、服部選手のふたりは、省エネの走り方だったので、コーチと相談していきたいと思います」
 この回答、情報番組としてはかなり専門的で思わず笑ってしまった。

■3枠目は8割方大迫傑のものだが……

 さて、3枠目の行方はどうなるのか。
 私は、大迫が十中八九、内定だと思っている。
 彼の持つ2時間5分50秒という記録が、福岡国際、東京、びわ湖毎日で破られる可能性は極めて低い。
 もしも、今年の東京のように気温が下がり、氷雨が降るような状態になったら、それだけで確率は限りなくゼロに近くなる。
 100mのように、気象条件という自分ではコントロールできない要素が入り込んでくるため、現実的には大迫が3枚目の切符を手にしていると見ていい。

 2時間5分49秒を出すポテンシャルを持っている選手は、日本にふたりだけだ。
 ひとりは、天衣無縫の設楽悠太。
 そしてもうひとりは、大迫傑本人である。
 個人的には、MGCで大きな学びを得た大迫が、東京オリンピックで走るのを見てみたい。




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